レトロゲームレビュー/シェンムー 一章 横須賀

シェンムー 一章 横須賀

 

 

機種

ドリームキャスト

開発

SEGA-AM2

発売元

セガ

ジャンル

FREE

(フルリアクティブアイズエンターテインメント)

発売日

99年12月29日

価格

6,800円

プロデューサー

鈴木裕

推定国内売上本数

30万本以上

推定海外売上本数

120万本以上

プレイ時間

10時間以上

 

 

ハードの進化に期待を膨らませた者たちの、暴走にも似た挑戦。

 

 

グラフィック

当時の横須賀の風景が、これでもか、と言わんばかりに完全再現されている。

この桁外れの画像を目の当たりにした誰もが驚愕したに違いない。

10

サウンド

当然ながら、普段は効果音と環境音が主流、当然ながらフルボイス。

そいで、BGMはおまけ程度。しかし、メインテーマには心底聞き惚れた。

 

システム

時間が大きく影響する、「QTE」(クイックタイマーイベント)とのことだが、

実際のところ、それほどの価値を感じない。それぞれのシステムが独立し

ちぐはぐさが目立っている。全体的に見て、不親切なところが多かった。

 

操作性

はっきり言ってかなり悪い。せめて、アナログスティックにしてくれれば。

横須賀の街をもっと調べ尽くしたかったのに。思うように動けません。

 

プラス要素

横須賀をそっくり持ってきたことはすごすぎだし、ガチャガチャ(ガシャポン?)に

駄菓子屋、ゲームセンターでは簡単なゲームの他に、「スペースハリアー」や

「アウトラン」など、往年のゲームまで楽しめてしまう。なんでもありって最高!

 9

外観評価点

 

37

プレイ感想

町並みは本物とも見間違えるようなレベルで再現されているのに、マンションに

住む人々はほとんど無視で、ドアさえ開けてくれないし、通行人もなかなか話を

聞いてくれない。これはある意味普通のことなのだが、それでもやはり悲しい。

アルバイトのイベントやゲームセンターでの遊び、駄菓子屋やガチャガチャなど、

寄り道的な部分は思うがままに遊べたのに、肝心のストーリー部分は強制的に

進んでしまったりして、進み方やシナリオ展開のテンポが掴み難かった。

現実と見紛う世界の中で、ふすまや戸棚、冷蔵庫などが開けられるのはとても

嬉しかったしすごいと思ったけど、操作のし辛さや一瞬遅れる動きを見せられて

違和感やじれったさがあった。とてつもないスケールの土台を作っておきながら

部分部分は勝手に調整されて、全体として噛み合っていない残念だった。

 

内容評価点

 

39

総合評価点

 

76

コメント

 アーケードの雄として名高い鈴木裕氏プロデュースの元、コードネーム

「プロジェクトバークレイ」と銘打たれ、総制作費70億円をかけて開発された

一大プロジェクトが、この「シェンムー 一章 横須賀」だ。

 

 題名が示す通り、今作は今まで多くの人が夢見ながらも、誰も実現することが

できなかった”現実世界(今作では横須賀)の再現”を、ユーザーが納得する

クウォリティーで完成させた初めての作品といって間違い無いだろう。また、

DCの大容量だからこそ出来る過去の作品のおまけ的な収録など、たくさんの

遊びが盛り込まれた今作の評価は確かに高い。

 

 しかし、肝心の本筋部分がいまいち遊べるものではなかったせいか、今作は

制作費に見合った売上を達成出来なかった。そしてその結果、セガの経営に

決定的なダメージを与えてしまう事になったのである。セガの成長は鈴木氏の

存在無くしてはありえなかったわけだが、鈴木氏自身の失敗によって経営を

悪化させてしまうことになったのである。・・・いや、言い方を変えれば、自分の

手で蓄えた資金を使いやりたいことにチャレンジした、とも言えるのだが・・・・。

 

 当初は13章の構成を考えており、それを何作かに分けて発売するという予定

だったが、どうやら2001年9月6日に発売された「シェンムーU(DC)」を

もってシリーズは終了するという見方が強くなった。しかし、まだ今シリーズには

多くのファンが待つ海外での可能性も残されている。これから先、また今作の

続編の話が持ち上がることが、ひょっとしたらあるのかもしれない。

 

 

2000年 9月

2002年 4月30日訂正

2003年 6月24日訂正