個人的名作139

怒(SNK・1986)

 

 SNKの名作ゲームであり、後には「ザ・キングオブファイターズ」にも登場している「ラルフ」「クラーク」の名コンビが活躍する「怒」。
 今回はこのゲームを取り上げたいと思います。

 

【まずは怒れ】

 縦スクロールのアクションゲームです。
 シーンは孤立無援で無数の敵兵ばかりの戦場で、プレイヤーは1P「ラルフ=ジョーンズ」と2P「クラーク=スティル」を操作し、 敵兵を撃破し、ゴール目指して進んでいきます。
 プレイヤーは銃と手榴弾を持っており、銃は真っ直ぐに飛び壁や岩などがあると止まってしまいますが、スタンダードで使いやすい武器です。 手榴弾は投げると一定距離先で爆発します。壁などを越える事が可能です。
 また銃はプレイヤーの右手に手榴弾は左手から発射されるので、若干攻撃位置が変わります。 右端や左端では若干武器を選ぶことがあります。


 このゲームの特徴として、レバーが挙げられます。
 レバーは「ループレバー」と呼ばれ、通常のレバーのように8方向に倒してキャラクターを移動させることが出来ますが、 レバーの先端がダイヤル式になっており、回転させることによりキャラクターの向きを変える事が出来ます。
 つまり、キャラクターの移動方向と向きが別々になっています。

 攻撃はキャラクターの向きに依存しており、レバーを回転させなければその向きで固定されたままで移動するので、 後ろに進みながら前方向へ攻撃…と言ったことが出来ます。
 他のゲームでも採用されている方式で、操作は若干複雑ですが思い通りにキャラクターを動かすという面白さが充分に伝わる内容になっています。
 また、縦スクロールですが敵は後ろや横からも登場するので、避けながら攻撃する面白さが常に楽しめます。

 道中には何故か戦車が置いてあることがあり、乗ることが可能です。
 戦車に乗っているときは手榴弾を消費して強力な弾を撃つ事が出来、更に敵兵士を体当たりで倒す事が出来ますが、 敵の手榴弾や戦車の弾を受けたときとエネルギーがなくなったときは一定時間後に爆発してしまいます。
 爆発までに降りて逃げないとミスになります…下手をするとミス確定になるので、ご利用は計画的に…。


 最終地点にいるボスを倒してゴールに辿り着くとエンディングです。
 敵に当たったり敵の攻撃を喰らうとミスとなり残機が減ります。残機が0になるとゲームオーバーになります。

 

【怒りの矛先は】

 操作系は「8方向ループレバー+2ボタン」。
 ループレバーは前述のとおり、移動と攻撃方向。
 ボタンは「銃」と「手榴弾」で、これらも前述のとおり若干性能が異なるので使い分けが重要です。

 

【弾無限の銃などあるはず無い!!】

 ステージ途中には色の違う兵士や建物があり、破壊するとアイテムを落とすことがあります。
 アイテムは銃や手榴弾の補充やパワーアップになりますが、「銃」と「手榴弾」の補充というのがミソで、 大体こういったジャンルのゲームは基本武器の「銃」が無限に使えて…という感じになる事が多いですが、このゲームでは 「銃」「手榴弾」両方とも弾数制限があります。
 つまり、(ある程度は余裕はありますが)無駄撃ちが出来ない作りになっています。
 孤立無援の戦場で弾が無限に撃てる銃を持っている事自体がおかしい…ってことでしょうか

アイテム 効果
銃の残弾数が増える。
そこそこ見かけるが、意外と欲しいときに出ないことがあるので、過度の無駄撃ちは禁物。
手榴弾 手榴弾(戦車に乗っているときは主砲)の残弾数が増える。
これもそこそこ見かけるが、意外と欲しいときに出ない(以下略)。
ポリタンク 銃と手榴弾の残弾数が増え、戦車に乗っているときは更にエネルギーが回復する。
割と見かけるが、戦車にずっと乗り続けられるほどの頻度では登場しない。
S 銃の弾速が上昇する。
敵の弾を掻い潜って攻撃するには有難いが、無くても困らない気がする。
L 銃の射程距離が上昇する。
早いうちに拾いたいが、意外と見かけない気がする…。
F 銃がパワーアップする。
弾が赤くなり雑魚や壁を貫通するようになる。
B 手榴弾がパワーアップする。
爆風が派手に広範囲に広がり、非常に強力になる。
K 画面上の敵が全滅する。
少し進めば敵が大量に出るゲームなので有り難味が少ない割にはあまり見かけない。

 

【ループレバーの名作】

 縦スクロールながら、敵が全方位から襲い掛かってくる仕様のため、 ループレバーをつかって対応する方向を変えていくという面白さと熱さがありますが、若干難易度が高いのが難点でしょうか…。
 序盤はともかく中盤以降は銃や手榴弾のパワーアップが無いとまず突破は難しいほどの大量の雑魚敵に 手榴弾で無いと倒せない割には弾速が速い戦車や大量に弾をばら撒く戦闘ヘリに…と敵が異常に強く。
 更に後半には顕著に増える着弾式のトラップや敵の赤い手榴弾の攻撃範囲の広さは尋常でなく、近距離では回避はほぼ不能なのに大量に…。

 とにかく1コインオールはかなり慣れないと難しい作りになっています。
 逆に正に「孤立無援」と言う感じなのでしょうか。弾数無限ではないので、敵を倒すのに一々弾を使っていられないが、 残したまま突破すると敵の攻撃がかわせない…しかも中盤以降は初期装備では絶望的な状況になったりします。

 それにしても、「サイコソルジャー」の麻宮アテナらと共にSNKの格闘ゲーム「ザ・キングオブファイターズ」で彼らが復活した事により、 ある意味知名度が上昇した作品ですが、本作をプレイしたことが無い人も多いのでは…。
 難しいゲームでは有りますが、中々当時にしては味のある仕上がりになっています。


 個人的には嫌いじゃないゲームなのですが、実際にプレイしたのは登場してからずっと後に某レトロゲームゲーセンでの事でした。
 子供の頃にも何度か見かけていて知っていたゲームだったのですが、『何となく操作が複雑そうな感じや難しそうな感じ』があって敬遠していました。 …ですが、ちょっと試しにプレイしてみると逆にその複雑そうな操作系がアクションゲームとしての面白さを出していた事を知りました。

 …只、このゲームは特殊操作系「ループレバー」を使用する為、中々よっぽどのレトロゲームゲーセンでないと設置できない…というのが現状。
 ゲームの面白さを向上させた「ループレバー」という操作系が皮肉にもプレイ機会や移殖の機会を失わせているのでしょうか…。

 

【相棒…】

 KOFシリーズでは良き相棒である「ラルフ」と「クラーク」ですが、二人が初コンビとなったのは本作が最初。
 ストーリー上では主人公の「ラルフ」は「クラーク」とは初対面という状況での作戦行動であり、彼を信頼をしていない… むしろ油断ならない「謎の男」と思っているところがありました。
 キャッチフレーズにも「生き残る為なら仲間を倒す」となっており、一歩間違えれば死が待っている戦場の臨場感をも感じさせられます。

 しかし、この作戦を通してお互いを認め合ったのか、この後の幾多の作戦やKOFでは良き相棒として共に戦うことになって行きます。

 尚、このゲームは設定次第では『プレイヤーの弾で他のプレイヤーを倒す事』ができます。
 同士討ちというのは無用な仕様にも思えますが…これも戦場か。

 

【ライバルは…某C社?】

 SNKの「怒」とカプコンの「戦場の狼」。
 SNKの「サイコソルジャー」とカプコンの「ソンソン」。
 そして格闘ゲームブームで鎬を削りあった両者…何か似たような作品という変な繋がりを感じたりする辺りがするんですよね。
 意識していたりしたんでしょうか…

 

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