レトロゲームレビュー/ファイナルファンタジーZ

FINAL FANTASY VII

 

 

機種

プレイステーション

発売元

スクウェア

ジャンル

ロールプレイング

発売日

97年1月31日

(インターナショナル版:97年10月2日)

PsoneBooks版:01年10月2日)

価格

6,800円

(インターナショナル版:6,800円)

PsoneBooks版:3,500円)

プロデューサー

坂口博信

ディレクター

北瀬佳範

シナリオ

野島一成

サウンドクリエイター

植松伸夫

推定国内売上本数

330万本以上

(インターナショナル版:60万本以上)

全世界出荷本数

846万本

プレイ時間

100時間以上

 

 

この瞬間、ゲーム業界の流れが変わった。

 

 

グラフィック

ムービーと通常時のポリゴンモデルとの差は確かに大きい。しかし、大半の

プレイヤーが始めてみたであろう、デモムービーや、大迫力の戦闘シーン。

これを最高と言わずして、何を最高といえばいいのかわからない。

10

サウンド

優しく切ない“エアリスのテーマ”。夕暮れ哀愁“コスモキャニオン”そして、

激しく厳しい“闘う者達”。音質の向上と多重奏による厚みが、プレイヤーを

圧倒し、包み込む。感動しない方がおかしいと思えるほど、素晴らしすぎた。

10

システム

前作の魔石の発展形であるマテリアシステムは、わかりやすく、奥も深い。

戦闘ではリミット技が初登場し、戦闘での楽しみは何倍にも増している。

全体的にはシリーズを踏襲しているが、新たに楽しめるシステムは多かった。

10

操作性

これだけリアルだと、曲がり道でも自分は真っ直ぐにしか歩けないのが辛い。

また、各所で、押している方向と進む方向がずれているのには違和感がある。

ミニゲームでの操作もいまいちか。それ以外の部分は全く問題無しだけど。

 

プラス要素

美麗なムービーを随所に織り交ぜながら見せる、一ひねり効いたストーリー、

ゴールドソーサーやスノーボード、そしてチョコボ等の、楽し過ぎるミニゲーム、

さらにはやり込む人向けのマテリアや隠し要素など、これはもうやり過ぎです。

10

外観評価点

 

47

プレイ感想

これまでのRPGとは、何から何まで、もはやゲームの次元さえ違っている。

そう思えるほどの衝撃を受けた。随所にムービーを盛り込んだことで、

視覚的な印象は何倍も強くなり、その部分は記憶に残りやすくなっている。

サウンド面は、FFらしさこそ薄れたものの、これまた印象の強いものばかりで、

映画的、劇的という意味では、十分に完成された強さがあったと思っている。

肝腎のストーリーは、後半に収集がつかなくなり気味ではあるが、はっきり

言って、プレイしている最中に、そんな事はほとんどどうでもいいことだった。

戦闘に出られるのは3人と減ったが、ポリゴンキャラの演技やリミット技による

戦略性や迫力はものすごくおもしろかったし、マテリアによるカスタマイズは、

初心者にもわかりやすく、相手に対し自由自在に作戦を立てられるのがいい。

それだけでも一つのソフトになり得そうなミニゲームや、隠されている召還獣を

探すのも楽しい。この先に、何が待っているのか楽しみでしょうがなかった。

とんでもないゲームだった。

 

内容評価点

 

50

総合評価点

 

97

コメント

 97年1月31日。今作の発売によって、この先ゲーム業界が歩む道筋の

大半が決まってしまった、と言っても、それは過言だという人は少ないだろう。

今作をプレイステーション(以下PS)で発売する、とスクウェアが発表したのが

発売のちょうど1年前となる96年1月31日。それまで一進一退の攻防を繰り

広げていたセガサターンとの間に、少しずつ勢いの差が見え始め、さらには、

まだ発売半年前だったNINTENDO64の、ブランドタイトルへの期待は、確実に

薄れてしまったと言っていい。とにかく、今作の発表後、プレイステーションは、

ハード、ソフト共に勢い良く売れ、今作の発売と共にその勢いは爆発した。

そして、その勢いは当分の間冷めることが無かったのである。この一連により、

多くの人気シリーズの続編はPSで発売されることが決定し、PSの地位は

確固たるものとなっていったのである。

 

 さて、今作のコンセプトとして有名な“映画を越える、映画のような”であるが、

これはコアユーザーの間で議論を呼んだ。ゲームは映画を越えられるのか。

そもそもゲームと映画を比べる事自体おかしな話なのではないのか、と。

私個人の意見としては、ゲームと映画は全く違うものだし、どちらが勝っている

などという議論は本質的にあまり意味の無いことだと思っている。それは、

同じエンターテインメントでも、遊園地でのアトラクションやスポーツ、演劇、

音楽、漫画などが、ほぼ独立して(いるからこそ)成り立っている、と考えるのと

同じで、確かにまだ歴史が浅く、完全に受け入れられていないゲームだが、

そこにはゲームでしか出来ない伝え方があるし、それから受ける感動も、

またゲーム特有のものに違いないと信じているからである。もちろん、これが

正解だと威張って言える立場ではないが、エンターテインメントというものは、

どれとどれをとってもお互いに余り干渉しあうべきではないし、それがあり続ける

ためには、ある程度の距離を保っているべきだと思っている。今作が映画を

目指した時点で、作り手は映画に対して負けを認めているのではないか。

そんなことを考えてしまい、一ゲームファンとして少し悲しかった。

 

 何はともあれ、今作の発売を境に、ユーザーの目はより一層ヴィジュアル面に

敏感になり、メーカーも美麗なグラフィックやムービーを最大の売りにすることが

多くなった気がしする。しかし、私達が「マリオ」によって突き動かされたように、

20世紀に最もヒットしたのが「ポケモン」だったように、ゲームのおもしろさの

本質は、決してグラフィックのみにあるのではない。21世紀となった現在、

人々はそれに気付き始めている。より新しいおもしろさを模索し、実現し続ける

ゲーム業界だが、次はどのような驚きが待っているのだろうか。

 

 

2002年 5月 6日

2003年 7月 1日訂正