レトロゲームレビュー/ドラゴンクエスト

ドラゴンクエスト

 

 

機種

ファミリーコンピュータ

開発

チュンソフト

発売元

エニックス

ジャンル

ロールプレイング

発売日

86年5月27日

価格

5,500円

プロデューサー

千田幸信

シナリオライター

堀井雄二

サウンドクリエイター

すぎやまこういち

キャラクターデザイン

鳥山明

メインプログラマー

中村光一

総出荷本数

150万本

プレイ時間

20時間以上

今作の批評家

横山貴志

 

 

マリオだけじゃだめ。ドラクエもあったから今がある。

 

 

グラフィック

主人公はずっとこっちを向いたままカニ歩き状態だし、町や城、人などの

オブジェクトの周りは黒い。さらに、戦闘では背景こそあるものの、

モンスターが1対しか表示できなかった。(しなかっただけかもしれないけど)

 

サウンド

当時の環境や技術を考えると制約は非常に多い。曲数はかなり少なめで、

お世辞にも素晴らしいとは言い難い。しかし、呪文を唱えるときの効果音は

現在に通じるものがある。良好だったようだ。

 

システム

面倒臭い。とにかくだ。主人公が前しか向いていないので、話すとき等は

その方角を選ばなければいけない。階段では“かいだん”、扉では“とびら”を

選ばなければならない。全くこれには大笑いだ。

 

操作性

システムの悪さが操作性の悪さに直結している。この時代のRPGに敏捷な

操作は必要無かっただろうし、慣れてしまえば納得できる時代だったが、

やっぱり悪いものは悪かった。

 

プラス要素

家庭用ゲーム機では初のRPGという事で、当時RPGを知っていたファンには

たまらなかったに違いない。しかし、ライトユーザーにとっては決して優しい

ゲームではなかった事も確かだ。

 

外観評価点

 

28

プレイ感想

今じゃとても見られたもんじゃない。これは1メガを超えていないのだ。

とまあそれは置いておいて、まず、竜王を倒す、という目的があからさまに

はっきりしているのが逆に新鮮である。自由度はそれほど高くないが、

必ず裏ボスがいる現在と比べると、すっきりしていてすこぶる気持ちがいい。

最強の呪文がべギラマで、レベルが30までしかないのもどうかと思うが、

まあ仕方がないだろう。とは言うものの、レベルの高さも呪文の数も、

もう少しあった方が絶対によいが。

 

しかし、この作品あっての「ファイナルファンタジー」であるし、この時代への

影響は計り知れない。まだまだ未完成な点はたくさんあるが、ファミコン初の

オリジナルRPGとしては満点に近いデキだと言える。

 

 

内容評価点

 

50

総合評価点

 

78

コメント

 「マリオ」がFCの認知度を高め、ゲームの一般化を進めたカリスマなら、

「ドラクエ」はその地位を不動のものとし、もはやゲーム業界に落ち目が

来る事など無い、と日本国民に信じさせてしまうほどの力を持った大作である。

そんな大作が登場したのは、FC時代も中期に入ろうとする86年の事だった。

 

 とその前に、今作を生み出した堀井雄二氏について少しご紹介してみます。

堀井氏が生まれたのは1954年。早稲田大学文学部に進学し、在学中から

ライターとしての活動を行っていた氏は、フトしたきっかけから、エニックスが

開催したゲームコンテストに「ラブマッチテニス」という作品を応募した。そして、

それが見事に入選し、現在の仕事であるゲーム作家の道を歩む事となった。

 

 氏には、FC初のRPGである今作を生み出すきっかけとなった作品がある。

それは、PCゲームのRPG「ウィザードリィ」である。この作品に影響を受けた

クリエイターは、数多い事で有名だが、氏もまたこの作品に多大な影響を受け、

FCでどうしてもRPGを発売したくなったという。しかし、当時のROM容量では、

RPGを制作するのは不可能であり、時期相応でないというのが一般論だった。

しかし、容量節約の限りを尽くし、なんとか世に送り出す事が出来たのである。

(ちなみに、今作の記憶容量は512Kbit(キロビット)=0.5Mbitである。)

 

 当然ながら、当時、RPGはパソコンでしかプレイできなかった。そもそも、

RPG自体を知らない人が多く、たとえ知っていたとしても、一般庶民では

なかなかパソコンに手を出す事ができなかった。そんな事情のせいだろうか。

今作は、発売自体はそれほど注目されず、勢いもそれほどなかったのだが、

じわじわと売れ続け、結局は100万本を超える大ヒット作となったのである。

 

 そういえば、「ドラゴンクエスト」を語る上では、サウンドのすぎやまこういち氏も

絶対にはずせない人物なのだが、これ以上書くと、せっかくの横山貴志氏の

批評の邪魔になるので今回はこの辺で。 コメント:宮島

 

 

1999年 8月

2002年10月20日訂正

2003年 8月10日訂正