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 偶蹄目シカ科  大きさ 雄90cm〜190cm 雌90cm〜150cm 北海道〜九州 7つの亜種がある。
 同一種がベトナム〜極東アジアに分布 
ケラマジカは、近絶滅種(IUCN)天然記念物
 群れで生活する。草地のある森林に生息、木の葉、草、種子などを食べる。オスは大きな角をもつ。夏毛は茶褐色に白い斑点の鹿の子模様がある。繁殖期は一匹の雄がハーレムをつくる。北海道のエゾシカ、本州のホンシュウジカ、屋久島のヤクシカなど7つの亜種がある。
ウォッチングのコツ・・・日本各地で増えすぎで問題になっているシカ。夜によく活動し、夜間の林道ウォッチングがおすすめ。場所を選べば観察はそれほど難しくない。
 今回取り上げた金華山(きんかさん)は、三陸沖の風光明媚な観光地だが、たくさんのシカに会える観察地としてもおすすめだ。野生だが、参拝および観光にくる客からの餌付けで、人には慣れている。が、そうはいっても野生、むやみにおどかしたりしないように。

           ↑ 山頂付近のシカ

 時おり、登山道周辺にシカが現れる。でも、たいていは人を無視して森へ消えていく。

ニホンジカ

                    ↑ 八重桜とシカ

  訪れたのは5月初旬のゴールデンウィークのさなか。牡鹿(おじか)町の
鮎川桟橋から金華山に向かって船が出港する。予想以上に観光客でごったがえしており、船の便数も多い。途中の景色を楽しみながら、20分ほどで金華山に到着する。黄金山神社に向かい歩き出すと、人が集まる遊歩道の脇にシカが群れている。奈良公園を思い出すが、ここのシカは恥ずかしがり屋というか、野性味があるというか、人が近づくとすーっと離れてしまうシカが多かった。
 
 八重桜が満開で、シカより花に目が行ってしまう。
 

 宮城県・金華山(きんかさん)は野生のニホンシカがたくさん生息していることで有名だ。昔から神聖な生き物として人々に大切にされてきた。おみやげ屋にはシカせんべいも売っており、さながら奈良公園の東北版である。
 
金華山は島という狭く特殊な環境であり、シカと生態系を考える上でも見ておきたい場所だ。

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撮影 : 宮城県牡鹿町・金華山(平成16年5月1日)

現地施設

金華山
(黄金山神社)
黄金山神社
〒986-2523
宮城県石巻市鮎川浜金華山

0225-45-2301
リアス式海岸で知られる三陸沖にある、静かな島。東奥三大霊場のひとつ、金華山黄金山神社があり、島で生活するのは神社の関係者のみ。金華山には約500〜600頭の野性の鹿と約230余匹のニホンザルが住んでおり、島を歩くコースには野鳥も多く、自然が満喫できる。
年中無休、開門6:00〜17:00、船賃は往復1800円
交通:(電車)JR石巻線石巻駅下車宮城交通バスで50分
    (車) 三陸自動車道石巻港ICから車で50分
    →鮎川観光桟橋〜金華山港 船で25

金華山黄金山神社ホームページ
※船の運航については、各汽船会社のホームページへ
  丸中金華山汽船金華山観光クルーズ遊覧船なべちゃん
→ 神社の入り口にたむろするシカ

 「三年続けてお参りすれば一生お金に困ることはない」という言い伝えがあり、参拝客を集めている。
 
 人間に守られ、天敵もいないから、シカは増え続けている。島はさながらシカ天国だ。

 


 

         シカ、群がる → 

 エサをくれる観光客にむらがるシカたち。おみやげ屋などの周辺には逃げないでエサをねだるシカが何頭も見られた。

 家畜でもペットでもない。これでも、りっぱな野生ジカなのである。

 金華山は、周囲わずか26kmの小さな島。シカの被害が続いていけば、島は草原化がすすんでいく。
 尾瀬や大台ケ原など、日本各地で問題になっているシカの増えすぎも、尽きるところは森林のダメージが心配されているのだ。

 シカは今も神の使いなのだろうか? もし、神の使いだとしたら、「どうすればシカと人間は共存できるのか」という厳しい宿題を、神はシカに託したように思えてならない。
 ・・・・・どうする、人間?
 

                   ↑ 角を切られたオス

 角を切り落とされたオスが草を食べていた。厳しい冬を乗り越え、ようやく待ちに待った春だ。
 

 日本中で今、増えすぎたシカによる森の食害が問題となっている。冬の間に木の皮や新芽を食べてしまうからだ。北海道のエゾシカの問題を聞くたびに、「日本ってそんなに狭かったのかなぁ」と思ってしまうが、金華山はほんとに狭い。狭い環境ゆえに、生態系への影響もより深刻なのだ。 

↑ 黄金山神社の境内にて

 黄金山神社は、出羽三山、恐山と並ぶ東北三大霊場のひとつ。なんと天平勝宝2年(750年)の創建と伝えられる歴史のある神社なのだ。
 そして金華山はその全体が、聖域として信仰の対象となっているそうだ。
 毎年10月第一、第二日曜には鹿の角切りの神事が行われる。オスジカはほとんど角が切られている。ついていたら怖くて、なかなか近づけないだろう。

                     ↑ 山頂近く

 山頂に近づくと急に霧が出る。周辺にはやはり立ち枯れの樹々・・・・・。モミやマツ類が目立つ。シカの影響なのだろうか。しかし、よく見ると老木が多い。海風にさらされては、シカに関係なく枯れる木もあるだろう。松喰い虫の被害も大きいと聞いた。が、老木が目立つということは、裏を返せば若木が少ないということ。シカが若芽から食べれば、樹々は育たず、当然こういう結果になる。

↑ 山頂へ向かう途中・・・

 山頂まで歩くことにした。ハイキングコース(登山道?)を登っていくと、立ち枯れの樹々が目立つ。写真を撮りながらののんびり登山。野鳥の声が近く、キビタキなどが目の前に何度も現れる。シカの糞が多く、それを目当てのオオセンチコガネもけっこういる。が、すれ違う人は少ない。
 島のサルに会いたかったが、それは実現できず。