レトロゲームレビュー/F-ZERO
F-ZERO
機種 |
スーパーファミコン |
発売元 |
任天堂 |
ジャンル |
レース |
発売日 |
90年11月21日 |
価格 |
6,800円 |
プレイ時間 |
5時間以上 |
圧倒的なスピード感。それは新時代の到来を予感させた。
グラフィック |
背景やコース自体は平凡と言われても仕方ない。マシンのデザインも普通。 ただ、このスピード感の表現はそれらが全く気にならないほど凄まじ過ぎる。 |
8 |
サウンド |
クールでありながら、沸々と煮えたぎるような熱さも持っている。このギャップの 二重奏が名曲と呼ばれる所以か。近未来を感じさせる激しいテクノサウンドが、 無機質なサーキットに情熱を注ぎ込む。ミュートシティーがその代表格だ。 |
9 |
システム |
マシンには耐久力メーターがあり、ガードレールに当たらないように走る必要が あるが、回復ゾーンで補充できる。ブーストは2週目から使えるようになる。 L、Rボタンによるスライドターンはアウトインアウトを攻めるのにとても重宝する。 ガチンコのレースなのにジャンプ台が置いてあるのには一瞬ビックリ。 |
7 |
操作性 |
マシンが浮いているので曲がるというより滑る感覚。最初はうまく走れないが、 スピードに慣れスライドターンを覚えると気持ち良く曲がれるようになるはずだ。 |
8 |
プラス要素 |
圧倒的なスピード感は過大評価してしまおう。ただコースが少ないこと、そして 対戦が出来ないことはかなりのマイナス要素だ。主要マシンの台数も少なく、 代わりに変な周回遅れのマシンがいるので邪魔。タイムアタックはやるかなぁ。 |
7 |
外観評価点 |
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39 |
プレイ感想 |
最初は体験したことのない速さに驚き、そのスピード感に翻弄されてしまった。 しかしその世界に慣れてくると、次は如何にしてそのスピードを保って走るか ということに夢中になっていく。コーナーではスライドターンやアウトインアウトを 駆使し出来るだけロスのないラインを選んでいく。ブーストのタイミングも腕の 見せ所だ。そんなレースの基本を、この新次元でも忠実に守っているのだから、 もうつまらない筈はない。選べるマシンが4台しかないとか、対戦できないとか、 グランプリで周回遅れのエキストラが邪魔してくるのも個人的には頂けないが、 これからゲームはどうなるんだろう、と子供ながらにボケ〜っと夢を見てしまった ことを覚えている。ハードの進化によるゲームの進化の、初めての体験だった。 |
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内容評価点 |
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38 |
総合評価点 |
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77 |
コメント |
今作はスーパーファミコンの同発タイトルとして、「スーパーマリオワールド」 と共に送り出されたわけだが、今回は同発タイトルというものの役割について 少し考えてみたいと思う。 とりあえず私が思うのは、”本体の普及”と”ハードの性能を見せる”という 2つの役割である。「マリオ」にはその両方が任されていたのかもしれないが、 今作には、前者よりも後者の役割がピッタリと当てはまるのではないだろうか。 当時、今作をプレイした誰もが「スーパーファミコンってすごいなあ。」と思った に違いない。そして、それはメーカーも同じように感じていたはずである。 つまり、今作は同発タイトルとしての役割を見事に果たしたといえるのだ。 しかし、ここで一つの疑問が浮き上がる。今作はこれまでのレースゲームより 少し速くなっただけではないか?と考える人もいるかもしれない。いや、そういう ことにさせて下さい(汗)。「速さ」というゲーム機の能力をそのまま利用しただけ の安易なゲーム。そう捕らえる人もいるかもしれない。ただ、もし私達が今作に 興奮した理由がただ速いというものだけだったとしたら、何だかばかにされた 気分になるし、今まで楽しんできたおもしろさに対しても失礼である。もちろん、 今作がおもしろかったのは、この異常な速さの中でもレースに大切な要素を 失わずにゲーム性を確立できていたからだろう。 今作によって私は初めてハードの進化による驚きを体験した。今作の場合は 驚きと共におもしろさも体験できて良かったのだが、やはり進化して驚いたから といって必ずしもおもしろいわけではないし、驚きはその場限りのものである。 この先も、新しい機器の登場やハードの世代交代によって驚きがもたらされて いくわけだが、その全てがユーザーにとって嬉しい進化だったとは限らない。 ゲームの進化とおもしろさ。これについてはまた次の機会に考えていきたい。 |
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2002年3月19日 2003年7月31日訂正 2005年9月9日訂正 |