ウサギ目ナキウサギ科  大きさ 12cm〜16cm  北海道
 岩のごろごろした山にすんでいる。ピーッ、ピーッと高い声で鳴くウサギ。
 氷河期の大昔に大陸からわたってきて、その当時の生活を今も続けているので、「氷河期の生き残り」と呼ばれている。 草や花、コケなどを食べる。冬になる前に、せっせと食料をたくわえ、雪が積もると岩の下などにこもる。
ウォッチングのこつ : 現地では鳴き声を頼りに探す。「ピッ」、「ピチィ」と一定の間隔で聞こえたらナキウサギである。わりと大きな声なので、そのうちにナキウサギだとわかるようになるはずだ。鳴いている周辺の岩の上や、岩と岩の間、地面などを注意深く観察しよう。小さいことと岩と同じ地味な色をしており、リスやウサギと比べても動きが少ないので,、慣れないうちは気づきにくい。とにかく長期戦で粘って探してみよう。 

ナキウサギ

撮影 : 北海道・大雪山系(平成16年8月14日)

 ナキウサギは「生きた化石」とか「氷河期の生き残り」などといわれている。氷河期が終わったとき、山に登って生き残った。寒さには強いけど、暑さには弱い。

 まずは「ピチッ」という鳴き声を探すのがウォッチングのコツ。朝、夕に活発に活動するが、昼間も十分、観察できる。写真のように、わりと目立つ岩の上にいることが多いから、慣れてくると鳴いていなくても見つけられるようになる。見つけたら大きな動きはしないこと。そーっとかがむなどして身を隠し、じっと観察してみよう。あっという間に逃げてしまうかもしれないが、運がよければ5分くらいは観察できる。一度隠れると、なかなかすぐには出てこない。たまに数分後に出てくることもあるが、たいていは近くの違う岩の間からだったりする。
 足場が悪いし、たくさんの高山植物が生えているので、けっして登山路を外れて歩かないように。.

←食事中

 イソツツジの枯れた葉を食べるナキウサギ。緑の葉は食べていなかった。

 食事は5分ほど続いたが、その間、一度も鳴かなかった。

←ちぎったら移動

 葉をくわえたら、そこでは食べずにすばやく岩の上に戻る。
 巣穴に近く、見通しの良い岩の上が落ち着くのだろう。

←葉をちぎるナキウサギ

 岩を駆け下り、イソツツジの葉をすばやく噛みちぎる。写真ではわかりにくいが、二本足で立ち上がっている。

←おしりをなめるナキウサギ

 ナキウサギは2種類のウンチをする。
ひとつはノウサギのウンチをずっと小さくしたような丸いウンチ。もうひとつはタール状の黒いウンチ。栄養が詰まっており、ナキウサギはそのウンチを食べるそうだ。ときおりおしりから直接食べることがあるようで、写真もそんなひとコマかもしれない。

 大雪山系はナキウサギのウォッチングポイントが何ヶ所かあり、有名なところはカメラマンであふれていたりする。,撮影地のここはあまりカメラマンが入っていないので、場所はとりあえずふせることにする。常連さんにとって、一般客が増えるぶんにはさほど支障がなくても、カメラマンが増えるのには抵抗があるものだ。だって、「きゃー、かわいいー」とか思わず口走ると、いっせいに怖い顔でにらまれたりするのだから。


←ナキウサギのウンチ

 ナキウサギのウンチはノウサギと同じように丸いが、ずっと小さい。

 この岩の回りや下にはたくさんのウンチが落ちていた。どうやらトイレのようだ。ナキウサギはオス、メス共同のトイレを持つそうだ。オスとメスはたいてい、なわばりを共有する。

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現地施設

然別湖ネイチャーセンター 北海道河東郡鹿追町然別湖畔
電話01566-9-8181
然別湖畔にあり、様々なガイドツアーを企画している。なんと気球に乗れるプランも。ナキウサギなど生き物のの情報が得られる。
入館料無料  詳しくは、然別湖ネイチャーセンター HPへ
  ↓ナキウサギが棲むガレ場(岩場)

 さて、このナキウサギ、天然記念物には指定されていない。意外と思われる人も多いと思うが、生息数が安定しているのだろう。ことさら厳しい環境を選んだ彼らは、人と上手にすみわけしているのだ。が、裏を返せば限られた環境の元でしか生きていけないということであり、時どき生息地の道路開発などが話題になったりすると、やっぱり心配してしまう。
 ナキウサギのみならず、生息地の周辺にはクマゲラやシマフクロウ、ニホンザリガニなどの希少な生き物たちが多いことも忘れてはならない。


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