個人的名作175

アレスの翼(カプコン・1986)

 

 80年代初期のカプコンには有名な作品が多かったですが、その頃の作品にしてはちょっとマイナーかな…
 今回は「アレスの翼」を取り上げたいと思います。

 

【伝説の戦士達よ…】

 人類を滅ぼそうとするコンピュータシステム「マザー」を破壊するために軍神アレスは二人の戦士「ミシェル・ハート」と「ケビン・ウォーカー」に翼を与え、「マザー」討伐を命じる…みたいなストーリーだったと思います。

 ゲームは縦スクロールのシューティングで、プレイヤーはショットで敵を倒しながら進んでいきます。
 メインはシューティングですが、洞窟やステージ最奥の神殿に入ると、横スクロールのアクションゲームになります。ショットで敵を倒しながら右に向かって進むタイプに様変わりします。
 2つの全く異なる内容が1つのゲームに詰まっているという、当時にしてはちょっと珍しいゲームになっています。


 大体1つのステージは、「シューティング→洞窟(パス可能)→シューティング→神殿」という流れになっています。神殿のボスを倒すとステージクリアとなります。
 全5ステージで、5ステージクリアすると2週目が始まり、2週クリアでエンディングとなります。

 

【軍神の空中戦】

 シューティングのときは、通常の強制縦スクロールタイプとなっており、プレイヤーは通常のショットと地上へのショットを使い敵を倒していきます。
 地上ショットはナムコの「ゼビウス」のようにプレイヤー前方の標準の位置に向かって単発の攻撃を行います。

 特定の敵を倒すと「P」マークが出現します。回収するとプレイヤーのスピードとショットが強化されます…が、ショットは1個だけでは変化がなく2個でショット幅が拡大する2連ショット、4個で3WAYショット、5個で貫通弾になります。
 3WAYは攻撃範囲が広く、貫通弾は前方のみのショットになる代わりに威力が非常に高く、ステージボスですら一撃で倒せるほどの高性能…パワーアップしすぎです。

 デフォルトのショットは判定が狭いし、威力も無いし…とかなり性能が低く、最低でも2連ショットで無いと戦えたものではありません…が、ミスをすると初期状態に戻ります。
 中盤以降のステージで途中でミスをすると、敵が強いわ、硬いわ、ショットは貧弱なのに「P」マークを落とす敵がほとんど居なくなるわ…で、かなり捨てゲーの絶望感に浸れます。

 特にステージ3以降では「回避困難!?」なくらい敵と敵の弾で敷き詰められ、逃げる場所を探すのも難しいくらいです。

 

【軍神の地上戦】

 シューティングゲーム中に巨大な石像の口に入ると、横スクロールアクションになります。
 ショットボタンでショット、(シューティングのときの)地上ショットボタンでジャンプになります。

 レバーでキャラクターの操作となりますが、上下で梯子の昇降で、梯子の無いところで下を入れるとしゃがみますがしゃがんでも敵の弾を回避できないので、殆ど使うことはありません。  右へ向かって進み、ステージ最奥のボスを倒すと地上に戻れます…が、厳密には入るメリットが得点以外には無く、「P」マークが出現しない上にミスをすれば当然ショットが初期状態に戻る…という辛さ。石像の口から離れて居れば回避することも出来ます。

 アクションのシーンでは敵の種類は少ないのですが、タツノオトシゴの様な敵は弾を撃ちますが回避するのが非常に困難でとりあえずショットを撃ちながら進み、敵を出現と同時に撃破しないとすぐにやられます。
 ステージ最奥のボスを倒すとシューティングに戻れますが、再開位置は入った場所と同じでワープするわけでも無いし、ショットが強化されるわけでも無いし…本当に入るメリットがあるのか疑問なくらいです。


 ステージ中盤には3体の石像が建っているシーンで石像を地上ショットで破壊すると、どれかの破壊跡に大きな穴が出現します。
 これに入ると「Lucky」と表示され、ボーナスステージになります。
 中は強制横スクロールのステージですが、宝箱が大量においてあり、回収するとスコアが増えます…が宝箱は何故かショットで壊すことができます(得点が入らない)。ボーナスステージ開始直後にショットを撃つと丁度1個目の宝箱にヒットする位置に置かれているあたり…巧妙です。
 (宝箱を壊す)ショットを撃つ必要はほとんど無いのですが、特定の場所をショットで打つと「P」マークが出現します。出現位置は固定なので、憶えていれば安全にパワーアップすることが出来ますが、特定の位置を撃つと弾をばら撒く敵が出現することがあるので、乱射は禁物です。


 シューティングステージ最奥の敵を倒すと神殿に入り、洞窟と同様に横スクロールアクションになります。
 ここの最奥のボスを倒すとステージクリアとなりますが、貫通弾では1発で倒せますが、ノーマルショットではかなり厳しい…とほぼノーミスを要求される感じがしないでもないのが辛いところです。

 

【軍神の操作】

 操作系は「8方向レバー+2ボタン」。
 レバーでキャラクターの操作です。
 ボタンは左ボタンがショットで、右ボタンがシューティングでは「地上ショット」でアクションのときが「ジャンプ」になります。

 一部の敵を除いた敵や敵の弾に当たるとミスとなり、残機が減ります。残機がなくなるとゲームオーバーになります。

 

【翼をください】

 マイナーなゲームですが、難易度は対策を立てられるようになるまではかなり高めで、シューティングでいえば敵や敵の弾がそこそこ速く、しかも数が多く、一部の敵の硬さが難関の割には、プレイヤーはパワーアップした上体で無いと中々太刀打ちできない…という辛さ。
 道中でミスをして初期装備に戻ると復活が難しいこともあります。
 同社の「戦場の狼」「ガンスモーク」「エグゼドエグゼス」等も同様に敵の攻撃の激しさがありますが、ノーマル装備でも何とかなるケースが有る事でミスをしても絶望感が少ないので難易度の割には結構遊びやすかった事を思うと、初期装備での貧弱さとパワーアップアイテムの出現しにくさは少々難点でもありました。

 あとは横スクロールの洞窟面のメリットが少ない割には「P」すら出現しないので、ミスをしたときが結構痛い…というのを何故わざわざ作ったのかも…疑問です。


 ステージ構成も全5ステージですが、洞窟は1パターンで神殿も2パターンしかない上、敵の種類も結構少ない(洞窟はボスを含めて3種類しか敵が居ない)…と横スクロール面は見た目的にはちょっと単調で飽きてきちゃう感じもします。
 シューティング面も背景や途中の仕掛けには若干差異があるものの、5ステージ全て「スタート→途中に巨大石像(洞窟)→暫く先にボーナス面の石像→暫く先に神殿」という流れになっているのも、ちょっと単調さを強く感じてしまいます。


 密かに『カプコンでは珍しい女性主人公』という(当時では)ユニークさを持っては居ましたが…前述のとおり、残機がいくら居ても1ミスで崩壊する難易度が「試しにプレイしてみるか」と思った人をあっという間に絶望に追い詰めたりすることも…
 「ソンソン」「魔界村」「エグゼドエグゼス」等、当時のカプコンゲームが頻繁にファミコンに移植されていたにもかかわらず「アレスの翼」は移植されず、少し前にプレステやサターンで流行った『レトロゲーム集を発売が流行っていた時期』にようやく移植された程でした。色々と噛み合わない所がちょっとマイナーに留まってしまったのでしょうか。

 

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