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ゼニガタアザラシ


平成18年8月24日 AM9:30頃  北海道中川郡豊頃町 大津漁港
〜ゼニガタアザラシのコロちゃん〜

撮影&文:じいちゃん先生

公開:2006.12.8

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 豊頃町の大津漁港に、[3年ほど前から、絶滅危惧種のゼニガタアザラシがすみついている」という。ぶんぶく隊長から「コロちゃんを見て来いよ」と言われていた。
 8月の末に、BABAちゃんと3時間ほどかけて十勝の大津漁港に出かける。

 ゼニガタアザラシといえば襟裳(えりも)岬。ゼニガタアザラシが繁殖していて、1年を通して観察できる。その襟裳から海岸線を東に向かうと、豊頃町である。
 

 コロちゃんは人を警戒せず悠々と昼寝をむさぼっている。そのすきにこちらはおそるおそる体にふれてみる。短い毛でおおわれ、スキーのシールなどいろいろ利用されている上質の毛皮のため、乱獲につながった。
 成獣で体長180cm・体重150kgほどある。黒字に白い輪模様の斑紋が穴の開いた古銭に似ているため「ゼニガタ」と呼ばれる。

 環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種IB類に指定され(環境省 2002)、国内では道東沿岸と襟裳岬に約500頭〜800頭が生息しているといわれている。1940年代には1500頭以上が生息していたとされるゼニガタアザラシは、1980年代に大きく減少したそうな・・・・。

 漁師にとっては、タコやカジカ類などを食べ荒らす害獣とされる。世界遺産となった知床のトド駆除問題が思い浮かぶが、ゼニガタアザラシも地元では漁業との共存が課題となっている。

 自然界に生きる野生アザラシの「コロちゃん」、与えられたエサは絶対口にせず、4mもある岸壁から早朝の海中にダイビング・・・・エサをとる。
 2006年7月「アザラシ界のオヤジ」で全国にテレビ放送されて以来、大人気!
 見世物のようで、しっかり野生。今も岸壁を訪れるひとがあとをたたないという。

(2006.8.24 ISAMU)

 鰭脚目アザラシ科  大きさ オス150〜200cm、メス120〜170cm 分布 北海道  太平洋〜大西洋
 絶滅危惧IB類(環境庁)
 日本に定住する唯一のアザラシで、その名のとおり、白い銭型のような斑点があるの。ゼニガタアザラシには5亜種あり、日本の亜種は氷を嫌う種で、流氷のこない岩礁にすむ。海の中の魚をとって食べ、岩場で休む。
 5月〜6月、岩場で出産。ゴマフアザラシと違って、子どもは親とおなじ柄で生まれる。基本的には単独生活だが、岩礁では集団で見られる。以前は、狩猟の対象だったが、現在は絶滅危惧種に指定され保護されている。
 ウォッチングのコツ・・・日本のゼニガタアザラシの多くは北海道襟裳岬に集中している。通年、観察できる絶好のポイントだ。岩礁で休むアザラシを見るには、双眼鏡などをもっていこう。
 コロちゃんは、岩礁ではなく、大津漁港で、休んでいることが多い。人間を嫌がらない、珍しい個体としてテレビで紹介されたが、あくまで野生動物。さわったりせず、静かに見守ろう。雑菌などもあり、また万が一噛み付かれたら大怪我になる。

〜 豊頃町のコロちゃん 〜

大津港の岸壁でお昼ねタイム

じいちゃん接近するも、意に介する様子なし・・・・

襟裳の海岸線。ゼニガタアザラシの生活場所だ。

 このゼニガタアザラシは、最初のころ、豊頃の「豊」から「とよっピー」と呼ばれ町の広報誌に出ていたが、いつの間にか、「頃」から「コロちゃん」の愛称がつき、この町の人気者になる。
 北海道周辺の海域に生息するアザラシは5種類いて、ゴマフアザラシゼニガタアザラシワモンアザラシアゴヒゲアザラシクラカケアザラシなどが回遊していたり生息している。
 国内の水族館などの施設でもアザラシはよく飼育されているが、ゴマフやゼニガタが多く、他の種類は飼育が難しいという。

気持ち良さそうなコロちゃん・・・

 コロちゃんの前に、ゼニガタアザラシの生息地、襟裳岬の風景をごらん頂こう。じいちゃんは襟裳では強風と霧にはばまれ、ゼニガタアザラシには会えなかったが。