個人的名作199

カイの冒険(ナムコ(FC)・1988)

 

 「バビロニアンキャッスルサーガ」といえば、ナムコの名作「ドルアーガの塔」「イシターの復活」「カイの冒険」「ブルークリスタルロッド」。
 いずれも素晴らしい名作でしたが、今回は久々にこのシリーズ…いや物語のうちの1作「カイの冒険」を取り上げたいと思います。


 

【カイって巫女だったら巫女服を…】

 「バビロニアンキャッスルサーガ」における序章にあたるゲームで、スーマール帝国の侵略によりバビリム王国を守る天界の至宝ブルークリスタルロッドが光が失われ、 永きに渡り封印されていた悪魔ドルアーガが復活した。
 ドルアーガはブルークリスタルロッドを奪うと塔の最上階に隠し去ってしまった。
 国を救うためにバビリムの守護神である女神イシターの巫女カイはブルークリスタルロッドを取り返すために「己の身を軽くするティアラ」をイシターより授かり、 単身ドルアーガの塔に挑むのであった。
 

 ゲームは全方位スクロールで上下に重力がある奥行きの無い迷路状のフィールドで、プレイヤーは主人公カイを操作して、ゴールを目指します。
 ゴールは「バビロニアンキャッスルサーガ」シリーズ共通で、迷路状のフィールドのどこかに鍵があり、その鍵を取って扉に触れるとクリアとなります。

 ステージは合計で100面ありますが、最初の60面までがノーマルステージとなっており、60面でエンディングとなります。
 このあたりは原作「ドルアーガの塔」に従った形になっているのでしょう。
 61面以降が難易度が高いスペシャルステージとなっています。
 
 フィールドには敵が居ますが、カイは攻撃をすることが出来ません。全て回避してゴールを目指します。
 Aボタンでジャンプをすることが出来ますが、押し続ければ何処までも上昇する事が出来ますが、一度放すと着地するまで上昇できなくなります。
 また、天井に頭をぶつけると、そのまま操作不能になり『地面に落下してしゃがみこむまで操作不能』になってしまいます。  天井をぶつけた真下が敵や罠だった場合はミス確定です。
 また、Aボタンでのジャンプの慣性が非常にシビアで『0.1秒でも押す長さを間違えるとミスに直結』と言うほどになっています。
 ボタンを押すタイミングの微妙な加減…後半ステージはまさに職人芸並の正確さが問われるシビアさを何分間も求められる …『針の穴に糸を通す』どころか『針の穴に糸を30連発ノーミスで…』な器用さが必要とも言える内容になっています。

 さて、『天井に頭をぶつけると地面に落下してしゃがみこむ』と書きましたが、しゃがんでいる間は判定が小さくなり、通常時の上半身部分の当たり判定がなくなります。
 わざと頭をぶつけてしゃがんで敵の攻撃を回避しながら進む…というシーンもあります。
 しかし、不便な事にカイは自分からしゃがむ事が出来ないので、『ジャンプ⇒天井に頭をぶつける⇒落下⇒着地してしゃがみこむ』という手順が必要で、 着地してしゃがみこむときに敵の攻撃が来るようにタイミングを併せないと…これまたタイミングも職人芸…シビアすぎます。


 まさにAボタンのタイミングの職人…0.1秒のズレも許されないほどのシビアさを極める事でようやっとクリアが見えてくる…と思いきや、それだけでなく
 更に、Bボタンでダッシュという機能があります。地上でも空中でも加速する事が出来き、そのON/OFFはジャンプ同様に敵の回避に重要です …がダッシュ中に壁にぶつかると、天井に頭をぶつけたとき同様に落下してしゃがみこんでしまいます。


 AとBボタン…2つのボタンのON/OFFのタイミングを上手く使いこなす…アクションゲームと言うよりは針に糸を通すような職人芸な内容になっています。


 敵や棘に触れるとミスになります。ミスになるとそのステージは最初からやり直しになりますが、敵に触れてミスになった場合では 触れた敵が消滅した状態でのリスタートになります。
 つまり、若干難易度が下がることになりますが、消えない敵も居ます。また、ゲームオーバーでコンティニューした場合は元に戻ってしまいます。
 

 

【カイた〜ん】

  操作系は「十字キーと2ボタン」です。
 十字キーでカイの移動。
 Aボタンが「ジャンプ」。前述のとおり、押している間だけ上昇していきます。この押す時間が重要なのは前述のとおり…
 Bボタンが「ダッシュ」。押している間は左右の移動が加速されます。これの押す時間も同様に重要です。

 鍵を取ってゴールへ辿り着ければクリアとなります。
 敵や罠に触れるかタイムオーバーでミスになり、残機が減ります。残機が無くなるとゲームオーバーですが、高難易度だけあってコンティニューは無限に可能です。  

 

【宝箱は必須です】

 各ステージには宝箱が置いてあります。設置されている場所とその中身と効果は常に固定です。
 したがって、取るか取らないか、どのタイミングで取るか…もクリアパターン作成の一部になっているようなものです。
 

名称 説明
ギフト プレゼント箱のような見た目。
1万点ボーナスだが、得点は残機にしか影響せず、コンティニューが無限なので得点は殆ど無意味だったりします。
ラッキーフラッグ ニューラリーXでも登場した "L" 文字付きの旗。
残り時間×100点入るが、得点は…(以下同文)
スペシャルフラッグ ナムコ御馴染みのアイテム。
残機が1人増えるが、コンティニューが無限に出来るゲームで必要かといわれると…
ウィング 羽の様な見た目。
音楽が変わり、通常時は空中での落下時は一度着地しなければ再度ジャンプが出来ないが、空中でもAボタンで再上昇することが出来る。
便利なアイテムだが、スペシャルステージでは度々『まず始めに入手すべきアイテム』として出現し、その都度シビアなボタンアクションを求められる…
バリア 「イシターの復活」のプロテクションのような見た目。
敵の攻撃を一度だけ防ぐ。
タイマー 時計のような見た目。
残り時間が増加する。これを取らないと時間が足らない面も…
キャンドル 蝋燭のような見た目。
「ドルアーガの塔」同様、姿が見えていないゴーストが見えるようになる。
リング 小さな指輪。
ウィルオー・ウィスプに触れてもやられなくなる。
タイムストップ "Z" 字のような見た目。
敵の動きが一定時間停止する。
サイレンス 四分休符ような見た目。
敵の飛び道具系が出なくなる。
スリープ 「イシターの復活」のスリープの魔法ような見た目。
一部の敵の動きが止まる。
十字架 そのまんま十字架。
倒す事の出来ない「ヴァンパイア」を消滅させる…要は先に進む為の鍵のような役目で基本的には取らないとクリアできない。
オーブ 大きな宝玉のような見た目。
倒す事の出来ない「オーグル」を消滅させる。消滅対象が違う以外は十字架と同じ。
ワープ クオックスが登場し他のステージへワープさせてもらえる。
ワープ先は固定で、60面までは先のステージへ行けるが、61面以降は逆に戻されるトラップアイテムになる。
ポイズン 薬瓶のような見た目。
タイムの減りが早くなる…要はトラップアイテム。
空箱 空っぽ…何も起こらない。

 

【必ずバビリムの平和を取り戻し…】

 「バビロニアンキャッスルサーガ」唯一のファミコンのみでプレイ可能という作品。今ではプレイする環境が若干難しい本作。
であるにもかかわらず、その非常に高い難易度が与えたインパクトは強烈で「バビロニアンキャッスルサーガ」の中でも強烈なインパクトを持った作品になりました。
 操作の微妙な加減の難しさもありますが、ステージクリアまでの数分間それを正確にやり続けないとミスになって最初からやり直し…苦痛の連続です。 ゲームの難易度とはサジ加減一つでどうにでもなってしまうのか…と思いたくなるような作品でした。

 また60面で「バビロニアンキャッスルサーガ」のストーリとおりにエンディングを迎えてしまうので、主人公カイはドルアーガの魔力により石にされてしまいます。
 家庭用ゲームでは珍しいバッドエンドのエンディングとなっています。 (まぁ、ストーリー上は、ドルアーガの塔⇒イシターの復活⇒ブルークリスタルロッドとなるのですが…)
 まぁ、プレイヤーにとっての本当の悪夢は61面以降のスペシャルステージですがね…

 今だと、絶妙なボタン捌きとイライラの世界を堪能したい方にしか勧められない気もしないでもないなぁ〜。 今思うとこんな作品が1988年に登場したこと自体が恐ろしいです。


…一応「カイの冒険」って、任天堂VS筐体でも存在していたので、アーケードゲームでもあるのですよねぇ〜

 

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