レトロゲームレビュー/スターオーシャン

STAR OCEAN

 

 

機種

スーパーファミコン

開発

トライエース

発売元

エニックス

ジャンル

ロールプレイング

発売日

96年7月19日

価格

9,800円

推定国内売上本数

25万本以上

プレイ時間

50時間以上

 

 

星の海。それは今作の懐の大きさを示していたのか。

 

 

グラフィック

輪郭が太く、原色に近い色を選んでいるせいか、全体的に柔らかく、

暖かい印象を受ける。戦闘での魔法の演出は、かなりの迫力を見せていた。

 9

サウンド

戦闘中は、キャラクターがとにかく良く喋る。現在でこそ「うるさい」だが、

当時のそれは、感動に値した。BGMは、宇宙を感じさせようとしたのだろう。

重厚でありながら、神秘的な透明感があり、壮大な雰囲気を秘めていた。

10

システム

スキルを学び、組み合わせ、アイテムクリエーション等へ繋げるという楽しみ。

プライベートアクションによる、仲間の存在感の向上。そして、自由度の非常に

高い戦闘など、まだまだ発展しそうな新システムが目白押しだ。

 9

操作性

戦闘では、縦横無尽に駆け回る事が出来きるので、とても新鮮だ。逆に、

いろいろな事が出来るようになった、システム面での操作がややこしいかも。

 8

プラス要素

スキルを覚えてアイテムクリエーションをするだけでも充分に楽しめるが、

ストーリーの進め方によって、パーティーに入る仲間が変わってくるので、

2度目のプレイでは、全く違う仲間を連れる事もできる。だが、バグは多い。

 9

外観評価点

 

45

プレイ感想

冒頭こそ宇宙を舞台にした壮大なRPGだと衝撃を受けたが、そう思えたのは

ほんとうに冒頭部分だけだった。シナリオに宇宙を感じることはなかったし、

ラスボスの出現も余りにも唐突だった。ただ、今作がつまらなかったかというと、

決してそうではなく、そこはむしろ逆だった。

 

既存の作品では、仲間は主人公にくっついて離れない存在であったが、

本作では、プライベートアクションを起こすことで、仲間達は自由に散らばり、

話し掛けることができるようになっている。また、仲間となるキャラは進め方で

変化するので、繰り返しプレイしてもすぐに飽きることはないといえる。

 

またバトル関連のシステムも力が入っており、戦ってスキルポイントを稼ぎ、

特技を覚えれば、鍛冶や調合などのアイテムクリエーションが楽しめるし、

戦闘系のスキルを高めれば、戦闘が楽になるという相乗効果を得られる。

擬似的ではあるが、3次元の戦闘は戦いの新たな広がりを感じられたし、

豊富なキャラクターの台詞が、その臨場感を高めているのは間違い無い。

これだけの遊びを与えられると、頭の中はもうそのことばかりで、

ストーリーなんかはほとんど気にならなくなる。なるほど、「星の海」とは

物語の事ではなく、今作に詰め込まれた遊びの豊富さの事だったのである。

 

内容評価点

 

46

総合評価点

 

91

コメント

 「テイルズ オブ ファンタジア(以下TOF)」を制作したスタッフの一部が、

TOF」の発売後間もなくトライエースとして独立し、それからわずか7ヶ月間

という制作期間で発売されたのが本作である。制作期間が非常に短いせいか

本作にはバグが多い。ゲーム中にも「もう1年あれば」という台詞が出てくるが、

中途半端なストーリーも含めて、これがスタッフの正直な気持ちなのだろう。

しかし、「ファイナルファンタージーZ」がこの半年後(97年1月)に発売を

控えていたという事もあり、発売までの余裕が無かったのもまた事実である。

 

 本作の長所はなによりその豊富な遊び方にある。アイテムの効果などは

TOF」とほぼ同じだが、プライベートアクションやスキルシステムを始めとして、

斬新且つやり込めるシステムが多数挿入されている。戦闘は完全2Dだった

TOF」とは違い、奥行きが加わえられたことで、自由度が高くなっている。

 

 システムとはその作品の核であり、アイデンティティー(ID)といっていい。

ユーザーはストーリーの違いよりも、むしろシステムの違いを見分ける事で、

個々のタイトルの違いを感じることだろう。「TOF」同様、本作も続編が発売され、

それがユーザーに受け入れられているということは、それぞれのシステムが、

独立しており、それがユーザーに認められている証拠だと言ってもいい。

制作スタッフが同じだったとしても、「テイルズ」と本シリーズとの間の溝は、

この先も保たれ、これ以上狭まる事があってはならないのである。

 

 

2000年 7月

2002年 3月26日訂正

2003年 2月27日訂正

2003年 8月16日訂正