レトロゲームレビュー/パラサイト・イヴ

parasite eve

 

 

機種

プレイステーション

発売元

スクウェア

ジャンル

ロールプレイング

発売日

98年3月29日

価格

6,800円

プロデューサー

坂口博信

ディレクター、シナリオ

時田貴司

バトルディレクター

前川嘉彦

キャラクターデザイン

野村哲也

サウンド

下村陽子

国内売上本数

100万本以上

プレイ時間

50時間以上

 

 

スクウェアの一人歩き。映画との境界を一足先にまたぐ。

 

 

グラフィック

頭身の高いポリゴンキャラ。毛の一本一本まで描かれたネズミのムービー。

新たな場面を見るたびに、すごいすごいと感心してしまう異常なレベルだった。

10

サウンド

メロディーは弱いが、高音をリズミカルに使ってプレイヤーを不安にさせる。

なんだかドキュメンタリーを見ている感じになる。効果音も力が入っている。

 

システム

 

戦闘システムが凝っていて、弾数、射程の把握、キャラの移動が重要となる。

あとは、武器が改造できるくらいで、特に目を見張るほどのシステムは無い。

 

操作性

敵を出すための時間稼ぎだろうが、いくらなんでも移動速度が遅すぎる。

戦闘中も敵の攻撃を避けるのは非情に難しい。攻撃やアイテムは普通だが。

 

プラス要素

ストーリーは難しいが興味深く、雰囲気も映画並ということで、魅力は抜群。

ただ、裏ダンジョンはあるが、ボリュームは少なめで、操作が不便な点もある。

 8

外観評価点

 

40

プレイ感想

冒頭から派手な演出をどんどん繰り出してくるので、プレイヤーは驚きと共に

その雰囲気に引きこまれていけるだろう。しかし、自分が動かす番ともなると、

じれったく、思うように動かないキャラクターにストレスを感じるかもしれない。

戦闘は、敵の動きにちょっとしたクセがあり、プレイヤーの腕次第で戦闘を

有利に進める事もある程度は可能だが、なかなかうまくいかないことが多く、

攻撃できない時間もうっとうしく思えて、何度も戦闘する気分にはなれない。

かといって、寄り道しなければプレイ時間は20時間前後で終わってしまう。

驚きはあるが、収穫が無く、少し物足りない気分が残ってしまった。

 

内容評価点

 

36

総合評価点

 

76

コメント

 「FFVII」の発売と共に、映画への挑戦という方向性を新たに示したスクウェア

(坂口氏一行)だったが、彼らは「FFVIII」の前にこんなものを用意していた。

映画の本場、ハリウッドにて制作したCGと、映画に良く見られる演出を全面に

押し出した今作は、完全な新作なのにも関わらず、前評判からして非情に高く、

結果から見れば、100万本を越える大ヒット作となったのである。

 

 では、ユーザーの興味を引きまくったCGだが、如何ほどのものだったのか。

ネズミが巨大化するシーンでは、その毛が一本一本丁寧に描かれており、

そのすごさは、当時の作品を見比べれば一目瞭然、まさに段違いだった。

 

 これほどまでに、映画とCGのクウォリティーにこだわっていたスクウェア。

20世紀末は、まさに多くの会社がこの目標を目指して競走していたわけだが、

21世紀に入り、その方向を目指すことのリスクに耐えきれない会社が続出。

さらに、ユーザーのCGに対する目は肥え、興味も薄れてきてしまった。

もはや、「画面が綺麗だ。」と驚き、胸躍らせる人はほとんどいない。

 

 コンピュータの進化の限界と共に、ゲームの魅力にも限界が見えてきている。

それは、これまでのゲーム機の進化を思い出してみれば当前のことなのだが、

だからと言って、この世の中からゲームが無くなってしまっては少し寂しい。

ゲーム業界は、今まさに生き残るためのアイデアを必要としているのである。

 

 

2004年 3月 1日