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〜奇蹟の遭遇・イイズナとの出会い〜
千歳市 支笏湖を抱く周辺の森のある場所にて
平成18年1月18日 午前11時7分
その出会いはあまりにも突然だった。
その日は今冬始めたばかりのスノーシューを履いて初の地域探検をしていた時だった。
森の中に足を踏み込むとここは真綿が一面に広がっているような白銀の世界だった。
夏にはほとんど出会うことがないエゾシカやキタキツネ、タヌキ、ユキウサギ、エゾリス、テンなどイタチの仲間や、ネズミなどの様々な動物の足跡をたくさん見ることができた。
その足跡をたどって行くうちにてこれらの生き物がどんな生活をしているのか、僅かながらでも想像することができる楽しさに私は夢中で足跡を追い続けていた。
帰り道だった。目の前2.3メートル先の雪の中からひょっこりと顔を出してこちらの方を向いているような小さな物体があった。 確かにこっちをじっと向いている。
あっ、あれはもしかして!
真っ白で小さくてめんこい顔の小さな物体は私を見つめてキョトンとしていた。
以前支笏湖ビジターセンターでユキウサギの横に並んでいたイイズナのはく製を見た時、あまりにも小さいその姿に衝撃を受けた時のことが一瞬頭をよぎった。
私はあわててジャケットのジッパーを下ろし震える手でカメラを撮り出した。
悲しいことにその日は普段私が使っていたO社のカメラだった。12倍ズーム、手ぶれ防止付き、レンズは明るいのでとても気に入っていたが唯一起動が遅いのが欠点だった。スイッチを入れてから撮る体勢にはいるまでのほんの数秒なのにこの時ほど長く感じられたことはなかった。
「どうかお願い、そのままじっとしていて。お願いだから、、。」
私は祈りながらガチガチと震える手でカメラを構えファインダーを覗いた。
「いたっ、まだこっちを見てくれている!」
幸い数枚撮ることができたが、その小さな物体は願いも空しくスッと穴 に入ってしまった。
そ〜っと近づくと3センチほどの小さな穴がぽっこり空いている。
恐る恐る近づきその穴の中をのぞいたが何も見えない。
そこは古い倒木や根株が転がっておりその上にこんもりと雪が積もっていかにも野ネズミが好んで棲んでいそうな場所だった。
その穴を写した後そっとあとずさりしてしばらく様子を見ること 15分。
当然だが中から出てくるはずも無く、私は後ろ髪を引かれる思いでその場をあとにした。
「まだあそこにいるのかな〜。でもあそこはたくさんのキツネの足跡があったしな〜、、。」 「こんな偶然はめったに、いやそうそうあるものじゃない。もう一生会えないかも、、。」
そんな思いが私をまた何度もそこに向かわせた。
希少な動物に出会う偶然、いや奇蹟はそう度々訪れるものではない。
何度も何度も降り続いた大雪の下でその穴のあたり一面は、息もしないで新しい春をひっそりと待ちわびているようだった。
もう今年は諦めよう、、。また来年、いや再来年、いやずっと毎年来よう。
再び奇蹟を起こす日まで、、、。
イイズナ(亜種キタイイズナ)
食肉目イタチ科 大きさ 約16cm 北海道(キタイイズナ)、青森県、山形県(ニホンイイズナ) 準絶滅危惧(環境庁) |
日本の北にすむもっとも小さなイタチの仲間。オコジョよりも小さい。単独で生活し、ネズミや鳥、昆虫などを捕獲して食べる。自分より大きな獲物も襲う、顔に似合わず獰猛な生き物。夏は腹が白く、背中側全体が濃い褐色。冬は全身が白くなる。
北海道にすむものと東北地方にすむものは近年、染色体の差が確認され、亜種と考えられるようになった。学術的には、北海道のはキタイイズナ、東北のはニホンイイズナと区別される。 |
くーちゃんのコメント
イイズナかエゾオコジョかの判定でかなりの時間を費やしたが、 最終の決め手となったのはエゾオコジョを何度も映像に収めて自らHPで発表されている方の判断だった。
エゾオコジョは高山帯の岩場におり、冬季間にはその麓近くにまで降りてくることはあるらしいが、めったに遭遇出来ないという。外面はほとんど似ているが尾の先が黒いのがオコジョなのだという。イイズナの生息域は川の近くやネズミなどの小動物のいる森の中などの平地。
その後何度もその場を訪れてみた。当たり前だがそんなに簡単に現れてくれる動物ではない。これからもずっと観察を続けてこんどこそ可愛いシッポを見ようと思っている。
◆ くーちゃんのホームページ ◆
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とても希少で出会う確率の低い、イイズナの撮影に成功したくーちゃんに、ぜひにとお願いして、記事をお寄せいただきました。
北海道を中心にたくさんの花と山々と動物たちの記事であふれたくーちゃんのホームページ
Wonderful World は超おすすめです。
くーちゃんありがとうございます。