レトロゲームレビュー/エフゼロ

AIR

 

 

機種

PC

発売元

key

ジャンル

サウンドノベル

発売日

00年9月8日

価格

8,800円

プレイ時間

10時間以上

今作の批評家

ジャータ

 

 

最後はどうか幸せな記憶を・・・・・。

 

 

グラフィック

夏のイメージで、細部まで書きこまれており美しい。

 9

サウンド

生音のようにクオリティーの高い音楽。音楽を聞くだけでも損はしないかも。

また、効果音として使われる波の音、蝉の鳴声、ひぐらしの鳴声などは、

ごく自然なタイミングで使われ、その他の音楽や背景とも不自然感はない。

10

シナリオ

ノベルタイプのゲームはシナリオが大事。下記の内容紹介で。

 9

操作性

ノベルタイプのゲームといえば、分岐点にある選択肢。しかし今作は

選択肢がかなり少ない。その分、1つのストーリー辺りのテキスト量は多い。

シナリオスキップ機能があるのはありがたいが、巻き戻し機能はない。

 

愛情度

個人的に、テーマは「愛情」だと思うです。

 9

外観評価点

 

43

内容紹介

 海辺の田舎町を舞台にしたノベルタイプの作品。ゲーム性は乏しい思われる。

時々現れる選択肢も、重要なものは少なく、テキストを読むだけとなっている。

しかし、その書き込まれた長編のストーリーからは、シナリオさんの相当な

自信が感じられる。そう簡単には負けない感動作だ。このストーリーならば、

ゲーム性の少なさも、なんら問題が無いように感じてくる。

 

 こういう作品は、通称「ギャルゲー」に分類されるらしい。ギャルゲーというと、

大体が、恋愛思考型のストーリーとなっているが、今作の重点は恋愛には

置かれていないと思われる。実際に、プレイしてみて一番気にした部分は、

恋愛よりも「このお話のこの先はどうなっていくのー?」というような、

シナリオの展開だった。

 

 謎のオープニングで始まり、意味深長な言葉で謎を深める第1章。その謎を

第2章で明かすが、さらにそこから続く第3章。第3章でも、ストーリーはまた

ひっぱられていく。もうエンディングでも良さそうだ、と思いつつ続いてゆく中で、

感動はさらに盛り上げられる。そうして引っ張っていったあとに感動のラスト。

あのラストシーンには意表を突かれた人も多かったのでは?

 

 また、こうしたストーリーに相乗効果をかけるのがクオリティーの高い音楽だ。

盛り上がってきたシナリオでは、フェードインをかけた曲が流れ出し、

曲でもストーリーを引っ張っていく。涙を誘うところでは、曲も涙を誘ってくれる。

そして効果音。花火の音、こおろぎの鳴声、波の音…。夕焼けのCGを背景に、

ぴったりの音楽と、それと共に聞こえるヒグラシの鳴声は絶、妙な使われ方だ。

AIRには文章以外からも伝わるものがある。この音楽や効果音もその一つだ。

 

 また、背景の切り替わり方、テキストの表示のされ方。そして、次の画面へ

一気に切り替える方法。左端からブラインド式に切り替える方法。

前画面をフェードアウトさせつつ、次画面をフェードインさせる方法。

前者をスピーディーとするなら、後者は柔らかなものだと思う。このように、

演出を使い分けるのは、文章以外から伝える事にもなっていると思う。

 

 最後に、第3章は映画のように画面の上と下が黒くなっていて、

横に長い画面となっている。これもまた、視界を一変させる働きを有しており、

最終章のドラマ性を引き立てる。テキストが流れるが、映画のように

物語は進み、音が聞こえ、音楽に包まれる。以上のように、この作品は、

グラフィックやサウンド、またシナリオの調和がよくとれていると思う。

 

内容評価点

 

48

総合評価点

 

91

 

2002年11月12日