レトロゲームレビュー/ゼノギアス

ゼノギアス

 

 

機種

プレイステーション

発売元

スクウェア

ジャンル

ロールプレイング

発売日

98年2月23日

価格

6,800円

プロデューサー

田中弘道

サウンド

光田康典

国内出荷本数

70万本

プレイ時間

50時間以上

 

 

「裏FFVII」であることの偉大さと、「FFVII」でなかったことの悲運。

 

 

グラフィック

フィールドや町での地形や建物は3D。キャラクターはデフォルメされた2D。

かと思うと、等身大で描かれたアニメーションが随所で顔を出す。

少々チグハグな感じもするが、個々の質は高いのでインパクトは大きいだろう。

 9

サウンド

オルゴール調の切ないメロディーや、金管楽器による勇ましさや重厚感など、

曲自体はいいが、今作の不安定なイメージにあわせるのは難しかっただろう。

 8

システム

 

通常移動時にジャンプができ、アクションを駆使して進む場面もある。戦闘では

APを効率よく使うべきだが、技の強弱がはっきりしているのでワンパターンに

なりがちだ。ギアに乗るなど目立つシステムは多いが、奥深いわけではない。

 9

操作性

通常時はアクション気味だがさほど支障はない。戦闘時は敵を選ぶのが意外と

面倒だったりする。ステータス画面での操作はなにかと入り組んでいて厄介だ。

 

プラス要素

巧妙に作り込まれた深く悲しく興味深い物語。所々で見られるアニメーション。

コンボを組合せるのが楽しい戦闘、ギア戦、さらにギアでの格闘(アクション)戦。

前半はとても魅力的だったが、2枚目に直後の強引な展開に一気に幻滅する。

 

外観評価点

 

39

プレイ感想

含みを持ったオープニング、そして冒頭では人生を左右させられてしまうほどの

悲劇に見舞われる。主人公はもちろん、自分も大きなショックを受けてしまい、

この先どうなるのだろうか、と本気で考えてしまった。そして、物語の全体像が

掴めていないまま、ストーリーは謎の官僚達による会議ラッシュに突入する。

そこまでには新感覚の戦闘を(ギア戦も)何度か体験でき、戦闘はストーリーの

つなぎの役割は果たしているのだが、ダメージやシステムにどうも捻りがなく、

後半では単調になって飽きてしまうかも。ストーリーは段々と紐解けていくし、

演出も大掛かりなので後半の展開にも期待してしまうのだが、そんな期待は

2枚目に入った途端、見事に打ち砕かれる。終盤のやっつけ仕事的な展開は、

正直コントローラを投げつけてやりたくなるほどにがっかりし怒りさえ覚えた。

素材が素晴らし過ぎるだけに失望も大きい、なんとも悔やまれる作品だった。

 

内容評価点

 

37

総合評価点

 

76

コメント

 「FFVII」の発売から約1年、業界の流れが完全にプレイステーションへと

移って間もなく、スクウェアは畳み掛けるように本作「ゼノギアス」を発売した。

本作は、ギアに乗って戦うという演出に衝撃を受けたユーザーが多かったが、

もう一つ注目するべき点がある。

 

 「裏FFVII」。「FFVII」で初めに考えられていたストーリーはあまりに重苦しく、

主人公はあまりに暗く、FFでこれはやり過ぎなのではという結論に至った。

しかし、そのストーリーを無駄にするのは勿体無いと、本作「ゼノギアス」として

発売されることになったのである。

 

 本作はそのストーリーはもとより、ギア(人型戦闘兵器)に乗っての戦闘など、

目新しい要素がいくつも見られる。さすがに「裏FFVII」ともなれば意気込みが

違うな・・・と思っていたのも中盤までの話。その意気込みも結局最後までは

続かなかったようで、終盤そのストーリーはまるで紙芝居を見ているかのように

垂れ流され、プレイヤーはただぼ〜っと画面を見させられるだけになってしまう。

これを素直に見てられるのはよほどのお人好しさんだけだ、と私は言いたい。

もし、本作が正規のFFとして制作されていたなら、きっと最後までそつなく

作られていたはずだ。本作は元「FFVII」であったが為に膨大なシナリオを抱え、

しかし結局「FFVII」でなかったが為に、これ以上制作期間を当てることが

適わなかったのである。もはや本作の持って生まれた悲運を嘆くしかない。

 

 本作の発売からほぼ4年後の2002年2月28日に、本作の続編といえる

「ゼノサーガ」がモノリスソフトによって制作され、ナムコから発売されている。

モノリスソフトは「ゼノギアス」の制作の中心的メンバーによって立ち上げられた

会社だったが、その内容は一部分を除いてほぼ別物であり、ゼノギアスファンに

取ってみればもどかしいとしかいいようがないだろう。結局、「裏FFVII」という

運命の本に生まれた今作に、日の目を見る機会などは最初からなかったのだ

と考えるのが普通なのかもしれない。いや、そう思っておかないと、この先に

待っている事実を受け入れることが、あまりにも辛い気がしてならないのだ。

 

 

2005年 8月 4日