砂の墓標   カズハゴンドウ・ストライディング   〜 プロローグ 〜

その墓標は浜風にさらされて、けっして何も語ってはくれない。
・・・・いや、そうではない。僕が目をそむけ、耳をふさいでいるだけ。
墓標は砂だけ。いずれ波に削られ、海に帰る。
たくさんのイルカが眠る・・・.・砂の墓標。

平成18年3月4日  千葉県一宮市(九十九里浜)

その日、海であった出来事を僕らは知らない。
何が彼らを駆り立てたのか。

たくさんのカズハゴンドウたちが死に、僕はただ祈るだけ。

子どもたちの歓声がいつの間にか聞こえなくなった。
気がつくとみな、墓標に向かって目をつぶっていた。

この日もまた一頭が逝った。
「いるかさんさようなら」・・・・。さっきの子どもたちが海に叫ぶ。
海は静かなままで、何も拒まない。
そして砂はなにもかも吸い込んでしまう。

海と砂の狭間で消えてしまったイルカたちの声は、どこに届いたのだろう。
・・・・・・墓標は砂だけ。

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※この記事は4本立てです。
カズハゴンドウ プロローグ 
 
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カズハゴンドウ 2
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