個人的名作125

アウトフォクシーズ(ナムコ・1994)

 

 格闘ゲーム全盛期に登場した、影の名作とも言える作品。
 実は密かに熱すぎるゲームだったりするのがまた、影の名作…。今回は『アウトフォクシーズ』を取り上げたいと思います。

 

【ハードボイルドな…】

 Mr.アクメは美術品の贋作取引により莫大な利益を得て、その証拠隠滅のために関係者7人に対して殺し屋を7人雇い抹殺。
 更にMr.アクメは7人の殺し屋をお互い殺し合わせ、最後に残った一人を報酬を餌に罠に追い込んで抹殺する計画であった。
…というストーリーで、プレイヤーは7人の殺し屋のうち、1人を選んで残る6人とMr.アクメを倒す為に戦います。

 殺し屋…というキャラクターではありますが、その辺りはゲーム。そんなに物騒なものではなく、双子の子供や猿や老人…と妙なプロフィールを持つ 個性的なキャラクター達になっています。
 しかし、ゲーム内容は結構シビアで、限られたフィールドで1対1の対決。
 所々に落ちている拳銃や手榴弾などを使って相手にダメージを与え、体力を0にするか、タイムオーバー時は体力が多い方が勝利です。
 格闘ゲームっぽいルールでありながら、如何に相手を狙撃するか…等立ち位置やフィールドの仕組みなどの刻々と変化する状況を上手く捉えて 刹那刹那の立ち回りの判断を行っていく…という常に緊迫感が充満した内容になっています。

 キャラクターは1人1人性能が大きく違い、主には『背の高さ』『移動スピード』『弾の軌道』の3点が異なっています。
 背の高さはやられ判定、スピードは機敏な移動、弾の軌道は拳銃などを撃ったとき、弾の軌道のブレになっています。
 弾の軌道が優れているキャラは銃を真横撃つと弾丸は常にほぼ真横に飛びますが、悪いキャラは上下に大きくブレて弾をばら撒く感じになります。
 ブレるキャラは横に居る敵に弾を当てにくい代わりに予想だにしない軌道で飛ぶ為、高低差の有る敵に思わぬダメージを与える事があります。

 各キャラクターは体力が3ゲージ分(緑→黄色→赤のバー)あり、それが0になると負けになります。
 相手を倒すとステージクリアとなり、次のステージに進むことができます。
 6人を倒すとラストステージとなり、ラストステージクリアでエンディングとなります。  

 ゲームスタート時、プレイヤーは7人の殺し屋から1人を選んでプレイします。
 1人1人性能が大きく異なりますが、同キャラ対戦は不可です。
名前 プロフィールなど
ジョン・スミス  『ベビーシッターから革命の指導者まで』報酬の為なら手段を選ばない人物というプロフィール。
 何でも屋という感じなのだろうが、広すぎる守備範囲…
 スタンダードな性能を持っており、そこそこ扱いやすい。
ベッティ・ドー  7つの学位と14の言語を自在に操り、インテリ美女にして狙撃の名手。
 7つの学位をとったということは、(取得期間を考慮して)彼女の年齢を推測すると狙撃されます。
 銃器の扱いが優れており、弾道はほぼ真横(上に撃った時は真上)に飛びます。
バーナード・ホワイト  消火栓を引き抜く怪力と鋼鉄の義手を使い、大量殺人の世界記録を更新中の巨人。
 怪力の表現が『消火栓を引き抜く』って…他に無かったのか…
『世界記録』ってことは誰かがカウントしているって事か?…というツッコミは却下される模様。
 体が大きい為、やられ判定が大きいが若干撃たれ強い。
イヴ  仕込んだトカゲを使う窃盗の名手で元ポルノ女優という肩書きを持つ彼女。
職を転々としすぎる気もするが、行き着いた先が殺し屋って…。
 機動性能に優れているキャラ。
プロフェッサ・チン  自ら設計した殺人車椅子に乗る謎の東洋人科学者にして中国拳法の達人の老人。
 殺人車椅子はダッシュスピードなどに優れているが小回りが効き難く、細かい作業が苦手。
しかし、背中側からの銃弾を全て防ぐという性能がある。
ドゥイーブ  シルクハットとタキシードを着た猿で『バナナの為に人を殺す世界唯一の殺し屋』で間違いなくこのゲームで最大の個性を持ったキャラ。
 体が小さい上に足が速いが銃器の扱いが苦手で銃弾がまともに横に飛ばない。
弾道が読めないロケットランチャーで勝負か?
ダニー&デミ  常に2人で行動する双子の子供で『大人を優に凌ぐ知能と冷徹な行動力で犯罪を繰り返す邪悪な双子』。ダニーが男の子でデミが女の子らしい…
2人が常に手を繋いで行動している為、武器を2つ持つことが可能(1つはストック)というアドバンテージが有る。
 その代わり全般的な性能は低く、打たれ弱い。

 

【ミッション…】

 操作系は「8方向レバー+2ボタン」。
 レバーでキャラクターの移動ですが様々なアクションが可能です。
 レバー下でしゃがみですが、アイテムが落ちている場合はそれを拾います。上は余り使いませんが、エレベータの使用等に使用します。
 同じ方向2回でダッシュ。斜め下2回もしくは下→斜め下で前転をします。

 左ボタンは攻撃となっており、持っている武器(武器の無い場合は素手)で攻撃します。
 フィールド上に有るドラム缶や木箱などのオブジェクトは「前+攻撃(押しっぱなし)」で持ち上げる事が出来、ボタンを放すと投げます。
 右ボタンはジャンプで、レバー方向により性能が変化します。
 「左右+ジャンプ」はその方向へのジャンプ。「上+ジャンプ」は上の足場への飛び移り。「下+ジャンプ」は足場から下へ降りることが出来ます。 (足場によっては通り抜け不可)
またジャンプボタン押しっぱなしで一部の地形にぶら下る事が出来ます。

 

【色々なオブジェクトが…】

 このゲームはラスボス(Mr.アクメ)専用のステージを含めると8種類のフィールドがあり、それぞれで構成が全く異なっています。
 それだけでなくフィールドが1P側と2P側で対照ではないので、落ちている武器や周囲の状況が違う為に序盤の立ち回りに違いが生じています。
 公平ではない反面。同じステージでも1Pと2Pのどちらで始まるかで開始時の立ち回りが大きく変わります。

 さて、ここでフィールドに落ちている主なアイテムを紹介しましょう。
名前 性能
拳銃 スタンダードな武器といったところでしょうか。
 6発だけですが、1発の減りがそこそこ高い。
 イヴステージでは何故か水鉄砲などの玩具のピストルが混ざっている。
マシンガン 60発のマシンガン。
 1発のダメージはかなり小さいが、弾数の多さに物を言わせた攻撃や壁に追い詰めて連続で撃ちまくる等、実用性はそこそこある。
 対CPU戦では地味ながら結構使える。
グレネード 手榴弾。
 拾った後に攻撃ボタンを押すとカウントダウンが始まり、7カウント後に爆発。
 爆発ダメージが非常に大きく、更に起き上がり直後の無敵時間中にもヒットするのだが扱いは難しい。
ロケットランチャー 横方向もしくは上方向(ジャンプ中なら上下左右いずれかの方向)に高速のミサイルを発射。
 何かにぶつかると爆発を起こす。
 グレネード同様ダメージが大きいのが魅力で、コレの当て方が勝敗を分けると言っても過言ではない。
火炎放射器 前方に火炎放射を行う。
 性能はリーチが限られているマシンガンに近いが、地形を燃やす事が可能。攻撃押しっぱなしでリーチが伸びる。
 相手にヒットすると燃えて左右に転がる演出になるが、触れると自分もダメージを受ける。
接近戦用武器。
 攻撃力はそこそこな上にボタン押しっぱなしで銃弾を防げる。
 体力をリードされた状態で相手に持たれると対抗手段が減ってしまう…という微妙に勝負に影響する武器。
但し、銃弾を受けると折れる事がある。
刀同様接近戦用武器だが、威力が低くて銃弾は防げない。その代わり壊れる事が無くリーチが長い。
ホットスープ 高層ビルステージにのみ登場。
 食べ物だが武器扱いで相手に投げて使う…がちょっとだけ威力がある…コレでフィニッシュは有る意味ロマン。
パイ 高層ビルステージにのみ登場。
 これも食べ物だが武器扱いで相手に投げて使う…が威力は皆無。
フルーツバスケット 高層ビルステージにのみ登場。
 これも食べ物だが武器扱いで相手に投げて使う…がこれも威力は低い。
 投げるたびに果物の種類が変わるのが芸が細かい。
木箱・ドラム缶等 武器とは異なるが近くで『前+攻撃押しっぱなし』で持ち上げることが可能。  持ち上げた状態でボタンを放すと前方に投げ、下を入れながら放すと床に滑らせる。
 木箱は威力が低いが当てると相手の行動を制限でき、ドラム缶はそこそこ威力が高い。
また、椅子等のオブジェクトもドラム缶と同等の扱いが出来る。

 また、各ステージには様々な仕掛けがあり、それを使った攻撃も有効に使うことがポイントになるケースもあります。

 

【刹那の見切りが熱かった】

 兎に角フィールドの状況を見切って、如何に巧妙にダメージを与えていくか…これが大きなポイントであり、このゲームの醍醐味でした。
 只、武器のダメージが変化しない為、大逆転の要素が少ないのでモロに個々のスキルが出てしまうゲームでした。
 逆転要素が低いので、対戦ではリードしたキャラが待ちに入る傾向になってしまう部分もありますが、 逆に言えば序盤から『大量リードを取られない』というのがポイントになっている訳でもあります。

 CPUも動きは単純ですが、フィールドの状況変化が邪魔で中々上手く対応させてもらえない…そういう状況を常々見切り続ける面白さがありました。
 見た目はハードボイルドなアクション映画を思わせる感じで難しそうな雰囲気ですが、初心者ならば『好き勝手暴れられる』面白さがあり、 上級者には『如何に巧妙にダメージを与えていくか』と言う面白さがあります。
 しかし、家庭用への移植は一切無く、このゲームが出た当時は「格闘ゲーム一色」であったため、知る人ぞ知る作品になったのが惜しいです。
 表現的に難しかったのでしょうか…

 あとは余談ですが、このゲームの最大のメリットって『アクメ』って単語を堂々と使える…(銃声) 

 

次へ

メニューへ