個人的名作73

ずんずん教の野望(セガ/港技研・1994)

 

 アーケードゲームには色々な個性があります。その個性が素晴らしい程、世間では「名作」と呼ばれるように なっていきます。
 さて、今回紹介する「ずんずん教の野望」。このゲームの個性は「素晴らしい」とは言いがたいものの、 一部のゲームプレイヤーの心をがっちりと掴んだ「迷作」となったようです。
 偶然なのか1994年って某宗教団体が…という時期だったし…

 

【ずーん、ずーん、ずーん…】

 踊りで世界制服を目指す「ずんずん教」を倒すため、地蔵が戦うアクションゲーム(ややシューティング色が強い) です。
 最初、プレイヤーは「ずんずん教の支部」(日本支部・中国支部・欧州支部・米国支部)から1つを選びます。
 選んだ支部は4ステージ構成になっており、1〜3ステージには構成員…ではなくて「ずんずん教信者」が襲い掛かってきます。  自機の地蔵を操作し、ショットで撃退していきます。4ステージ目がボスとの対戦となり、倒すと支部を壊滅させる事が出来ます。
 全ての支部を壊滅すると本部が現れ、本部を撃破すると…2周目が始まります。(2周クリアでエンディング)。

 各支部はその地域独特(?)な信者達が登場します。日本だと一昔前を髣髴とさせる「ディスコ・ジュリバナ派」等。 中国だと「今日から太極拳派」等。欧州だとバレリーナが出てくる「白鳥の水掻派」等。米国だとバスケコードで踊る「ウエストサイド派」等。 微妙なセンスを醸し出しています。


 …と、これだけだと普通のアクションゲームかな?と思う位ですが、 このゲームの見た目が格闘ゲーム全盛期の1994年とは思えないほどのチープさ。 敵キャラクターのアニメーション枚数の少なさは爆笑物です。そしてVGMが更にチープ…80年代中頃!?というくらいです。 実物をお見せできないのが残念なくらいです。

 ゲームのルール自体はいたってシンプルで、各ステージにいる雑魚を全滅させればクリアです。雑魚はショット2発で倒せるものと1発で 倒せるものがいます。見た目が全く違うのでその辺の見分けは問題無いでしょう。1発で倒せる雑魚は普段は無限にわいてきますが、 2発で倒せる雑魚を全滅後、1発で倒せる雑魚が数体(4体程)だけ出てくるので、そいつらを倒すとクリアです。

 操作系は、「8方向レバー+2ボタン」です。レバーはプレイヤーの移動です。

 左ボタンは『ショット』です。シューティング系のゲームですが、溜め撃ちなどは無くショットを撃つだけです。

 右ボタンは『ボム』です。ストック制で初期値は2発。アイテムを拾うと増やす事が出来ますが、ミスをすると初期値に戻ります。 ボムを使用するとはステージ全体の敵の弾を消し、更にステージ全体の雑魚に1発分のダメージ (ボスに対してはもう少しダメージが大きいようですが…)を与えます。
…で、ここで問題になるのは『雑魚にショット1発分のダメージ』という点。先に雑魚は『ショット2発で倒せるものと1発で 倒せるものがいます。』と書きましたが、言い換えれば、『(予めショットを当てておかないと)ボム1発では倒しきれない』 ということです。しかも、ボム使用直後には無敵時間は無いので…
耐久力2発の雑魚に接近されたときにボムを使用しても助からない。まぁ、 ショットが当たる位置取りか、ボム2発が間に合えば別ですが…。
 ちなみに、ボムの名前は御心ボンバーという、ある意味違うセンスを感じる名前です。

 

【苦戦必死???】

 このゲーム。敵が大量に出現し、しかも大量に弾をばら撒くキツイゲームですが、何よりも辛いのが、プレイヤーの 当たり判定のデカさ。文章では説明しにくい部分も有りますが、とにかく(見た目で)弾が掠ったくらいでミスになります。
 また、キャラクターのサイズもかなりデカく、1コインクリアは非常に難しいです。
 只、敵のパターンがやや単調なので、そこに付け込めればある程度は…。

 

【地蔵パワーアップ】

 敵を倒すとアイテムが出てくる事があります。拾うことによって様々な特典が得られます。
 地蔵であっても、ずんずん教との戦いに生き延びるためには強欲にならねばならないのが、このゲームの鉄の掟(?)

アイテム 効果
増速 ↑の矢印が目印のアイテム。
取るとプレイヤーの移動スピードが上がります。ミスをした場合は初期値に戻ります。
減速 増速とは逆に↓のアイテムで、プレイヤーのスピードが下がります。
一応、このゲーム唯一のマイナスアイテムです。
お布施 「金」と書かれた非常に分かり易いアイテム。
得点が増えます。
玉増速 ナルト???
ショットスピードが上がりますが…そんなに得した気分にならないのは何故だろうか?
御心ボンバー ボンバーのストックが1つ増えます。
無敵 薬ビンの様なアイテム。
一定時間無敵になりますが、無敵の切れる瞬間が非常に分かりにくいので、調子に乗って接近して続けていると 無敵の切れた直後にミスります。
(まぁ、そんな理不尽さがこのゲームの面白さなのかも…。)
敵停止 般若の面の様なアイテム。
敵が一定時間ストップするが、効果が切れるのは無敵同様に前触れがない…。
縮小 打ち出の小槌らしいです。

プレイヤーが一定時間小さくなり、当たり判定が縮小します…が無敵ではないので…。
でも、無敵アイテムがあるゲームに何故わざわざこんな一定時間縮小アイテムを入れたのか 非常に疑問なのですが…。
パワーアップ プレイヤーがパワーアップします。

最大、3段階までパワーアップします。
『菩薩』⇒『明王』⇒『阿修羅』
パワーアップするたびに一度に撃つショットの数が増えて敵に当たりやすくなりますが、ミスをすると初期状態に戻ります。

 

【 ずんずんず〜ん 】

 格闘ゲーム全盛期に時代を逆行しすぎた作品…ですね。画面・音楽のチープさ・キャラクターの間抜けさ… どれをとっても一級品でしょう。
 一度見かけたら、是非この阿呆らしさを存分に堪能してほしいと想います。100円の損だとか、そういう次元ではありません。 これ程、間の抜けたアーケードゲームはそうそう無いと思いますから…。

 しかし、家庭用移殖も無いし、ゲーセンもわずかの間しか存在しなかった…彼らの野望は復活しないのか…

 

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