レトロゲームレビュー/スーパーマリオブラザーズ3

スーパーマリオブラザーズ3

 

 

機種

ファミリーコンピュータ

発売元

任天堂

ジャンル

アクション

発売日

88年10月23日

価格

6,500円

プロデューサー

宮本茂

サウンド

近藤浩治

国内出荷本数

384万本

プレイ時間

150時間以上

 

 

進化と変化の至れり尽くせり。

 

 

グラフィック

輪郭がなく、シリアスだったタッチは、輪郭のあるアニメ風のタッチへと変更。

ステージも驚くほど多彩になり、砂漠,海,空,雪など、変化に富んでいた。

10

サウンド

グラフィック同様、曲調も大きく変化し、より気楽で愉快な曲が多くなった。

効果音も大幅に増え、プレイ中はとても賑やかなので、より楽しく感じるだろう。

10

システム

画面が縦に広がり、マリオが飛び、ステージ内を自由に行き来できるようになり、

自由度は異常に増した。ステージ外でも、ルートを自由に選べるようになったり、
神経衰弱などのミニゲームが遊べたりで、遊びが詰め込まれている。

10

操作性

操作性の良さは全く変化なし。ただ、斜め45度に真っ直ぐ飛ぶことに違和感が

ないこともないけれども。でも、飛ぶための助走を取るのがおもしろくてよい。

10

プラス要素

総ステージ数はこれまでの2倍になり、マリオのパワーアップも様々になり、

2人で遊ぶマリオブラザーズなどのミニゲームや隠し要素、アイテムも充実し、

もはやアクションゲームとして考えられる範囲以上のことをもやってしまった。

10

外観評価点

 

50

プレイ感想

より気軽な雰囲気へと変化したグラフィックやサウンドだが、悪い印象はない。

操作感覚については前作とほとんど同じなので、まず戸惑うことないだろう。

ステージは上空にも広がり,後ろに戻ることも可能になったおかげで、じっくりと

考えて攻略するという楽しみ方も加わっている。そして、何と言ってもマリオが

空を飛べるようになったことには驚いた。ただ、驚いてすぐ、次はカエルになり、

そしてタヌキになり、もうてんやわんや。新しい仕掛けも次々に追加されており、

遊び尽くせないほどの作りになっている。しかし、楽しみはこれだけではない。

今作には、2人プレイなど、本筋以外の部分にも遊びがいっぱい詰まっている。

ステージを選ぶマップ画面では、ボードゲームのような要素も加えられており、

2人でマリオブラザーズの対戦に突入したり、神経衰弱でアイテムを蓄えたり、

さらには、突然宝船が出現したりと、もう至る全ての部分で楽しむ事ができる。

難易度はもちろんやや高め。ボリュームも異常で、全ステージクリアなんて

なかなか出来るものではないが、そんなことは全く関係ない。特大傑作だ。

 

内容評価点

 

50

総合評価点

 

100

コメント

ステージの構成を変え、難易度を上げるという方針は、2作目のみに留まり、

3作目となる今作は、遊びやすく多方向へ進化したマリオとなって帰ってきた。

ステージの広がり、特殊能力の追加、そしてミニゲームなどのおまけ要素。

続編としてこの上なく巨大化した今作は、1作目に負けない大ヒットを記録した。

 

閑話休題、今回伝えたいのは別の話しだ。「スーパーマリオブラザーズ」の

発売から、今作「3」が発売されるまでの約3年間。この間に、他社から発売

されたアクションゲームの総タイトル数をご存知だろうか。かく言う私も、

正確な数は把握していないのだが、なんと約100タイトルにも及ぶのである。

まさに、多くの会社が“マリオを追い越せ”を合言葉に努力した痕跡なのだ。

 

しかし、これだけのタイトルが発売されたにもかかわらず、これらは決して

マリオを超えたと言われた事はなかった。もちろん、その理由も考えられる。

所詮「横スクロールアクション」は、「アクション」という幅広い分野の中の一つの

ジャンルでしかあり得ない。それにもかかわらず、この横スクロールアクションに

固執し過ぎてしまったからではないか、というのも理由の一つだろう。

ただ、ひとつだけはっきりしていることは、マリオを目標にしてしまった時点で、

マリオを超える事は不可能だということである。おそらく彼らは、キャラクターに

ジャンプさせるということに対して、何の疑問も抱かなかっただろう。“ジャンプは

あって当然”という観念が、潜在意識の中に存在していたかもしれない。

 

宮本氏が「スーパーマリオ」を生み出したのは、“ジャンプの楽しさ”そして、

“テンポよく動くことの気持ち良さ”を伝えいという思いがあったからである。

しかし、そうとは露知らず、ただ“ジャンプはあって当然だから”という浅はかな

考えから生まれた作品に、果たしてマリオが越えられるだろうか・・・・・。

約100タイトルのアクションゲームの中には、人気キャラクターを起用し、

100万本以上の売れ行きを見せた作品もあった。しかし、後に名作と呼ばれる

ような作品はごくわずかしか生まれず、今作「マリオ3」が発売される頃には、

一部のメーカーを除いて、アクションゲームの発売されるペースはグンと落ちて

しまった。こうして、マリオによってもたらされた、第1次アクション全盛時代は、

当の本人であるマリオによって、幕を降ろす事となるのであった。

 

 

2004年 5月22日

2005年 2月 4日訂正