レトロゲームレビュー/グランディア

GRANDIA

 

 

機種

セガサターン、プレイステーション

発売元

ゲームアーツ

ジャンル

ロールプレイング

発売日

97年12月18日

プレイステーション版:99年6月24日

PlayStation the Best版:00年7月27日

価格

7,800円

プレイステーション版:5,800円

PlayStation the Best版:2,940円

シナリオ

はせべたかひろ

サウンド

岩垂徳行

国内売上本数

50万本

(うちプレイステーション版:10万本以上)

プレイ時間

70時間以上

 

 

世界の果てを目指して。 20世紀最後の大冒険物語

 

 

グラフィック

書き込みがとても丁寧で、立ち並ぶ建物や屋内の置き物の質感がとてもよい。

ただ、無機質とは思えない暖かみも持っており、不思議と嬉しくなってしまう。

10

サウンド

メインテーマは壮大過ぎて圧倒されるほど。全体を通して明るい曲が多く、

下町感がにじみ出ているパーム街、楽しく和やかな食事、緊張感を誘う戦闘、

そしてただ明るいだけではなく、悲しいシーンもきっちり押さえてくるから感動。

 9

システム

攻撃するタイミングを見計らって相手の行動をキャンセルさせたり、相手との

位置関係も重要となるアルティメットアクションバトルは、数あるRPGの中でも

最高級の戦闘システムだ。マナエッグや熟練度とあわせてたっぷり楽しめる。

10

操作性

戦闘中はコマンドを選ぶだけなので全く焦る必要はない。移動中は視点変更が

必要な場面では気になるかも。ステータス画面は装備の入れ替えが少し厄介。

 8

プラス要素

オブジェクトのほとんどに触れて、反応してくれるのでとても嬉しい。ストーリーは

王道というか単純明快でボリュームは満点。キャラボイスもピッタリはまってる。

不満といえば、視点がほぼ見下ろし型で視野が狭くダンジョンで見辛い事か。

 9

外観評価点

 

46

プレイ感想

確かにその世界には人々が生きていた。人々はそれぞれの思いを胸に秘め

日々を暮らしていた。話しかければ、彼らは自らの思いを熱く長く語ってくれた。

そして、そこには切なる思いを感じた。暖炉に近付けば炎がバチバチと聞こえ、

船の中を何気なく歩いていたら、立て掛けられたデッキブラシを倒してしまった。

そこに在るほとんどのものには触れることができたし、肌で感じる事ができた。

愛情と遊び心に触れ、喜んで驚て、この世界はかけがえのないものとなった。

これが作り物だというのか。もう自分にとっては真実以外の何物でもなかった。

 

ストーリーはひたすらに突き進み、やがて感動の世界の果てを迎えることに。

行動範囲はほぼ決められており、街や村を自由に行き来して進むことはない。

メインキャラはみんな魅力的で、すぐに別れる仲間も名残惜しいほど頼もしい。

BGMは大冒険にピッタリの感情豊かな曲ばかりで、特にメインテーマは最高。

戦闘は終盤こそワンパターンになりがちだが、戦術的でスリリングな展開を

飽きずに楽しむことができる。視点は、斜め見下ろしの角度が悪く視野が狭い。

慣れないうちはダンジョンでけっこう苦しむかもしれない。

 

 総評としては、よくまあこれだけ大規模な作品を、しかも直球勝負にまとめて

大満足のいくできに仕上げられたものだと、感心というか完全に脱帽ものだ。

主人公のジャスティンが子供っぽいからとか言っていたら完全に損するだけ。

私情を挟んででも全ての人にオススメしたい。一生思い出に残る超大作だ。

 

内容評価点

 

48

総合評価点

 

94

コメント

 セガのハードのみにソフトを供給してきたゲームアーツが、製作期間4年、

制作費8億円をかけ、史上最高の大冒険ゲームを目指して発売したのが、

今作「グランディア」だ。その高い完成度のわりに売れ行きが伸びなかったが、

作り手のこだわりと愛情、そして遊び心が目一杯積め込まれている今作を、

SS最高のソフトに挙げるプレイヤーも少なくない。

 

 あまりに一直線過ぎたシナリオについては賛否両論唱えられてはいるが、

とりあえずゲームアーツは担当しておらず、月光というシナリオ専門の製作部の

メンバーを中心に練り上げられたとのことだ。月光は続編の「グランディアII」や

他社では「テイルズオブデスティニー2」など、多くのシナリオを担当している。

 

 今作が発売された97年は「FFVII」が発売されたという意味で、ゲームの歴史

から見ても大きな節目となった年である。多くの人があの圧倒的なムービーに

魅了され、また業界全体にも“美麗なグラフィック&ムービー=売れる”という

概念が最も強まっていた頃だったかもしれない。今作はその点では「FFVII」に

劣っていたものの、おもしろさはまた別だということをひっそりと主張していた。

 

 

2002年 4月23日

2005年 8月 1日訂正