レトロゲームレビュー/ICO

ICO

 

 

機種

プレイステーション2

開発

 

発売元

ソニー・コンピュータ・エンターテインメント

ジャンル

アクション

発売日

01年12月6日

価格

5,800円

プロデューサー

海道賢仁

ディレクター

上田文人

テーマ曲

大島ミチル

国内売上本数

10万本以上

全世界売上本数

50万本以上

プレイ時間

20時間以上

 

 

この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから

 

 

グラフィック

見事なまでの光の表現によって、闇の存在を引き立たせている。

高い処理能力によって、古城全体を完全に見渡す事ができる。大迫力だった。

 9

サウンド

通常は完全に環境音と効果音のみ、質も非常に高く、臨場感は最高クラス。

また、敵が現れると拒否反応を起こしそうなBGMが流れる。テーマ曲は感動。

 8

システム

イコに出来ても、ヨルダには出来ないのが今作最大のシステムといえる。

これまでと通りの謎解きに、AIを持ち込んだだけで、ゲームは新しくなった。

 8

操作性

ジャンプの制御が難しいが、アナログスティックを使った、素直な操作が可能。

クセのない純粋なイコのアクションが、プレイヤーをすんなり一体化させている。

 8

プラス要素

ボリュームは、先に心得ておくべき物足りなさ。絶妙と微妙の中間の、通好み

な謎解きと、あるのか無いのか分からないような世界観がたまらなかった。

 

外観評価点

 

39

プレイ感想

イコとプレイヤーは何の手がかりもない世界に一人ポツンと放り出される。

ここはいったい何処なのか。何故こんなことになってしまったのか。はっきりと

した理由なんてきっとないのだろう。しかし、そこで一人の少女に出会うことで、

イコには明らかに一つの感情が芽生える。そしてそれはプレイヤーにもいえる

ことなのだろう。操作感覚は敢えてこうしたのかもしれないが、ダイナミックな

分だけ大雑把で言うことを聞いてくれないこともある。そしてさらに運動能力で

劣るヨルダを、常に思いやらなければならない、という追加要素がのしかかる。

もちろん、それこそが今作で最も注目すべき点でもあり、苦労してヨルダと共に

トラップを潜り抜けたときの達成感はとてつもないだろう。ヨルダはたまに梯子を

勝手に登ったり降りたりと不可解な動きをするし、ゲーム全体では、謎解きや

自分視点など、いくつか不親切な点もあるが、この世界を、そしてこの語らない

物語を体験し、自分なりの答えを探すことのできる数少ない作品だろう。

 

内容評価点

 

39

総合評価点

 

78

コメント

 2001年12月6日。「ICO」は、誰にも気付かれないほど静かに、

そっと店頭に置かれていた。当時、CMこそ流されていたものの、

その題名の意味、内容がはっきりしないことから、あまり話題にはならず、

結局のところ、日本では、知る人ぞ知る作品になってしまったと言っていい。

 

 今作は、主人公を動かして謎を解く、従来通りの謎解きアクションに、

もう一人(足手まとい)を加える事で、新しいゲーム性の確立に成功している。

このように、アイディアを一つ加えるだけで、ゲームは新しくなることができる。

しかし、アイディアがなかなか浮かばず、真似が多くなってしまうのが現実だ。

 

 そんな作品が多くなってしまう大きな理由の一つとして、ゲーム会社の

経営不振が考えられる。売上が未知数のオリジナルタイトルよりは、

人気シリーズの続編を発売した方が、売上が予想しやすい。もちろん、

できるだけ赤字は出したくないので、どうしても安全な方法を選択しがちだ。

また、ユーザーも初耳のタイトルよりは、聞き慣れたタイトルのほうが、

安心してお金を払える。その結果、続編ばかりが市場を埋め尽くす、

エンターテインメント業界としては、不健康な状態となってしまったのである。

 

 現在、その状況を打破すべく、GCやXboxなど、より開発し易いハードが

求められるようになっている。開発期間の短縮、開発費の減少が実現すれば、

クリエーターにとって、冒険がしやすくなるのは明白だ。

私達も、そんな挑戦的なソフトを埋もれさせてしまわず、積極的に見つけて

いけるような、見る目のあるユーザーになれると、最高なんだけどね。

 

 

2002年 5月26日

2003年 9月13日訂正