大海原に生きる生き物たち
 
〜 おがさわらレポート 海編 〜  

2006年3月30日〜4月1日 by ぽんぽこ


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 小笠原諸島は、東京から南に約1000km、大小32の島々から成る。1000kmといえば、東京から博多までの距離。アクセスは定期運航船「おがさわら丸」のみ 5泊6日(島滞在3泊4日)で運航されている。
 
 約5000万年前の火山噴火による隆起によって形成され、大陸と続いた歴史はない。文字通り絶海の島々だ。そのため、小笠原諸島特有の進化を遂げた貴重な生き物が多く生息している。
 4日間の取材から、海・干潟・山のシリーズに分けて、太平洋に浮かぶ島々に生きる生き物を紹介したい。

撮影:平成17年4月1日 小笠原諸島 父島沖にて

 亜熱帯気候の小笠原には四季が明確にないという。でも、生き物たちの四季はしっかりと存在する。
 2月〜4月はザトウクジラが、繁殖と子育ての季節をむかえ、小笠原諸島沖合いに集まってくる。大人となれば14mに達する大型のクジラで、歌をうたうクジラとしても知られる。
 ウォッチング船にのり、沖に出るが、この季節は天候が安定しない。
 ようやく最後の日に、海に出ることができたが、波が高く、激しく船が揺れる。
 沖に出ること1時間、「いました、親子ですね」と船長がアナウンスをする。
 
 ・・・・とうとう、太平洋の主があらわれた。
 

さあ ザトウクジラの海へ・・・!

             潮をふく大迫力のザトウクジラ
 クジラやイルカは、人間と同じ、哺乳類。肺で呼吸をする生き物だ。
 頭の上に呼吸する鼻があり、水面にそれを出して息をする。それをブローと呼ぶ。
 クジラ探しは、ブロー探しでもある。ブローを確認したら、次の瞬間、大きな体をあらわすのだ。大人のクジラは、15分以上、潜っていられる。

                   ザトウクジラの背中
 ザトウクジラは、潜水するときに、背中を大きく曲げるそうだ。
 そのからだの特徴はなんといっても、長い胸びれで、背面飛び(ブリーチングという)なんかしてくれると、よーくわかるのだけど。
 親子連れだから、子どもの泳ぎを助けているから、あんまり飛ばないのかな?
 エンジンを止めた船上で約10分、ひとびとは息をのんで、ザトウクジラの親子を見守った。

← ミナミハンドウイルカ

 日本のあたたかい海でくらすイルカ。
 ザトウクジラの登場より早く、わたしたちを迎えてくれた。

 3頭ほどはいたろうか。
 波の状態がよければ、「ドルフィンスイム」といって、水中で、イルカと戯れることもできるそうだ。

船は、東京都が入島制限を設けて保護している、石灰岩から成る不思議な島「南島」へ

 あたたかな色をした海、そしてその透明度は限りなく高い。
 すべての写真がのせられないのが残念だ。
 ここ、南島では以前は、海水浴などを楽しめたそうだが、地質的な希少価値が高く、現在では、指定のガイド同行の上の入島が認められている。
 とくに、島内での、採集などは厳しく禁じられている。
 そしてこの場所は、野鳥の楽園なのだ。

← カツオドリのつがい

 島のがけっぷちには、春から夏にかけ、繁殖と子育てのために、営巣するカツオドリの姿があちこちに見られるようになる。

 まだ数は少ないながら、その姿を見つけた。

 地上の楽園で、むつみあう。
 まるでアダムとイブ。

← 扇池と呼ばれる入り江にて

 ただの砂浜に見えるかもしれないが、このぷつぷつと並んでいるつぶのようなものはなんでしょう??

 誰かが並べたわけでないのに、きれいに整然と並んでいる。

← ヒロベソカタマイマイ
 
 
はい!これが答えです。

 上の写真のつぶつぶはみーんなこの貝なのだ。

 これは、1000年ほど前に、絶滅したマイマイの化石。
 小笠原では陸生貝類の固有率が8割を超えているが、それは、化石からもうかがうことができる。

← ウミガメの産卵あと

 浜にはウミガメの子ガメの卵のあと

 中には孵化に失敗する子もいるようで、黒いものがそうらしい。
 この時期、沖にはアオウミガメが繁殖のため集まってきている。産卵は、6月〜8月、ウミガメの季節はもうすぐだ。

← アオウミガメ

 おがさわら丸から見つけた。お嫁さんを求めて、やってきたのだろうか。

 行きも帰りもおがさわら丸では看板からのウォッチングが楽しい。
 

 小笠原諸島といえば、イルカやクジラのイメージだろう。
 一年を通じて彼らが集う、素晴らしい海。でも主役は彼らだけじゃない。

 空に目を向ければ、クロアシアホウドリやカツオドリなど、海をまたにかけた海鳥たちのおおらかな飛翔を見ることができる。
 聟島列島はアホウドリ類の貴重な繁殖地として知られる。

 そして、南島に見られるように、南太平洋に火山隆起によって生まれたこの諸島のルーツに出会えたことも忘れがたい。

 この大海原で生きる生き物たちにとって、いつまでも豊かな海でありますように! 
 

写真・文   By ぽんぽこ

公開:2006.4.6

現地施設

小笠原ビジターセンター 大村地区
04998-2-3001
小笠原の情報拠点。自然のこと、生き物のこと、歴史的なこと、基本的なことをここで学ぼう。
おがさわら丸入港中のみ開館 入場無料 朝から21:00ごろまで開いているの。夜には各種レクチャーも。
 
小笠原水産センター 大村地区
04998-2-2545
東京都の水産試験施設、水族館になっており、子供のアオウミガメを観察できる。年中無休 入館料無料 8:30〜16:30
b-シップ
(観光協会)→一番便利な小笠原情報のホームページ
大村地区
04998-2-2587
観光協会やホエールウォッチング協会などが協同で運営する総合案内所。宿泊情報、交通、ホエールウォッチングや各種ガイドツアーの紹介をしてもらえる。 
年中無休 8:00〜17:00(お昼休みあり)
小笠原海洋センター 大村地区
04998-2-2830
アオウミガメの保護、研究のための施設、産卵時期には観察会実施している。ウミガメのことなら迷わずここ。
年中無休 入館無料 8:00〜16:00