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反中間子砲について考える


中間子について

ここではJ-アークの主砲たる反中間子について論じてみたい。だが、その前にまず中間子について簡単に説明しよう

中間子(メソン)

一対のクォーク、ソクォーク(反クォーク)により構成される素粒子。整数値のスピンを持つ。ボーズ-アインシュタイン統計に従うボーズ粒子である。π、η、K、ρ、ωなどがある。湯川秀樹によってその存在が予測された

中間子そのものは多数発見されているが、その最も代表的な物がπ中間子である。

パイ中間子

原子の中で、電子はマイナスの電荷、原子核はプラスの電荷を持っていた。プラスの電荷とマイナスの電荷は、クーロン力によって、電気的に引き合っている。

では、原子核内の陽子と中性子(これらを合わせて核子:かくし)は、どんな力によって、結合しているのだろうか? 陽子は、プラスの電荷を持つ。一方、中性子は電気的に中性、つまりプラスマイナスはない。したがって、陽子同士はプラスとプラスで反発するし、陽子と中性子は電気的には結びつく要因がないように思える。じつは、核子は「核力(かくりょく)」によって結びついている。この核力は、陽子と中性子がパイ(π)中間子をキャッチボールするような形で伝わるのだ。

湯川秀樹(1907-1981)は、核力が原子核内という非常に狭い範囲でしか働かないことから、不確定性原理をもとに計算を行った。その結果、電子の約200倍の質量を持つ未知の粒子、中間子の存在を導き出し、1935年に論文を発表した。

翌年、アメリカのアンダーソン(陽電子を発見した人)が、宇宙線の中に電子の約200倍の質量を持った粒子を発見した。これこそ湯川秀樹の予言した中間子だとされたが、これは別の中間子であるミュー(μ)中間子だった。パイ中間子は、1947年、イギリスのパウエルが発見した。

パイ中間子には、プラス、マイナス、プラスマイナスなしの三つの種類がある。中性子がプラスのパイ中間子を受け取ると、陽子に変わる。一方、陽子がマイナスのパイ中間子を受け取ると、中性子に変わるという関係がある。

ただしミュー中間子は発見当時は中間子と考えられていたが、これは中間子ではなく電子などに代表される素粒子レプトンの一種であることがわかっており、現在ではミューオンと呼ばれている。また、もともと中間子はその質量が電子と陽子や中性子などの中間と言う意味で名付けられたが、現在では陽子よりも重い中間子も見つかっている。

反中間子砲の正体

反中間子砲とは中間子と対消滅するフィールドを光線状にして発射する武器である。そのようなフィールドについて論じるには些か無理があるので、ここでは反中間子砲を反中間子を利用したビーム兵器と仮定した場合、どのような問題点をクリアしなければならないかを論じてみよう。

原子核中では陽子から放出されたπ+中間子が中性子に渡されることで中性子が陽子となる。この反応により陽子と中性子が結合している。また、電荷を持たないπ0中間子の反物質はπ0中間子自身であり、+電荷を持つπ+中間子の反物質は-電荷を持つπ-中間子である。このことより、反中間子とはすなわち、π-中間子であると推測できる。

π-中間子はマイナス電荷を持っているので、それを弾として発射するには電磁誘導などを利用すれば良い。何らかの方法で大量に生成(どのような方法で生成するかは考えない事にする)したπ-中間子を、目標へ向けて発射する荷電粒子砲であれば反中間子砲と同等の効果が得られるのではないかと思われる。

実現に向けての問題点

反中間子を用いた荷電粒子砲を実現するには様々な問題点がある。では、それについて検討してみよう。(推論に推論を重ねて行くような論法になっているのは御容赦頂きたい。)

中間子の寿命

π-中間子に限らず中間子はそれ単体では不安定で原子核内部に存在しない場合、短時間で崩壊してしまうのだ。π-中間子は中間子としては比較的寿命が長い部類に属するがそれでも寿命は2.6×10-8秒しかない。つまり、よほどの高速で発射しない限り目標に到達する前にπ-中間子は崩壊してしまうと言う事だ。さらに反中間子砲の射程だが原種艦隊との砲撃戦や頭脳原種の召還した小惑星を迎撃していたのだから、相応の射程はあってしかるべきと言う事で20kmを仮定してみた(この数字に客観的な根拠はあまり無い。本来なら戦艦大和の主砲の射程42kmよりも長く設定したかったが、J-アークは距離をとって砲撃戦をするような戦い方をしていなかったので止めておいた)。

寿命が2.6×10-8秒のπ-中間子を20km飛行させるには、ウラシマ効果を考慮した所、光速の99.99999%以上の速度で発射してやらなればならないことがわかる。さらに中間子を加速するのにも多少は時間のロスはあるだろうから、発射速度はこれよりももっと速くなってしまう。中間子を加速するだけでも大変なエネルギーが必要だ。(ちなみに中間子の速度の計算はこちらの中学生にもわかる特殊相対性理論を参考にさせてもらった。)

反中間子の寿命を考慮するのならば「フィールドを発射する」方式の方が有利なのかもしれない。

大気中での使用

で、加速の問題をなんとかクリアしたと仮定しよう。さらに問題はある。まず、π-中間子が目標物に到達する前に大気中の原子と対消滅する可能性もある。だが、これに関してはあまり心配はいらないのでは無いかと思う。原子のサイズは種類によるのだが、およそ10-9mのオーダーである、それに対して原子核のサイズは10-13mのオーダーである。つまり、原子核は原子全体のおよそ1万分の1程度のサイズしかない。しかも大気の層は原子の密度がゾンダーロボなどのボディと比べて希薄である。大気中で対消滅する中間子も存在するだろうが、それは問題にならないほど微量だと仮定してもさほど不自然では無いだろう。

(もっともこうなると逆に目標に当たっても原子間を擦り抜けてしまう可能性もある。)

磁場の影響

続いての問題は磁場による撹乱である。π-中間子は-電荷を帯びた荷電粒子である。電荷を帯びている以上、磁場の影響は免れない。それに同じ電荷を持った粒子同士だから自身の電荷でビームが反発、拡散されてしまう。これは荷電粒子砲に共通した弱点だ。対抗策としては磁場の影響が問題にならないほど充分大きな運動エネルギーを与えて荷電粒子を発射するか、さもなくば何らかの手段で磁場を制御するか、二つに一つだろう。少なくとも作中にJ-アークが磁場を制御していたような描写は無かったので反中間子砲はおそらく前者の方法をとっているものと思われる。先ほども述べたようにπ-中間子の寿命と反中間子砲の射程との兼ね合いから、π-中間子を光速の99.99999%以上の速度で発射しているとの試算が得られた。それだけのエネルギーがあればちょっとやそっとの磁場の影響は無視できると考えても問題ないだろう。

(巨脚原種は巨大な氷柱で反中間子砲を防御していたが、あれは巨脚原種の発生させた強力な電磁波の影響の方でπ-中間子が拡散され、結果として防御されたのではないだろうか?)

「フィールドを発射する」方式では磁場の影響はどうなるのであろうか?。反中間子を用いた荷電粒子砲のような欠点を持たないのであればかなり使い勝手の良い武器という事になる。

ゾンダーバリアを貫通できるのか?

さらに問題はある。ゾンダーバリアは物質では無いから、反物質兵器によるアドバンテージが無いのだ。ではどうやって、ゾンダーバリアを破れば良いのか?、自分は単純に力押しで破ったのではないかと思う。ガオガイガーがブロウクンマグナムでゾンダーバリアを破っていた事から十分大きなエネルギーを与えればゾンダーバリアを破れることは明白だ。π-中間子の速度を光速の99.99999%と見なす、π-中間子の質量は電子の質量9.11×10-31キログラムのおよそ273倍、すなわち2.49×10-28キログラムである。これを光速の99.99999%に加速した場合、相対論的効果により質量は2230倍以上にまで増加する。これらの数値よりπ-中間子一個あたりの運動エネルギーは2.49×10-8ジュール以上との試算が得られる。こう書くと小さなエネルギーのようだが、そのエネルギーが与えられる範囲が極めて微少であることを忘れてはいけない。π-中間子のサイズがどの程度であるかはわからなかったので、ここでは計算のために半径10-13mの球形だと仮定しよう。さて、2.49×10-8ジュールもの運動エネルギーが半径10-13mの円の面積に加わるものとして計算した所、単位面積当たりに加わる衝撃は7.93×1017ジュールとなる。これならば如何に堅牢なゾンダーバリアとて貫通できて当然と言うものであろう。

「フィールドを発射する」方式ではゾンダーバリアに対してどのような方策が取りうるのかは不明である。

結論

反中間子を用いた荷電粒子砲を実現するには斯くして、幾つもの問題点をほとんど力押しとも思える強引な手段でクリアしなければならない、という事がわかる。


おまけ、反中間子艦載機の場合

余談ではあるが、ピア・デケムの反中間子艦載機に関しては、あの艦載機の中にπ-中間子を発生させる機関があって目標にぶつかった所でπ-中間子を散布するのか、あるいは目標にぶつかった瞬間に小型のESウインドウを発生させ、そこからπ-中間子を放出させていたのでは無いだろうか?。少なくともあの艦載機がπ-中間子の塊だと仮定するのは無理がある事だけは確かだ。


しかしここまで書いておいてナンですが、かなり無茶です。π-中間子を 99.99999%まで加速するってのが既にかなり無茶ですし・・・・。っていうか、そんな運動エネルギーもった粒子が原子核にぶつかったらその衝撃だけで充分原子核が壊れると思いますね。他にも無茶と言うか嘘っぽい所はありますが・・・・、まあ、わかった人は大目にみて下さい。そこまで言い出すと僕の手には負えません。