個人的名作155

てんこもりシューティング(ナムコ・1998)

 

 ナムコから登場した面白おかしいシューティングばかりのミニゲーム集「てんこもりシューティング」。 今回はこの作品を取り上げたいと思います。

【撃つだけだけど…】

 主人公の猿が、さらわれた仲間の猿達を救う為に魔女の塔に挑む…という感じのストーリーで、 プレイヤーは様々なシューティングゲームをクリアして魔女の塔を攻略し、仲間達を助けに行きます。

 ゲームスタート時、難易度を選択する事が出来、EASY(4階建て)、NORMAL(6階建て)、HARD(9階建て)の 魔女の塔を選んで進みます。各階ごとにシューティングのミニゲームを行い、ゲームごとのノルマをクリアできれば上の階に進む事が出来ます。
 ノルマクリアできない場合はライフが減ります。0になるとゲームオーバーになります。

 

【なんと、ボタンが1つ!?】

 操作系は「8方向レバー+1ボタン」。
 様々な種類のシューティングゲームが登場するにもかかわらず、ボタン1個だけの操作系になっています。
 下手に複雑な操作を必要としない為、敷居の低さや遊びやすさを十分に感じる事が出来ます。
 只、デフォルトで連射機能はついていないので、その辺りは『気合』になりますね…。

 

【懐かしいものもあります】

 ミニゲームは塔の1階ではその難易度で選べる全てのゲームから1つを選びます。  2階以降は1つ下のフロアをクリアしたゲームと過去にクリアしたゲーム以外から ランダムで3種類の計4種類から1つを選んで挑みます。
(但し、EASYとNORMALモードの場合は出現しないゲームがある)

 全体的な特徴としては、ゲームは全てタイム制で『制限時間終了時(一部は弾を打ち切った時点)にノルマクリアできたか否か』となっており、 敵や敵の攻撃に何回当たってもミスにならず、タイムロスになるだけになっています。
 シビアなゲームが多い中、何回やられてもOKというのは初心者にとって有り難い仕様だと思います。
…只、デフォルトのライフが2なのは…どうにかならなかったのでしょうか…

※アイコンの名称は見た目から勝手に名付けただけのものです。

アイコン 説明
アンドアジェネシス  懐かしの「ゼビウス」。
 アンドアジェネシスを時間以内に倒せばクリア。制限時間以内ならミスしてもその場復活が嬉しい限り。(クリア時のボーナス点が減るだけ)
 アンドアジェネシスの中央にブラスターを撃ち込むと破壊できるが、1ボタンしかないのでボタンがザッパーとブラスター兼用になっており、 空中の敵を倒そうと(ザッパーを)連射しているとブラスターが撃ちたい時に撃ち込めない点に注意。
ギャラガ  「ギャラガ」のボーナス面風のゲーム。
 一定数以上敵を倒すとクリア。
 一人プレイだとデュアルファイター(二機合体状態)でプレイするのに対し、二人プレイだと1機ずつの操作なので難易度が大きく変わる。
プーカ  「ディグダグ」をシューティング風にアレンジ。
 制限時間以内に画面を上下にバウンドするプーカをショットでノルマ数以上倒せばクリア。
 原作同様、プーカを倒すのには3発必要。
 ファイガーは登場しない…
拳銃  「タイムクライシス2」をシューティング風にアレンジ。
 プレイヤーは手前側で左右にのみ移動でき、フィールド奥にいる敵を時間以内にノルマ分倒せばクリア。
 プレイヤーと敵の間に障害物が運ばれてくるベルトコンベアがあり、障害物はお互いの弾を止めてしまう為、盾にも邪魔にもなる。
(壁が壊せない「スペースインベーダー」的な感じ)
打ち上げ花火  画面下にいる花火師を操作して上からやってくる敵のUFOを制限時間以内に一定数以上倒せばクリア。
 ボタンで花火の発射。連射は効かないがUFOに当たると破裂し、その爆風でも敵を倒す事が出来る。誘爆狙いのゲーム。
 オレンジ色っぽいUFOは誘爆の範囲が広い。
 また、UFOはグループ単位で登場し、全滅させないと次が出ないので効率良い誘爆が求められる。
大型戦車  規定時間以内に大型戦車を破壊するボス戦風のゲーム。
 戦車は2台で、それぞれノルマの半分が耐久値になっている。
戦車軍団  プレイヤーはヘリを操作し、固定画面で各所から大量に出現する戦車を規定時間以内にノルマ数破壊するゲーム。
 敵は戦車だけでなくヘリも出てくるが、ヘリはノルマ対象外になっている。
宇宙船×3  宇宙船が3機登場。全てを時間内に破壊出来ればクリア。
 3機は時間差で登場するので、次が出るまでに倒しそびれると大変になる。
巨大宇宙船  巨大宇宙船を時間以内に破壊出来ればクリアとなるボス戦を髣髴とさせるゲーム。
 ダメージを与えるたびに攻撃パターンがどんどん変化する。
怪鳥  ポリゴンシューティングっぽい感じで、怪鳥(?)の口に一定数弾を撃ち込み時間以内に倒せばクリア。
 左右の移動が特殊で、左右の移動がボスを中心にボスに対して回りこむように移動する様になっている。 側面に回り込むと比較的安全な代わりに口に撃ち込めない…と立ち居地が重要。
計算  数字の書かれたボールが左右に移動するフィールド上で、黒板に書かれた足し算引き算の問題の答えを撃つゲーム。
 誤答すると打ち返し弾が発生し、それに当たるとタイムロス。
 時間以内にノルマ数だけ正解すればクリア。先生にチョークを当てて遊ばないように…
回転寿司  頑固オヤジ風の客の注文するネタを回転寿司から取ってくるゲーム。回転寿司なんだから自分で取れよ…。
 プレイヤーは寿司屋の大将で回転寿司風にベルトコンベアで流れてくるスシに向かって皿を投げ、当たったネタを客に出します。
 制限時間以内にノルマ数以上注文どおりの寿司を出せばクリア。
 レーンは2列になっており、それぞれで左右流れる方向が逆になっており、寿司同士の隙間は若干広め。
 後半では手前のレーンの寿司の隙間に皿を通して奥側のレーンのネタを取ってこれるかが重要なポイント。
 オヤジに皿をぶつけて遊ぶ事も可能。
天使  縦シューティング風で、天使を操作して画面上部から大量に降ってくるリンゴを弓矢で撃ち落すゲーム。
 リンゴは赤と青があり、1Pは赤を撃つと+1、青を撃つと-1で、2Pは逆に青が+1で赤が-1される。
 タイムオーバー時にノルマを越えるとクリア。
 大きなプラスの為に多少のマイナスを恐れない事がポイント。
トーテムポール  3本のトーテムポールを時間以内に全て破壊すればクリア。
 トーテムポールは達磨落しの様に1段ずつ破壊するが、1段毎に攻撃方法が異なっている為、状況に応じた対策が必要。
殿様  忍者を操作して左右に踊りながら移動する殿様に手裏剣を当てればクリア。
 弾数制限があり、撃ち切って倒せなかったときはミス。
 難易度が上がると敵に護衛の忍者が出てくる。
ゴキブリ  食堂の店員を操作して店内に居るゴキブリを全て倒せばクリア。
 プレイヤーは固定画面のフィールド上を(障害物以外は)自由に移動でき、アクションゲームに近い感じである。
 プレイヤーの攻撃方法のスプレーは飛距離は短いが前方を広めにカバーしてくれる。
ビル破壊  道路の向かい側にあるビルに手榴弾を規定回数投げて破壊できればクリア。
 攻撃する為には道路を渡る必要があるが、左右から車が走ってくる為、避けながら攻撃をしなければならない。
 ちょっとだけ「フロッガー」を思い出す…。
アメーバ  撃ち込むと分裂するアメーバを時間切れまでに撃ちこみ、ノルマ数だけ細胞分裂させればクリア。
 アメーバに撃ち込むと分裂をして増える為、撃ち込むほど当て易くなる。但し、分裂するときに撃ち返し弾が飛んでくるので注意。
ミサイル  地上から3発のミサイルを撃ち、画面上部を左右に飛ぶ飛行機をノルマ以上破壊すればクリア。
 飛行機を破壊すると大きな爆風が起こり、その爆風に触れた飛行機も破壊することができる。要は連爆狙いのゲーム。
 大量に破壊できると快感。
火山  火山を噴火させてUFOを撃ち落すゲーム。シューティング要素はやや低い。
 レバーを回転すると火山のゲージがたまっていき、ボタンを押すとゲージ量に応じた噴火が起こる。
 ゲージを大量に溜めると大量に撃墜できるので、レバー回転力が鍵。
ドクロ柄のボム  画面全体攻撃のボムを1発だけ持った飛行機を操作して、機定数以上の敵を倒せばクリア。
 敵は徐々に増えながら弾を撃たずにゆっくりとプレイヤーに近づいてくるので、 それをかわして粘り、ノルマ数を越えたと思ったところでボムを投下していく。
(ノルマが緩ければタイムアップギリギリまで粘る必要は無い)
 敵の体当たりを喰らうとその時点でボムが投下されるが、殆どの敵が画面外へ退散してしまう為、ノルマクリアは絶望的。
戦闘機  シューティングゲームの道中っぽいステージで、規定時間以内にノルマ数以上の戦闘機を倒せばクリア。
 戦闘機は連なって出てくる事があるので、編隊の一番手前を撃ち漏らすと結構キツくなる。
プロペラ機  敵を倒すと勲章を落とす。その勲章を時間切れ時にノルマ数以上獲得できればクリア。
 勲章を集めるほど自機がパワーアップするのが面白い。
鉄砲魚  プレイヤーは鉄砲魚で、制限時間にノルマ数以上の虫を食べればクリア。
 虫を食べるには「水面付近に居る虫に水を当てて水中に落とす」⇒「水中に落ちた虫の場所まで移動」というプロセスが必要で、結構面倒で難しい。
ハート  舞台にいる女性に一定数ハートを当てるとクリア。
 ハートを他の男や犬に当てるとプレイヤーに襲い掛かってくるが、敵をかわすのもハートを当てないようにするのも難しく、難易度が高い。
カラス  カラスから制限時間までの間に4つの米俵を守るゲーム。プレイしていると「ドンキーコング3」と「キングアンドバルーン」を思い出す…
 烏の落とす糞とショットを当てたときにたまに落ちてくる死骸に触れると一定時間行動不能になる。
 カラスは大群で上空を飛んでおり、暫くすると地面にある米俵に着地して米俵を持ち去ろうとする。 画面上部まで持ち去られるとミスになるので、それまでに米俵を運ぶカラスを倒さなければならない。また複数匹で運ぶケース(スピード上昇)もある。
 1個でも持ち去られたらミス。

 シューティングをコミカルで楽しくさせたものやミニゲームで終わらせるのが勿体無いような程作り込んでいるゲーム等、 様々なゲームを楽しむ事が出来ます。

 後半ステージに進むほど難易度が上昇しますが、幾つかのゲームは 「多少難易度が上がっても何とかなりそう…」というゲームもある辺りが嬉しい限りです。

 また、ゲームクリア毎にゲームでの成績に応じたスコアがもらえますが、その得点がハイスコアであれば名前を入れることが出来、保存されます。
 そのためか、ノルマを越えてクリアやノーミスボーナス等、貰えるスコアの種類が沢山あり(ゲームによって変わる) 『ノルマギリギリでいいからクリアを目指すか』『ノーミスで完璧なプレイでハイスコアを狙うか』ゲーム一つ一つのプレイが非常に熱くなれます。

 ミニゲームをクリアしていき、最上階に進むとNORMALとHARDの場合は魔女との対決になります。
 対決専用のシューティングゲームになり、魔女の操るゴーレムの攻撃をかわしつつ、 制限時間以内にゴーレムを破壊する事が出来ればクリアとなります。ゴーレムに撃ちこむごとに攻撃パターンがドンドン変わっていきます。
 更にHARDの場合は、逃げる魔女を倒すゲームとなり、これをクリアするとエンディングになります。
 エンディングの後にスタッフロールが流れてきますが、画面下に「ギャラクシアン」のシップが登場し、操作することが出来ます。 ここではプレイヤーはスタッフの名前に弾をを撃ちこむ事が出来ます。 しかもスコアが増えるのでスコアラーは最後まで気が抜けません。
 最後の最後までシューティングさせてくれるとは…

 

【遊びやすさがポイント】

 何度か書きましたが、『遊びやすさ』という面では非常に優れた作品だと思います。
 最近のシューティングゲームは大量の雑魚の大量のバラ撒き弾やボスの弾幕を休憩無しに長時間潜り抜けていけるスキルと集中力が無いと 『3回やられて即終了』という少々敷居の高いものという印象があるものですが、「てんこもりシューティング」はノルマ制のミニゲームにする事にして、 それらの苦痛を出来る限り継続させないことにより、初心者でも十分に遊べるゲームに仕上がったのではないかと思います。
 特に『やられてもタイムロスだけで残機が減らない』というのが大きいのではないでしょうか。

 私自身もシューティングゲームは得意ではないのですが、この「てんこもりシューティング」なら1コインで十分に楽しむ事が出来ます。
 シューティングゲームに抵抗を感じる方でも、このゲームをプレイすると 「シューティングゲームってこんな楽しみ方があるんだな。」と意外な発見があるかもしれません。

…という良作の割には余り見かけないし、続編も出ないし…

 

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