個人的名作134

PANG3 〜怪盗たちの華麗な午後〜(ミッチェル・1995)

 

 「ポンピングワールド」「スーパーパン」等…隠れた名作ともいえる「パン」シリーズ。
 今回はそのシリーズの1つ「PANG!3」を取り上げたいと思います。

 

【怪盗たちの回答】

 固定画面のステージクリア型のゲームで、ステージは下に重力がある形になっています。
 このシリーズのゲームには共通のルールがあり、ステージにはバウンドするボールがあります。

プレイヤーはワイヤーを上方向に伸ばすことができ、天井や壁かボールに当たるまで伸び続けます。

 ワイヤーをボールに当てると、ボールが少し小さな2つに分裂します。

分裂したボールに更にワイヤーをぶつけると更に小さな2つに分裂し…最終的に豆粒のようなボールにワイヤーを当てるとそのボールは消滅します。
 ステージにあるボール全てを消すとクリアになります。

 プレイヤーはゲームスタート時に3つのモードから1つを選んでプレイすることが出来ます。
 初心者向けの「ビギナー」。ステージクリア型の「ノーマル」。ひたすらボールを消しまくる「パニック」。
 どのモードもボールを消すという基本ルールは同じなのに『全く別ゲーム』と思わせるほどの違いが有り、いろいろな角度から楽しめるようになっています。
 

 

【怪盗たちのワイヤーの快投】

 操作系は「4方向レバー+1ボタン」。
 レバーでキャラクターの操作。ボタンでワイヤーの発射。
 初代からずっと仕様が変わらない辺り、初代の時点で概ねシステムが完成しているということなのかもしれませんね。

 ゲームは残機制でキャラクターがボールに触れるか時間切れ(制限時間のあるモードのみ)でミスとなり、残機が減り、0になるとゲームオーバーです。

 

【ワイヤーはいいや〜】

 このシリーズでよく出来ている点としては「ワイヤーの当たり判定の幅がキャラクターのやられ判定の幅よりも非常に狭い」ということでしょうか。
 ボールは常に放物線を描くようにバウンドしながら進み、プレイヤーはバウンドの下を楽に潜ることが可能ですが、ワイヤーの幅が狭い上、真上にしか発射されない(一部の例外を除いて)為、着地地点付近の斜め方向から来るボールに対してはきちんと回避しなければぶつかってミスになってしまいます。
 ボールのバウンドのタイミングと位置を見計らって安全地帯を見つけ、そこでボールを対処していく…ボールの数が増えれば増えるほど、その判断の正確さと時間がシビアになってきます。
 見た目は単純なルールなのですが、遊びこんでいくと熱さを存分に感じることが出来ると思います。

 このゲームのワイヤーには幾つかの種類があります。一部のワイヤーはビギナーとノーマルモードではアイテムとして出現し、拾うことで変更することが出来ます。
 ステージによってはワイヤーを上手く切り替えると非常に楽になる場合があります。

種類 性能
ノーマルワイヤー 真上にワイヤーを発射します。
一度に1発しか撃てず、一度撃つとボールか天井等に当たるまで消えません。(次が撃てない)
ダブルワイヤー ノーマルワイヤーと同性能ですが、2連射まで可能なので便利。
刺さりワイヤー  ノーマルワイヤーと同じく真上に伸びるが、天井もしくは破壊不可能の壁に当たった場合、一定時間ワイヤーがその場に残り続けます。

 天井が低くて攻撃や回避が困難な場所に予めワイヤーを仕掛けておく等の色々な使い方がある。
 また、本作での刺さりワイヤーはノーマルワイヤー2本分の性能になっており、1本で2回ボールを割ることができるので非常に便利。
 更に、ワイヤーが刺さった状態でワイヤーボタンを押すと(刺さっているワイヤーが消え)ワイヤーを撃ちなおす事が出来るのが有りがたい。
(前作までは、消えるまで次が撃てなかった)
斜めワイヤー  左右の斜めに2本のワイヤーを延ばす。
 ボールの真下に居なくてもボールを割れるのは利点(?)だが、壁の多いノーマルモードでは慣れないと使いにくい。
パニックモードでは当てたいボールに当てられず、当てたくないボールに当たることが多いので、かなり『パニック』を味わえます。

 シエラがデフォルトで持っているワイヤーで、ゲーム中にはアイテムとして出現しない為、シエラ以外では使用することは出来ない。
ショットガン 真上の広範囲に大量に弾を撃つ。
 ヒットしたボールはワイヤーに当ったときと同様に分裂するが、大量に連射すると一気に消滅させることが可能。
但し、制限時間があり、ワイヤーで壊せる壁を弾では壊せない。更にパニックモードでは出現しない。…という性質がある。

 

【ノーマルに飲まれるな】

 先に紹介した3つのゲームモード。
 ビギナーとノーマルモードはステージクリア型の構成になっており、様々な壁や障害物や地形のあるステージで各所にあるボールを全て消していきます。
 ノーマルモードではボール以外にもステージを歩き回る敵キャラが居ます。触れてもミスにはなりませんが、一部の敵や敵の攻撃に触れるとスピードダウンやワイヤーが一定時間撃てない等のペナルティが発生します。

 力技で強引に進めていくステージも有れば、じっくりとパズルゲームの様に仕込まれている面も有る等、沢山楽しむことが出来ます。ビギナーモードは全10面。ノーマルモードは全50面です。ラストステージクリアでエンディングになります。
 また、ノーマルモードは4人の怪盗から1人を選んでプレイし、『世界中の有名美術品を盗み出す』というストーリーがあり、ステージの背景は世界的に有名な美術品や絵画になっており、たった1コインでちょっとだけ芸術鑑賞を楽しむことも出来ます。

 ゲームスタート時に選べる4人の怪盗達は最初に持っているワイヤーや性能が異なっており、選んだキャラクターによっては攻略の難易度が大きく変わることがあります。

名前 特徴
Dontakos 俗に言う「メキシカン」な風貌で、怪盗には見えない(笑)。
ダブルワイヤーを持った状態でスタート。
PinkLeopard シルクハットを被った犬のような風貌…怪盗なの?
ワイヤーはノーマルワイヤーだが、敵や罠等の影響を一切受けない。また、ダイナマイトも無効化する。
Captain Hog デフォルトで刺さりワイヤーを持っている。
個人的には刺さりワイヤーの方が便利な面が多いので、クリアするならコイツが楽だと思われる。
ShielaTheThief デフォルトが斜めワイヤー。
前述の通り、結構別ゲームな感じがする。

 また、各ステージではボールを割ったときや壊せる壁を壊したとき、アイテムが出現することがあります。
 出るものはステージでだいたい決まっています。上手く使えば非常にクリアが便利になることがあります。
種類 効果
食べ物 得点が増えます。
種類が『これでもか』という位多いです。
直接拾うかワイヤーで触れると得点が増えますが、前者の方が多めに貰えます。
コイン 食べ物と同様に得点が増えるが、拾えば拾うほど点数が増える。
ワイヤー ワイヤーが変化します。
ダブルワイヤーと刺さりワイヤーのみ出現します。
大体『ワイヤーを変えたほうがクリアが楽になるステージに於いて該当するワイヤーが出る』ケースが多い。
ショットガン 一定時間ショットガンに変化します。
バリア 泡の様な見た目。
1回だけボールにあたっても平気になる。
砂時計 一定時間ボールが減速する。
時計 画面にタイマーが表示され、0になるまでボールが止まる。
更に止まっているボールに触れてもミスにならない。
1UP 残機が増える。出現場所は固定。
ダイナマイト ステージの全てのボールが最小にまで分裂する。
小玉が大量にできてしまうので回避が非常に困難になる為、基本的にはトラップアイテムに近い。

 

【エンドレスのエンドです】

 3つ目のモードが「パニックモード」。
 これは外壁以外に壁等の障害物が全く無いフィールド上で只管ボールを割りまくる内容です。
 画面下にレベルが表示されており、1からスタートし、ボールを割り続けるとレベルが増えていきます。

 序盤はボールの数も少なく慎重に行けば何とかなりますが、段々レベルが上がると対処しきれないほどの大量のボールが出現し、更にボールのスピードも上がり、回避と攻撃が非常に大変になり、まさに『パニック』です。
 刹那刹那、一手先のボールの隙間を探し出し、そこで慎重にボールを割り続ける…あるシューティングゲームの弾避けの様に非常に綿密な操作が必要になります。

 レベル1〜10までは登場するボールを割るたびにレベルが上がりますが、レベル10ごとに星付きのボールが登場し、そのときはそれを割る事でレベルクリアとなり、ボールがリセットされて仕切りなおした状態で次のレベルがスタートします。
 レベル11以降も同様に20まで進み、20で星付きボールを割って…となります。
 ちなみに、星付きボールを割らずに粘り続けるとタイムオーバーでミスとなります。

 レベルは99でカンスト。以降は完全にエンドレスで爆弾(ワイヤーを当てると爆発し、周辺のボールを消滅させる)と星付きボールは登場しますが、レベルは変化する事は無い様です。

 

【ポイントは遊びやすさ】

 シリーズ3作目でありながら、高難易度のマニアックな方法に転ばず、遊びやすさを求めた雰囲気があります。
 特にシングルモードではキャラクター毎に何かしら特技を持った状態なので、自分にあったスタンスで始められる上に、一部のキャラを除いて大幅に難易度を下がるのが嬉しい限りです。
 単純に1段階パワーアップしているだけなのに、こんなに遊びやすくなるとは有る意味驚きでもありますが…。

 只、残念ながら、格闘ゲーム全盛期だった為なのか、1人でじっくりやるタイプはジャンル的にメジャーになりきれなかった感じもあります。
 今遊んでも充分面白い…携帯ゲームにしても充分楽しめると思うのですが…。


 最後にノーマルモード選択時に…
(1).レバー下を入れながら選択⇒ステージセレクトモードとなり、1面から50面の何処からでもスタート可能
…だけどステージセレクトがアーケード版において意味のあることなのか疑問。
エンディングに何かしらの意味が有るゲームという訳でもないし…。

(2).1Pと2Pのボタンを同時押しで選択⇒激ムズモード10面がプレイ可能。
 初っ端から難易度は高いので、よっぽどの趣味でもない限りはオススメしません(笑)。

 

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