個人的名作157

三國志2(コーエー・1989)

 

 「コーエー」といえば歴史物のゲーム。特に「信長の野望」や「三國志」シリーズは長期にわたり続編が発売される程の人気ゲームです。
 今回は「三國志」シリーズの初期の名作「三國志2」を取り上げたいと思います。
 ちなみに「三國志2」は色々な機種から発売されましたが、今回はバキューブJr.が最初にプレイしたPC9801版をベースにさせていただきます。

 

【英傑達の宴】

 コーエーお馴染みの国取りタイプのシミュレーションゲームです。
 プレイヤーは三国志の時代の君主の1人を選び、全ての国を占領することが目的です。

 国は空白地(誰も占有していない国)なら、武将を移動させることで獲得でき、他人の領土の場合は戦争に勝利することで獲得できます。  逆に自国に居る武将を全て失うか、他国からの戦争に敗北、太守の反乱により国を失います。
 君主を含めた自国の武将を全て失うと滅亡となり、ゲームオーバーになります。

 このゲームに登場する武将は(後述の「新君主」とその部下を除いて)全て三国志正史や三国志演義(以下、纏めて「三国志」と表記)に 登場する人物が元になっており、 それぞれ「武力」「知力」「魅力」というパラメータを持ち、三国志のイメージに近い値を持っています。

「武力」は戦争時の攻撃力と一騎討ちと兵士訓練の効果に影響します。
 戦争時は単純にこのパラメータが影響するのですが、基本的には三国志で猛将といわれる人物(呂布や関羽等)が 高めに設定されている反面、兵士の統率力に優れた智将(シュウユや諸葛亮や司馬懿等)は若干低めに設定されています。
(「一騎討ち」というイメージではないという意味があるのでしょうが…)
 そういう位置づけから戦争時は猛将のみを参加させる傾向になってしまい、智将の出番は少なくなってしまいました。
 その為か、後の作品では戦闘時の攻撃のパラメータは「武力」と「統率(指揮)力」と分けられるようになりました。

「知力」は主に内政時の効果に影響します。
 「知力」が80以上の人物は軍師に任命することが可能です。この作品では軍師は1名のみ任命可能で、 軍師の居る国で内政コマンドや計略を実行する際はその成否を予想してくれます。
(予想の正確さは知力依存で80だと50%くらいで、100だと100%。但し、他プレイヤーへの外交などはプレイヤー次第なので当然ながら外れることも有る。)
 また、「知力」は戦争時では火計の成否と伏兵の被害に影響します。火計はあまり大きな影響がありませんが、敵を火で攻撃することができます。 伏兵とは森に居る部隊は全て伏兵扱いになり、それと接触した敵部隊は強制的に一方的にダメージを受けます。 そのときのダメージに影響しますが、知力90以上ならば必ずノーダメージになります。
「魅力」は君主と太守が主に影響し、部下の忠誠度や住民反乱等に影響します。

 また、これら以外にも幾つかのマスクパラメータを持ち、同じような能力の武将でも個性的な癖がでるように作られています。
 例えば「忠義」。忠誠度に影響するパラメータでこの値が高い武将は義理堅く、忠誠度が低くても中々裏切りません。
(忠誠度よりもこちらの値の方が重要な程)
忠誠度は褒美を与えることで容易に上昇しますが、このパラメータ自体は変化しないようですが、忠誠度以上に裏切りへの影響が大きくなっています。
 三国志でのイメージ通り、関羽は非常に高く、呂布は非常に低いです。
 このパラメータが低い武将は忠誠度が最高の100でもすぐに裏切ってしまう為、武力の最高値を持つ呂布ですが、(裏切りやすい為)やや実用性が低い武将となっています。
 個人的に何故か「忠義」が低い感じがしたのは張コウ。  三国志では袁紹から曹操についた将軍ですが、裏切りの武将というイメージではないのですが…

 

【治世の名君】

 ゲームは1ヶ月単位で進み、通常時は内政を行います。戦争が発生した場合、その都度戦争に切り替わります。
 内政はメニューから実行したいコマンドを選び、次に実行者を選びます。一部のコマンドを除いて実行者の能力値が成果に影響します。

 命令は各武将1ヶ月に1回ずつ実行することが可能なので、武将の人数が多い方が有利となっています。
 また、君主・太守でないと実行できないコマンドもあるので、君主や太守のコマンド実行は計画的に行う事が大切です。

 戦争はコーエーのシミュレーションゲームではお馴染みの6角形を敷き詰めたようなHEXタイプのフィールドで部隊を動かしながら 敵を攻撃していきます。
 隣接する敵部隊に対して攻撃することが可能で、攻撃により敵軍の大将を倒すと勝利になります。
 勝利条件は他にもいくつかあり、「敵の兵糧が0になる」「侵略側が防御側の城に移動する」「敵の大将が隣国へ退却する」ことで勝利となります。
 他国への侵略戦争に勝利するとその国を獲得することが出来、全41国全てを獲得するとエンディングとなります。
 

 

【無双の将軍】

 クリアの条件の1つともいえる戦争ですが、「三国志2」では優位に進めるための方法が非常に簡単になっています。
兵士の強さを決める主な要因は「武将の武力」「兵士の武装度」「兵士の訓練度」です。他にも戦闘時の地形防御力等もありますが、 このあたりは重要度は低いです。
 特に重要なのが「武装度」。これは商人から購入することが可能で同じ武力でも武装度が違えば、大きな差が出ます。 また、大きく武力で劣る武将が高武力の部隊に優位に立つことも可能になります。
 武装度は兵士が減少するごとに減少するため、戦争後に一々買いなおす必要がありますが、手間をかけるだけの価値があります。
 次に「武力」。敵部隊への攻撃力に依存するのはもちろんの事、戦闘の1日目には三国志シリーズ初の一騎討ちを行うことが出来、 そのときは武力が高いほうが有利になります。一騎討ちに勝利すると敵1部隊丸々捕虜にすることが出来るので非常に有利になります。

 戦闘の大半は武力優位になっている上に兵士は武将に属する形になっている為、まずは君主や大将の兵士と武装度を最大まで持たせた後、 武力順に兵士と武装度を集めた方が良いでしょう。
 

 

【小ネタの宝庫】

 このゲームは意外と小ネタが多かった記憶があります。変な仕様が多いといえば…そうだったのかもしれません。

1.先手必勝
 このゲームの戦争には変わった仕様があり、設定画面でCPU同士の戦闘を見るかショートカットするかを選択することが出来ますが、 ショートカットを選んだ場合、CPU同士の戦闘は『守備側の援軍が来ない限り、必ず侵略側が勝利する』ようになっています。
 これは守備側の兵力がどんなに強大でも援軍が来なければ負けてしまいます。 更に援軍は守備側の他の領土から送ることが出来ず、他の君主の国に要請することしか出来ません。 断られてしまえばそれまでですし、その君主と接している国で無いと要請することが出来ない為、 守備側は隣国の状態によってはどうしようもないことがあります。
 CPU同士の戦闘は自国の直轄地から指示を出すことでも可能なので、 最前線の国をCPUに委任して攻撃命令を出しておけば通常ではどうやっても勝てない相手に対しては非常に有効な必勝法となっています。

 プレイヤーが操作もしくはショートカットしないときの通常戦闘の場合、侵略側は一度に最大5部隊。守備側は一度に10部隊出陣させることが可能であり、 更に守備側は11人以上武将が居る場合は余った武将は待機扱いとなり、10部隊の内のどれかが全滅もしくは退却したときは10部隊目として出陣させることが可能であるため、 守備側が非常に守りやすくなっている為、大国を攻めるのに非常に役立つ裏技です。


2.宝物の探索
戦争に勝利するとランダムで戦利品がもらえることがあります。
 部下に与えると能力、忠誠度UPとなる非常に有りがたいものです。
 ただ、1ゲーム中に出現する戦利品の種類は決まっており、それぞれ1度しか出現しません。
出現条件はランダムなのですが、10国(洛陽)に攻め込んで勝利したときだけは必ず戦利品がもらえるので、 『10国を侵略⇒戦利品獲得⇒10国に居る武将全員を移動コマンドで引払う⇒他の君主が10国を移動で獲得する⇒10国を侵略』 の繰り返しで戦利品を貰いまくることが可能です。
 余談ですが、戦利品のうち魅力が上昇するものはオリジナルのパソコン版では姫(三国志に登場する女性)でしたが、 一部の移殖作では宝飾品になっていたりします。


3.色模様
 魏呉蜀の首都にあたる3国を所有した状態で君主を12国(長安)に置いておくと、王允がチョウセンを連れて来るイベントが発生します。
 ちなみにこの2名は三国志2ではこのイベントのみで登場し、武将としては登場しません。
 特殊コマンドでチョウセンと会うことが出来ますが、会う度に誘惑されたり等のお色気なシーンが見られます。
 但し、最後まで見てしまうと、とあるデメリットが発生します。
 表現上の関係か、一部の移殖作では発生しないようです。
 

 

【英雄伝がここにある】

 私が三国志を知った切欠となった作品なだけ、思い入れもかなりある大好きな作品です。
 ルールが明確で分かりやすい上に難易度も下手に高くない為、プレイ時間もさほど多くなく、気軽に遊べる作品になっています。
好きな君主で全国統一を目指す事も弱い君主で逆転を目指すことも楽しめる…お手軽さがとても魅力的な名作となっています。
 只、戦争では武力の比重が多めなので軍師系の武将の出番がやや少ない(あっても伏兵対処くらい)のがちょっと残念ですが、 その辺りは続編のバランス調整に上手く引き継がれています。  

 

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