レトロゲームレビュー/メタルギアソリッド2

METAL GEAR SOLID 2

SONS OF LIBERTY

 

 

機種

プレイステーション2

発売元

コナミ

ジャンル

アクション

発売日

01年11月29日

MEGA HITS!版:9月12日)

価格

6,800円

MEGA HITS!版:2,980円)

プロデューサー

小島秀夫

推定国内売上本数

80万本以上

全世界出荷本数

500万本以上

プレイ時間

70時間以上

 

 

俺達は伝えなければならない。俺達の愚かで切ない歴史を。

 

 

グラフィック

顔もしっかりと作り込まれ、デモシーンの見栄えも完璧だ。景色も遠くまで

見渡せるし。全体的なクウォリティーの高さは各段にレベルアップしている。

10

サウンド

キャラボイス、環境音、効果音による、文句無しの臨場感。そして相変わらず

見つかったときに焦らせてくるBGM。音の有効活用の模範的存在です。

 9

システム

ワイドに且つディープに進化するアクションやシステムの数々。ぶら下がったり、

物置に隠れたり。弊害が増えるのを承知でやり遂げてしまう心意気はあっぱれ。

10

操作性

操作性自体は良いが、数多いアクションを全てこなすのは結構大変なもので、

主観視点での銃の操作なんかはかなり至難の技となる。

 9

プラス要素

前作以上にいろいろなことができる。二転三転するストーリーに込められた

メッセージも秀逸。でもデモはとんでもなく長い。それこそ前作以上に。

 9

外観評価点

 

47

プレイ感想

グラフィックを筆頭に、演出面が大幅にパワーアップしたのが良く伝わってくる。

本当にクールでスマートだ。キャラクターのアクションが大幅に増えたことで、

潜入の仕方やそのおもしろさは圧倒的に増し、敵が強く賢くなった事で、

戦略を練る必要性や、隠れているときの緊張感も増している。そこは完璧だ。

前作同様かそれ以上に、プレイヤーの試行にこれでもかと反応してくれる。

その場の仕掛けや無線連絡も健在。そして、一癖も二癖もあるキャラクター。

さらには、彼らが作り出すとんでもないストーリーも健在だった。残念ながら、

後半に進むほど長くなるデモシーンも健在で、賞味のプレイ時間が少し

物足りないのも事実。現段階で最も映画に近い、だがあくまでゲーム。そんな

”新しいエンターテインメント”と思ってプレイするのがベストの楽しみ方だろう。

 

内容評価点

 

46

総合評価点

 

 

93

コメント

 「潜航します」という小島氏の宣言通り、タンカーに乗りこむ事となったスネーク

だったが、残念ながら、プレイヤーが彼を操れる時間はそう長くは無かった。

この事については、ユーザーの不満が予想以上に大きく、本作を”期待ハズレ”

と称する人もいるほどだ。しかし、「客観的にスネークの凄さを見せたかった。」

という小島氏の意見も、やり終えてみると、わからないでもないところである。

 

 本作は前作と比べて、敵兵の感覚、戦略など、格段に質が高くなっている。

この抜群のチームワークに、嫌というほど苦労させられた人も多いはずだ。

スタッフは特殊部隊のクリアリング(室内戦闘での索敵とその対処法)を学び、

それを反映させている。よって、前作では烏合の衆に過ぎなかった敵兵達も、

訓練された一流の部隊への変貌を遂げたのである。スタッフはそれだけでなく

ゲームらしい隙も、いくらか持たせてあるのだが、それを含めて、敵の動きを

じっくり観察してみるのも、今作の楽しみな部分の一つだと言えよう。

 

 さて、本作には小島氏の強烈なメッセージが込められているので紹介したい。

氏は「ゲームでは、借り物の人生を、プレイヤーが演じきる事が出来ます。

たとえそれが借り物であったとしても、その経験を通して、プレイヤーは様々な

思いを感じることができるはずです。そしてそれはプレイヤー自身のものです。

まずゲームがおもしろいのが前提で、且つプレイした後に何か残って欲しい。

そのためにストーリーがあるわけで、決してストーリーそのものだけを伝えたい

わけではありません。」と語っている。これが、小島氏が今作に込めて放った

我々へのメッセージだ。ゲーム内のラストシーンでも、スネークが雷電に向けて

このような話しをしており、それまでの様々な経験の中で、自分が感じたこと、

正しいと思ったことを、伝えていかなければならない、と締めくくっている。

 

 現在までに、これほどしっかりとしたメッセージが込められていた、もしくは

そのメッセージをあからさまに露呈した作品は、ほとんど無かったのでは

ないだろうか。私は、現在でも何かと議論になる”映画とゲームの融合”に

対する答えの一つが、本作にあったのではないかと思っている。

 

 

2002年 5月22日

2003年 7月 2日訂正