レトロゲームレビュー/グランディアII

GRANDIA II

 

 

機種

ドリームキャスト、プレイステーション2

発売元

ゲームアーツ

プレイステーション2版:エニックス

ジャンル

ロールプレイング

発売日

00年8月3日

ドリコレ版:02年5月23日

プレイステーション2版:02年2月21日

価格

6,800円

ドリコレ版:2,800円

総監督

高橋秀信

サウンド

岩垂徳行

国内売上本数

30万本以上

(うちプレイステーション2版が約10万本)

プレイ時間

50時間以上

 

 

僕達が待ってた大冒険って・・・・、こんなんじゃない。

 

 

グラフィック

ポリゴンは滑らかだが質感が出ておらず、建造物がおもちゃに、木が模型に、

そして人が人形に見えてしまう。臨場感のない、まさに作り物の世界に落胆。

 9

サウンド

所々で前作のアレンジが流れると気分がいい。曲の雰囲気が爽やかになった

のはいいが、中盤以降のメロディのまとまりがいまいちで、パッとしない気が。

 8

システム

戦闘システムは前作同様で相変わらず戦略性は高い。新要素は戦闘で溜めた

ポイントを振り分けてキャラを強くする部分。わかりやすいがその分物足りない。

 8

操作性

主人公の移動速度が速めなので気持ちがいい。戦闘時の操作も前作同様で、

焦る必要は全くない。ただ、ステータス画面での操作が少し面倒かもしれない。

 8

プラス要素

ストーリーに魅力を感じない。主人公の態度や動向も納得し辛いものがあり、

仲間を含めたキャラクター全てに躍動感が感じられない。戦闘は戦略的だが

さすがに中盤以降は飽きてくる。これではモチベーションが上がらないのでは。

 

外観評価点

 

39

プレイ感想

知識豊かな主人公にとっては冒険もクソもない。心を閉ざし、冷めた反応しか

返さない主人公のせいで、先に進む楽しさは半減してしまったように感じる。

ツルツルと光沢のある村人からは全く生気が感じられず、彼らの話はまるで

腹話術を見ているかのよう。気持ちは伝わらず、聞くのが面倒なだけだった。

ストーリーは冒険を置き去りにして主人公たちの想い描くことに必死である。

そして大地を分かつ大亀裂グラナクリフ。これをいとも簡単に飛び越えたとき、

今作に抱いていた期待は諦めに変わってしまった。戦闘は前作の良さを

そのまま引き継いでいてさすがの一言だし、システムにも入りやすく悪くない。

前作の修正点か、フィールドやダンジョンでは迷いにくいように工夫されていた。

全体的に見ると非常に敷居が低く、ライトユーザーにとっても難なく遊べる

わかりやすい作品となっているのだが、今作に最も必要な遊び心や暖かさ、

そしてまだ見ぬ世界に対するワクワク感がなかったことが残念で仕方ない。

 

内容評価点

 

34

総合評価点

 

73

コメント

今作のテーマは“光と闇”。主人公リュードは他人に心を開かない青年だ。

今作の製作にあたり、スタッフは何を目指していたのだろうか。今作からは、

前作で嫌というほど感じた、スタッフの想いが全く伝わってこなかったのだ。

台詞を棒読みするだけの人々に温かみを感じるわけがない。再び世界の果て

のときのような感動を期待させたグラナクリフも、あっけなく越えてしまった。

我々がグランディアに期待していたものは、その先に広がっているだろう新しい

世界に期待を膨らませて冒険に旅立つ事だ。しかし今作が主張していたのは、

高水準のグラフィックとシリアスなストーリーだけだったように思えて仕方ない。

 

 ゲームに進化、そして変化があって当然だ。しかしその作品が持つ最大の

魅力が変化する、いや、失われてしまうのは受け入れ難い。今作には誰にでも

手軽に遊べるようなわかり易さという魅力も考えられるが、それが前作にとって

代わるほどの魅力だったとはいい辛い。そんな大切な武器を無くしてしまった

今作に、もはや「FF」や「DQ」と対等に渡り合える力はなかったように思える。

 

前作の大好評を背に、一月前に「FFIX」、3週間後に「DQVII」が発売する

という境遇も苦にせず発売された今作。主力RPGが無かったDC市場の中で、

その期待は大きかったに違いない。しかし今作はその期待に反して、市場の

拡大どころか前作の約半数程度の売上を記録するのが精一杯だった。

 

 この後、ゲームアーツは発売をエニックスに一任し、「グランディアII」、そして

新作の「グランディア エクストリーム」発売することになる。しかし、その戦闘に

特化し過ぎた内容によるユーザーとの食い違いなどもあり、グランディアは

一気に厳しい立場へと追い込まれていく。そして、そのことは彼ら自身を辛い

冒険の旅へと刈りたてた。彼らの長い迷走期の始まりである。

 

 

2002年 4月29日

2005年 8月10日訂正