レトロゲームレビュー/斑鳩

 

 

機種

ドリームキャスト、

ニンテンドーゲームキューブ

開発

トレジャー

発売元

DC版:ESP

NGC版:アタリ

ジャンル

シューティング

発売日

DC版:02年9月5日

NGC版:03年1月16日

価格

DC版:6,800円

NGC版:5,800円

国内売上本数

5万本以上

(うちNGC版:約2万本)

プレイ時間

40時間以上

 

 

我、生きずして死す事無し。

 

 

グラフィック

メインであるはずの自機と敵機が、白と黒の2色のみであるにも関わらず、

これだけクールに冴え渡って見えるのは、デザインや背景のおかげか。

 

サウンド

耳で聴くというよりは、魂が直接感じているかのような、甲高いBGM。

自分が常に修羅場にいることを、嫌でも印象付けられてしまう勢いだ。

 

システム

避けるのではなく、むしろ自ら当たっていくという逆転の発想によって、

シューティングに対する見方は180度変わり、世界は一気に広がった。

 9

操作性

 

ショット、属性の変更、力の解放。3つのボタンで全ての操作が可能となる。

自機の移動には、非常に繊細な操作が必要となるが、これが異常に大変。

 8

プラス要素

前代未聞級の難易度の高さは、ライトユーザーから見ればマイナス要素。

しかし、これまた前代未聞のシステムが、それを救う手立てとなっている。

 8

外観評価点

 

41

プレイ感想

最初のステージがクリアできない。白と黒の変換が混乱してままならない。

それ以前に、画面全体に広がる敵の弾やレーザーに圧倒されてしまった。

属性変換のタイミングがうまくいかないのが、いつもやられてしまう理由だ。

ただ、従来でいえば死ぬしかないような、横一杯に発射され続けるレーザーも、

属性を合わせてしまえば逆に自分の力として吸収し、余裕で進むことができる。

その光景にショックと快感を覚え、ようやく斑鳩は本格的に始動するのである。

敵の位置を把握した攻撃体勢と属性変更、そして力の解放のタイミング。

タイミングが完璧でも自機が少しズレれば、それまでの苦労は水の泡と化す。

全てのプランを頭の中で描き、それをミスなく正確に遂行していくストイックさ。

いくら挑戦しても更に高等なテクニックが残されているような、底無しの奥深さ。

そんなバカな。と最初は首を傾げざるを得ないような敵の猛攻。それでも

ジグソーパズルを解くように、一回一回着実に新たな道は見えてくる。そんな、

牛歩でありながらも確実に前進していると感じられる事が、辛くも嬉しかった。

 

内容評価点

 

38

総合評価点

 

79

コメント

「斑鳩」がアーケードで初めて登場したのは2001年12月20日のこと。

発売はセガだったが、「レイディアントシルバーガン」をはじめとして玄人好みの

緻密で高難度な作品を多数送り出してきたトレジャーの作品ということもあり、

発売当初からゲームセンターではかなりの盛り上がりを見せていた。

 

なんといっても、注目すべきは、この奇想天外なゲームシステムだろう。

これまでのシューティングの常識を覆す、“弾に当たってもいい”という発想。

むしろ如何にうまく相手の攻撃を受けるか、が攻略のポイントとなっている。

そしてもはや誰もがわかっていた事なのだが、それでも信じ難い高い難易度。

あっという間にやられては、その度に攻略方法を導き出していく必要がある。

私は、おそらく何千人もいなかっただろうノーコンテニュークリアプレイヤーの

一員になることはできなかった(難易度はノーマル)のだが、今作に触れて、

この高次元の領域を求めるプレイヤーと、それに応えて敢えてこの領域に

調整してくる製作者との無言の通じ合いを知り、武者震いが走ってしまった。

 

 

2003年10月 8日