琵琶湖産淡水貝をさがせ! (2005年5月6日)
←イケチョウガイ〈琵琶湖固有種〉
殻が厚く、重い。卵型をしており、擬主歯と後側歯がある。擬主歯があることで、カラスガイと区別できる。成貝は120mm〜200mmで300mmに達するものもある。
淡水真珠の母貝として有名で、琵琶湖では養殖されている。他地域でも養殖のため移植されているそうだ。
環境省のカテゴリーでは絶滅危惧T類(CR +EN )である。
←ササノハガイ〈琵琶湖固有種〉
細長い殻が特徴的。よく似たトンガリササノハガイは河川型(流水型)で、もう少しとんがっていて、大きくなるそうだ。トンガリササノハガイが琵琶湖に生息するかどうかもわからないが、近くでは淀川に生息するらしい。
環境省のカテゴリーでは準絶滅危惧種(NT)。堅田では数は多いほうで、すぐに見つかった。
←マルドブガイ〈琵琶湖固有種〉
琵琶湖以外にも分布するようだが、琵琶湖淀川水系以外はすべて移植されたもの。
殻は卵円形で、歯がまったくない。殻頂が大きく発達し、ボールみたいに膨らむ。殻は薄く、堅田では8割以上は割れたりひびが入っていた。
環境省カテゴリーでは絶滅危惧U類(VU)。
←セタシジミ〈琵琶湖固有種〉
これは有名種。かなり美味しいそうで、魚屋さんでも売っているそうだが、時間がなくて味見はできなかった。
一見、大きさも形もシジミと同じに見えるが、殻頂部が大きく、後方に突き出すように膨らむ。また表面の筋(成長肋)はマシジミに比べて太くて荒い。
琵琶湖周辺の河川にも生息しているが、各地に移植されたものはわずかしか生息せず、繁殖も難しいとのこと。
近年は水質悪化や環境の変化で著しく減少しており、環境省カテゴリーでは絶滅危惧U類(VU)である。
← メンカラスガイ(琵琶湖固有亜種)
擬主歯がなく、後側歯のみあるので、メンカラスガイかカラスガイであるのはまちがいない。が、2種の判別の仕方がよくわからず、自信がない。
成貝となると260mmに達するという大型の淡水貝である。カラスガイに比べると殻が薄く、縁が湾入(ゆがんでくる)していくのが特徴。 環境省カテゴリーでは準絶滅危惧(NT)である。
←ナガタニシ〈琵琶湖固有種〉
成貝は70mmに達する大きなタニシ。若い貝は黄緑がかる。やや角ばった形をしており、生息地によっては湖の鉄分の影響で赤褐色をしている。写真のものも赤みが強い。
最近では数を減らしており、南湖ではまれにしか採取されないそうだ。
環境省カテゴリーでは準絶滅危惧(NT)である。
←カゴメカワニナ〈琵琶湖固有種〉
縦肋(たてすじ)と螺層(螺旋状の横の層)が交わるところに粒がならんでいて、ちょうどカゴの目のようになっていることからこの名がついている。成貝は35m〜40m、大きいものでは50mmに達する。
堅田ではよく探せばいくつも見つかった。環境省カテゴリーでは準絶滅危惧(NT)である。
後側歯の様子。擬主歯はない。
判別ポイント!→
← 判別ポイント!
擬主歯と呼ばれる突起がはっきりしている。他の貝もここで見分けることが多い。
←タテボシガイ〈琵琶湖固有亜種〉
大きさは4〜5cm。堅田の中で見つけた二枚貝の中では一番小さく、イシガイに似ている。数は一番多かった。判別は擬主歯で、厚くて平らで、三角形もしくは平行四辺形。たいてい放射状の太い筋が入る。イシガイの擬主歯は薄く、筋は前方に向かうというから、タテボシガイでまちがいないだろう。たぶん・・・。
なぜ固有亜種なのか、さっぱりわからない。
上のタテボシガイとは対照的に、まったく歯(擬主歯,、後側歯)がない。
右は大きく膨らんだ殻頂。
最後に琵琶湖の400万年の歴史を紹介しよう。
新生代第三紀鮮新世の古琵琶湖層から採集したタニシの化石だ。採集地は三重県大山田村の服部川。母岩は粘土。風化がひどく、まともな標本はひとつも採れなかったが、数はたくさんあった。イガタニシという種類のようだ。
参考文献 「日本産淡水貝類図鑑@琵琶湖・淀川産の淡水貝類」 紀平肇・松田征也・内山りゅう監修 発行:株式会社ピーシーズ 2003年 |