レトロゲームレビュー/MOTHER2 〜ギーグの逆襲〜

MOTHER2 〜ギーグの逆襲〜

 

 

機種

スーパーファミコン

開発

HAL研究所

発売元

任天堂

ジャンル

ロールプレイング

発売日

94年8月27日

プロデューサー

宮本茂、糸井重里

シナリオ

糸井重里

ディレクター

岩田聡

価格

9,800円

プレイ時間

30時間以上

 

 

おとなもこどもも、おねえさんも。

 

 

グラフィック

全然「綺麗」ではないが、なんだかアメリカの子供番組を思い起こさせる、

MOTHER独特のノリがある。おそらくはっきりと書かれた輪郭線のせいだろう。

 

サウンド

さすがにこだわっているだけはある。大量の不思議さを残していく曲や、

大量の幸せをもたらす曲までいろいろ。最初は、なんだこりゃ?と思える曲も。

 

システム

基本的なコマンド入力部分は「ドラクエ」だが、8方向移動や自転車での移動、

テレポーテーションや戦闘突入方法、お金の受け取りや電話でのセーブなど、

枝葉末節は、「MOTHER」としか言い様のないチューニングが施されている。

 

操作性

街でのカメラの角度や戦闘突入システムから言えば、8方向移動は当然か。

自転車やテレポーテーションは気持ちいい。道具の入れ替えは少し面倒かも。

 

プラス要素

文字や台詞、ストーリーに対するこだわりが各所で見られる。サウンドも、

一ひねり加えられていておもしろい。戦闘の突入方法や戦闘時の回復などは、

ユーザーに考えて遊んでもらおうとした、スタッフの意図がしっかり感じられた。

 

外観評価点

 

42

プレイ感想

プレイヤーがしている事は、他のRPGとそれほど変わらないはずなのだが、

そのリアクションというか、土台の部分が「MOTHER」ならではのものなので、

プレイヤーが受け取るものはいつもとはだいぶ違ってくる。感動させられたり、

頷かされたり、ときにはばかにしたり、感じ方でいくらでも評価は変わる。

もちろんサウンド面でも、普通とは一味違ったものを楽しむ事が出来た。

戦闘では、HPが減るとき、スロットが回転するように少しずつ減っていくので、

減りきる前に回復させたり戦闘を終わらせれば、無事に生き残る事ができる。

ただ、今作の内容を考えると、戦闘の必要性には疑問も浮かんでくるところだ。

なんにせよ、自分的にはストーリーも、サウンドも、戦闘も楽しむ事がでた。

糸井氏のセンスを、自分から感じていこうとすれば、より楽しめたのだろう。

 

内容評価点

 

39

総合評価点

 

 

81

コメント

 「MOTHER」は、第一作が89年にFCで発売されたが、そのときは糸井氏の

「まだ誰もやっていない、現実の世界をRPGにしてしまおう。」ということから、

制作が始められた。そして、その世界観と糸井氏独特のシナリオは、少ない

容量に関係ない楽しさを見せてくれた。

 

 今作は「やればできるのだから、2作目をやってやろう。」とスタートしたが、

理想が高まった分だけ、苦労も多かったようだ。制作が行き詰まっていた

開発部を、岩田氏が救った事が話題になったことからもそのことが伺える。

その苦労の甲斐もあり、今作は、前作以上のヒットとなった。

今作の成功には、CMの宣伝効果が大きい事も忘れてはならない。

人気爆発寸前だったSMAPの木村拓哉氏を起用し、クセのあったCMは、

普段ゲームをしない人達も、興味をそそられた事だろう。

 

 「2」が発売された後、もちろん「3」の開発は進んでいたが、2000年になり、

開発中止が決定した。それは、糸井氏のイメージに、ゲーム機の進化が

追いつかなかった。というのが一番の理由である。中止が決定するころには、

最新のハードであるゲームキューブ(当時はドルフィンと呼ばれていた。)が

控えていたが、新ハードに移し変える労力は残っていなかったといえる。

惜しくも、スタッフのみぞ知る作品となってしまったが、糸井氏のホームページ

ほぼ日刊イトイ新聞」の「樹の上の秘密基地」で、その事について語られて

いるので、詳しく知りたい方は、どうかそちらの方も読んでもらいたい。

そこの終わりのページでは、BGMを試聴する事もできる。

 

 いろいろとあったが、2003年、GBAにて「MOTHER1+2」の発売と共に、

同ハードにて「MOTHER3」が再び開発されているという事が発表された。

一度は止まってしまった「MOTHER」の歴史が、また動き始めたのである。

 

 

2002年 3月25日

2004年 1月16日訂正