個人的名作89

さるかにはむぞう(カネコ・1997)

 

 「アルカノイド(タイトー)」の登場以降、数多くのブロック崩しゲームがアーケードに登場しましたが、 そのなかでは『個性が強すぎる』作品ではなかったでしょうか…。
 今回は、カネコから登場した「さるかにはむぞう」を取り上げたいと思います。


 

【 火力発電…かな? 】

 ルールは単純に、「ブロック崩し」。画面下のパドルを操作してステージ中のブロックを全てボールをぶつけて消すとクリアです。
パドルというよりも「パドルを持ったキャラクター」と書いた方が良いかもしれませんけど…
ブロックは「アルカノイド」をご存知ならば話が早いですが数種類あります。
 

種類 説明
色つきブロック ボールを1回当てると消えるブロック。壊すとアイテムが出ることがある。
銀色ブロック ボールを複数回当てないと消せないブロック。
金色ブロック 何度ボールを当てても消えないブロック。(但し、レーザーや爆風で消す事が可能)
このブロックは消さなくてもクリアになる。
白ブロック ボールを1回当てると消えるが、ボールはブロックに跳ね返らずに貫通する。
爆弾 ボールが当たると爆発する。爆風は金色を含む周辺のブロックを無条件で消去する。

 パドル(…というかパドルを持ち上げているキャラクター)を操作してボールを打ち返し、 金色ブロック以外のオブジェクトを全て破壊するとクリアになります。
 30ステージクリアでエンディングになります。

 ブロック崩しなので説明不要と思いますが、ボールを落とすとミスになり、残機が減ります。
残機が0になるとゲームオーバーとなります。

 

【 専用筐体ってわけじゃない 】

 操作系は、「ダイヤル型のスイッチもしくはレバーと2ボタンです」
 ブロック崩しで御馴染みの回すタイプのレバーだけでなく、レバーでも操作できるようにしているあたり、 大きな改造をしなくてもこのゲームをゲームセンターに設置できるように…という工夫のようなものを感じます。
 レバー操作の場合は、パドルのスピードが一定になり、ボールの跳ね返しに不便になる事がある為、 2ボタン制になり、片方のボタンが「パドルのスピードアップ」になります。押している間だけパドルのスピードが上がります。

 (2ボタン制の場合、もう片方の)ボタンは、スタート時のボールの発射とジャンプ。
 ジャンプはこのゲーム独自のもので、ボタンを押すとパドル(…というかパドルを(以下略))がジャンプします。 ジャンプ中にボールを跳ね返すとボールのスピードが大きく上がります。

 

【 急いでおいた方が… 】

 このゲームには、他のブロック崩しゲームとは違い、「時間でフィールドが狭くなる」という仕掛けがあります。
 ステージスタートからだんだんとフィールドが押されて、ブロックの幅が段々と小さくなってしまいます。(ボールとパドルの幅は変わらない) フィールドの変化により、ちょっとしたプレッシャーと変化の面白さがあります。
 フィールドが狭くなると、パドルの跳ね返る場所の調整が困難になったり金色ブロックの隙間にボールを通しにくくなる等の辛くなる面と、 ブロックに当てやすくなったりボールを落としにくくなる等の得をする面もありますが、 フィールドを限界まで押されてしまうとカウントダウンが始まり、 約10秒後に完全に押し潰されてしまって残機に無関係にゲームオーバーになってしまうので、素早いクリアが求められます。

 

【 アイテムがいっぱい 】

 ブロック崩しゲームでは御馴染みのパワーアップアイテム。このゲームでも勿論登場します。
 アイテムの出現は2つのタイプあり、「ブロックを壊す」「一定時間毎にフィールド上部に出現する」タイプがあります。  これらを駆使していけば、多少の難関面もなんとかなる…かもしれません。   

名称 説明
B  アイテム取得後ボールを跳ね返すとボールが変化し、ブロックと当たったとき爆発が発生する。
 爆風は金色ブロックも破壊できる為、当て方次第ではかなり役立つ。
 コンティニュー時に出るスペシャル版は爆風が大きくなる。
D  パドルの上部にもう1つパドルが設置される。使い分けが重要(?)
E  パドルの長さが長くなる。スタンダードだが、有難いアイテム。
H  ボールがパドルに接触したとき、一定時間パドルでキープし続けられる様になる。
(アルカノイドで言う「C」)
I  ボールが3つに分裂する。スピード重視の対戦では超重要アイテム。
 コンティニュー時に出てくるスペシャル版は15個に分裂する。
M  パドルが縮小する。かなりちっちゃくなるので、危険…。
P  パドルを動かしたとき、残像が発生する。残像でもボールを跳ね返すことができる。
 フィールドが狭まったとき、パドルを左右に入れ続けるだけで、殆ど落ちなくなる。
S  ボールのスピードが下がる。
T  アイテム取得後にボールを跳ね返すとボールが変化し、一定時間金色ブロック以外を貫通する。
 コンティニュー時のスペシャル版は効果時間が延長され、更に金色ブロックも貫通する。

 

【まだまだアイテムが…】

 1人プレイの場合、アイテムはブロックからだけでなく、たまにフィールド上部にアイテムが飛んでくることがあります。
 これらのアイテムはボールをぶつける事により効果が発揮されます。
 

名称 説明
レーザー砲  斜めに砲台のようなものが付いた弾のアイテム。
 ボールが当たると砲台からレーザーが発射され、金色ブロックを含むヒットした全てのブロックを消し去る。
 発射角度と数は表示されている砲台の形態そのままになっている。
パンチグローブ  フィールドが少し広がる(要はタイム回復)
ヒマワリ  フィールドに大量の赤い弾がばら撒かれる。
 赤い弾はすぐに消えてしまうが、ボールのようにブロックを破壊するのでかなり役立つ。
1UP  残機数が増える…がお約束のごとく滅多に出ない。

 

【なぞのノリに…】

 原作を知らないのですが、ボールを落としたときやクリアしたとき等に出てくる沢山の種類の台詞が結構妙なノリと、 個性的なキャラクター…ルールは単純なブロック崩しなのですが、妙に面白おかしい作りになっています。
 不満を言うと『タイムオーバーで残機に関係なくゲームオーバーにされてしまう』という点でしょうか。 ステージ構成も面倒な物が多く、下手をするとステージ1からタイムオーバーの危険性もあります。 ミスをしてもタイマーが進むので残機が多ければ楽という訳でもないし…。ちょっと1コインで気楽に遊ぶゲームになりにくい感じがします。
 ステージ構成も30ステージ全く同じステージという訳ではなく、何パターンのうちの1つが出現するのは 飽きさせない工夫なのかも知れませんが、それだけにタイムオーバーの仕様はちょっと…

 只、「アルカノイド」登場以降、数多くのブロック崩しゲームが登場しましたが、どうも「アイテムが出るだけのブロック崩し」という 雰囲気を抜けきれない雰囲気の作品ばかりでした。
 そういう中、(アルカノイドの登場から10年以上が経過しているにもかかわらず)敢えてブロック崩しを出しただけの事はあるかな… と思えるような工夫を感じる部分はあると思います。

 このゲームに熱くなったきっかけは、昔某ゲーセンでこれの大会があった…(笑)
 まぁ、アイテム「I」を取ったもの勝ちみたいな感じでしたけど(笑)
 そのゲーセン、「ギャルズパニック大会」とか結構変わった大会ばっかりやっていました…今はなくなってしまったのですけど、 当時は色々と熱かったなぁ…。  

 

メニューへ