レトロゲームレビュー/アタックアニマル学園

アタックアニマル学園

 

 

機種

ファミリーコンピュータ

発売元

ポニーキャニオン

ジャンル

奥スクロールシューティング

発売日

87年12月26日

価格

5,500円

プレイ時間

5時間以上

 

 

少女はなぜ空を飛び、動物を撃つのか。

 

 

グラフィック

たくさんの動物(植物、機械?)達が不思議な舞台を彩るが、それでも殺風景。

遠近感はまあまあで、3Dメガネを使えば、立体視も可能となる。

 

サウンド

とても愉快なリズムに、不思議な世界観も自然と納得させられてしまった。

悪気なんて微塵もないよ、と言わんばかりのやってまえBGMだ。

 

システム

一応パワーアップ等の細かい変更点は見られるが、もはやスペースハリアーの

パクりとしか言い様が無い作りなので、ほとんど評価できません。

 

操作性

押した方向にダイレクトに移動し、銃を撃つ。特に苦になるわけではないが、

なかなか思うように攻撃できないのも確か。慣れにも限界がありそうな感じ。

 

プラス要素

プラスできるのは世界観くらい。当たり判定の悪さによる難易度の高さは問題。

あと主人公が着替えます(体操着や水着に!?)。ほんと意味わからんけど。

 

外観評価点

 

27

プレイ感想

BGMは元気はつらつで気持ち良く、風を感じながら跳び回り、動物を撃つのは

爽快感に似た感じもする。敢えて強引なところを繋ぎ合わせたような世界観も、

プレイすると案外おかしくまとまっているからおもしろい。だが、動物も主人公も

当たったのか当たっていないのかわかり辛い、判定の甘さに気分を害され、

今作を中途半端な出来に感じさせてしまっている事が残念なところだった。

 

内容評価点

 

24

総合評価点

 

51

コメント

 今作のについて話す前に、やはり「スペースハリアー」を挙げておくべきなの

かもしれない。「スペースハリアー」は85年にアーケードで発売された、セガの

大型筐体擬似体感3Dシュ−ティングのことだ。当時、その大迫力な筐体と

新鮮な映像表現によって多くのファンを生み出し、名作として名を馳せていた。

今作はどう考えても「スペースハリアー」の類似品であるのだが、メーカーに

してみれば、それこそが売りであり、そこまでしてでも「スペースハリアー」の

恩恵にあやかりたい気持ちだったのかもしれない。

 

 ただ、今作について他にもっと言うべきことがある。これはとても大切な事だ。

現在の流れからすれば、まず「アタックアニマル学園」というタイトルからして、

明らかな動物虐待であり、現在の任天堂なら、このような作品を容認するのは

少し考え辛いことである。しかし、当時5歳だった私は、飛び跳ねるカンガルーを

撃ちさえすれど、決して現実でもそうしようなどと思うはずも無かったし、確かに

映像表現の差こそあれ、ゲームと現実の区別を付けることはたやすかった。

そして、例え危険な作品に出会ったとしても、周りには分別のある大人がいた。

もちろん、現在のようなリアルな映像だったとしたら、どうだったのかというのは

もはや実験のしようがないのだが・・・。

 

 現在、ゲームが何かと悪者扱いされ、犯罪が起こればその原因の一つとして

取り上げられることもしばしばである。確かに、ゲームに悪い影響が全く無いと

いいたいのでないし、リアルな映像表現が可能となった現在、その影響力は、

過去よりも確実に大きくなっているであろうという事は、この私にも想像がつく。

しかし、結局は受け取る側の感性の問題なのでは、と思いたい。それは小さな

子供でさえ、ある程度持ち得るものである。暴力的な作品に悪影響を受ける

以前に、暴力的な作風のタイトルを選んだその感性を先に疑うべきだと思うし、

その感性を持った原因は、ゲーム以前に、周りの我々大人達にもあるのかも、

と考えることはとても重要なことだと思う。このご時世なので、さらに他の原因も

思い浮かぶのだが、このことについてはこの場ではこれ以上追求し難い難しい

問題なので、私にはまだこの思いをまとめられる技量が無い。

 

 しかし、それにしても、私がすばらしいと思っている「ビデオゲーム」という

エンターテインメントが、ただの“悪影響”の一言で済ませられるのは、どうも

納得のいかない事なので、是非ともみなさま方一人一人も、ゲームに対する

確固たる強い思いを持って頂けると、私もこの先がとても心強くて嬉しいです。

 

 

1999年 6月

2002年 8月 7日訂正

2003年 7月15日訂正