インタビューへ
GARNET WORLD
Music Freak MAGAZINE 1

Music Freak MAGAGINE目次
リンク先です! 記事タイトル等
vol.79 岡本仁志インタビュー記事
vol.78 「Last love song」インタビュー記事
vol.74 1STアルバムインタビュー
vol.73 2001年音楽の旅(2000年年末企画)
vol.72 「flying」記事
vol.71 「夏の幻」インタビュー記事
vol.66 「二人のロケット」記事
vol.64 メジャー・デビューのインタビュー記事

Music Freak MAGAZINE vol.79(2001年6月)
岡本仁志インタビュー記事

 岡本が初めてプロの音楽業界に関わり出したのは、22歳の頃。大学仲間と一緒にバンドをしていたデモ・テープが認められたのがきっかけだった。
 「その時大学4年生で、まぁ、就職活動の一環としてデモ・テープを送っていて、それが認められて、いつの間にか……という感じですね。」
 彼はソングライティングとギターの才能を現プロデューサーに認められ、まずはソングライターとしてZARDの曲を作曲して作家デビュー、その後、ZARDの船上ライヴにギタリストとして参加し、2000年3月、GARNET CROWのギタリストとして正式にデビューを果たす。
 「GARNET CROWはまぁ、スタジオでメンバーと何回か顔を合わせているうちに、やってみようか、ってなったわけですけれども、もともと最初から役割分担がはっきりしていて、わいわいにぎやかに作っていくバンドというよりは、もっとスマートな制作チームみたいにしたいねっていうのは、皆の中にありましたね。」
 ソロとしても、すでにキャリアのあるクリエイター達が結成した音楽集団GARNET CROW。彼らは、その音楽性の高さで着実に評価が高まってきている。
 そして、GARNET CROWの活動と並行して、昨年11月、岡本仁志は、初めてのソロ作品「first fine day」をリリース。その中で彼は自ら歌い、全ての楽器もこなすというマルチな才能を発揮している。しかし、意外なことに、彼が歌い始めたのは、ソロ作品を意識して作るようになってからだという。
 「ギターもそうなんですが、歌もレッスンとかプロをモーレツに意識したというのではなくて、いつの間にか、そうなってきたというか。ただ、溜まった曲をどんどんプレゼンテーションしていくうちに、「おまえ、声いいよ、歌えよ。」みたいな。まさか、自分で歌うとは思わなかった(笑)」。
 そんな岡本だが、こと彼の作る曲は、一般的なギタリストが作る曲とは全く異なるメロディ・センスと雰囲気をを持っていて、しかもポップである。
 「作曲は、高校の終りくらいからですね。曲ってどうやって作るんだろうと思って、当時ピアノ弾いている友達がいて、そいつに色々聞きながら教わりました。」
 そうやって、ギターを持って鼻歌で作った彼のソロ作品は、今や音入れや歌入れからアレンジ、ミックスのすべてを岡本自身が一人で自宅で手掛けている。
 「歌もなにもかも全部一人……。今回は唯一アコースティックギター以外はすべて自宅録音の作業ですね。だからペースもかなり遅いし、よけい煮詰まるときは煮詰まるんですよ(笑)。僕は作品を作ろうと思って作らないとできないタイプなんで、もう追い込まれて作るというか……。曲の断片、短いワンフレーズみたいのがパッとできたらどんどんテープに入れていて。で、溜まってきて、日を改めて聴いてみて「良いなぁ」と思ったら、「まぁこれはちゃんと形にしようかなぁ」と。そうなってきたらもう後はずーっとやっていますね。だから、今回の「Sweet×2 Summer Rain」も純粋にメロディでつまることはなかったんですけれど、他の肉付けやらにものすごい時間がかかりました(笑)」
 そういう大変さがあるにもかかわらず、今回の作品にしても、その聴き心地はあくまで軽く、スムース。それも、やはり岡本の人柄の成せる技なのだろうか?
 「言われますね、「なんかのんびりやってるように見えるんですけれど」って。「いやぁ、僕、ムッチャ必死なんですけど」ってね(笑)。でも、これって、たぶん声の影響が一番大きいですね。張っていないというか。個人的には熱いのも好きなんですけど、やっぱり自分はこれしかできないっていうか(笑)。まぁ、なんかGARNET CROWの作業も並行しつつ、家でのんびり作ったものを作品にしましたっていうイメージ、それはそれで悪くはないですよね」。
 このゆるいスタンス!岡本の作品には、大変な労力と情熱が注がれているのだろうけれど、それをあくまで軽やかに楽しんでクリエイトしている感覚が伝わってくる。それが今の時代の空気をとらえたJ−POPというものなのだろう。是非、一聴してみて欲しい。

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Music Freak MAGAZINE vol.78(2001年5月)
 1999年12月に「first kaleidscope〜君の家に着くまでずっと走ってゆく〜」でインディーズ・デビューを果たし、2000年3月に「Mystarious Eyes」「君の家に着くまでずっと走ってゆく」の2枚同時リリースでメジャー・デビューを飾ったGARNET CROW。メンバーは作曲&ヴォーカルの中村由利、作詞&キーボードのAZUKI七、アレンジ&キーボードの古井弘人、ギターの岡本仁志の4人。以前から、AZUKI七は作詞家として、古井はアレンジャーとして、岡本はスタジオ・ミュージシャンとして活躍し、メロディ・メーカーである中村も膨大な曲のストックを持っていた。クリエイターとして充分な力を持ったメンバーが結成したこの背景からも、GARNET CROWの楽曲のクオリティの高さがどれほどのものかが分かるだろう。

 GARNET CROWのサウンドから感じるのは、“ネオ・アコースティック”の匂い。競うようにデジタル音が飛び交う現在のミュージック・シーンにおいて、こういったアプローチは逆に新鮮さを持って響いてくる。シンプルなメロディを彩るサウンドに、単に懐かしさだけでは終らせない新しさを追求して、デジタルを加味した緻密なアレンジやリズム・トラック作り。そんな彼らの作品が注目を浴びない訳はなかった。デビューからのシングル6曲が収録され、2001年1月31日に発売された待望の1stアルバム『first soundsope〜水のない晴れた海へ〜』は、彼らの実力がそのまま受け入れられるような結果――アルバムチャート初登場6位として現れた。アルバムには、最大の魅力である軽快なポップ・チューンはもちろん、ビートの効いたリズミカルなナンバーやブラック・ミュージックを取り入れた楽曲、アシッド・ジャズをモチーフにしたものがあったりと、まさに万華鏡のごとく多彩な音色が展開されている。このアルバムのリリースによって“焼き直すだけではない、進化したネオアコ”を確立したGARNET CROW。その彼らがアルバム後、初のシングル「Last love song」を5月9日にリリース。

 「覚えやすくキャッチーな曲をと思って作りました」と中村自身が言っているように、「Last love song」は初夏という季節にまさにぴったりの、GARNET CROWの“陽”的部分が全開となったポップ・チューンに仕上がっている。アコースティック・ギターとコーラスが、まさに永遠を誓う2人の空気感や切ない胸の内にある力強さ、そしてこれから広がる世界を喚起させてくれる。「細かいリズムと基本リズムとの複合により、軽快さと強さを強調して数種類のアコースティック・ギターの音色でさらに広がりを出しています」と古井が言うように、かなり緻密に作品のトラックは作られている。

 歌詞の内容は、「Last love song」というタイトルから想像する“別れ”ではなく、<これが最後のlove songの始まりに・・・>と歌う、これ以上に好きな人が表われる事はない、ずっと一緒にいたい……といった、最高の人に巡りあった恋人たちの物語が綴られている。「儚い性質を持つ真理の中で、人の持つ懲りない感情の温度をなんとなく」とAZUKIは歌詞のテーマについて言っていたが、GARNET CROWの大きな魅力の1つに、この刹那主義とも感じられる彼女の文学的な表現が上げられる。ある本に、“人はどんなに幸福でも、常に死や終わりを無意識に意識している”と書いてあったが、彼女の歌詞はまさにこの言葉がぴったり当てはまる、どこかに寂寥感が漂っているものだと感じる。「確かに生きること、生命そのものに寂寥感を感じることはありますよ。改めてみると、意識していないけど、そういうのが出ますね。」生きることは終わること。それを実感する事で、愛することや優しさ、希望に対してより敏感に感じる事が出来るのかもしれない。AZUKI七の詩世界はそんな強さが備わっている。

 カップリング「Jewel Fish」は、「異国感溢れるイントロから始まり、サビでは開放的なイメージに近付け。初夏の雰囲気を感じて頂けるよう努力しました」と、古井の試行錯誤のアレンジのたまものといえる爽快なナンバーへと仕上がっている。歌詞のテーマは「人は誰しもあるがままでいい。そして、受け入れていかなくっちゃいけないことがたくさんある。60億もの人口の中のたった一人の人に執着しちゃうこともあるよね。うまくいかない時、一つの受け入れ方として…水に流す、という事で「水葬」(bury at sea)なんてのは、どーかしら?って感じで書きました。」

 「女性同士だからできるもの、という事を大切にしていきたいと思っています」という中村。女性同士から生まれ出る繊細さに、男性である古井が斬新な発想のアレンジを加えたり、岡本が力強いサウンドを注ぎ込んだりと、4人による可能性は何十倍にも広がっていく。また、「私はかなりゆりっぺの声やコーラス・ワークにベタボレなので、毎回嬉々として取り組んでいます。そういう愛情が随所に出ている作品だと思うんだけど」と、AZUKIもかなり惚れ込む、遮るものが存在しないような、高く澄んだ中村のヴォーカルも魅力。

 「アルバムでは出来なかったタイプの曲などを制作していきたいと思っています」と、今年も精力的な活動を宣言しているGARNET CROW。4人の個性が集まり、ジャンルを超えた“音楽”そのものを作り出す。今年、大注目のバンドとして知っておいて欲しい。

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Music Freak MAGAZINE vol.74(2001年1月)
1STアルバムインタビュー

●アルバムを作るにあたって、何かコンセプトのようなものはありましたか?
中村:GARNET CROWのルーツでもある、ネオアコ、アコースティックなものをより強く出したものにしようと意識しました。GARNET CROWの原点を思えるアルバムにしようと。
古井:ネオアコといわれているジャンルをただそのまま焼き直すだけでなく、さらに進化したものにできればと考えましたね。

●1stアルバムなので色々な事を考えていたと思うのですが、実際に出来上がった今の感想は?
中村:連続でシングルをリリースしたのと同時に制作を進めていたのですが、限られた時間の中で満足のいく作品になったと思います。最初から最後まで止まらずに聴いてもらえるアルバムになりました。GARNETらしい雰囲気が十分伝わる作品です。
AZUKI:あっという間でした。
岡本:すごい充実感です。
古井:良い仕上がりになったと思います。

●アルバム・タイトルの意味は?
中村:インディーズ・アルバムのタイトルで“kaleidscope”と出てきますが、それにもひっかけて、音の万華鏡といった意味合いを含め造った言葉です。のぞくと色々な音楽が見えてくる、溢れている。そんな1枚にしたいという想いがこもっています。

●曲はたくさんある中から選んで、レコーディングしていったのでしょうか? それとも、こういう曲を作っていこうとメンバーで話し合いながら進めていったのでしょうか?
古井:メンバー間での話し合いはもちろん、数十曲の中から選びました。
中村:ある程度、選曲した中からレコーディングを進めていったんです。でき上がっていく段階で全体の曲構成を見て、差し替えていくという感じでした。

●メンバーそれぞれの思い入れのある曲があれば教えて下さい。
中村:「巡り来る春に」ですね。一番最後にレコーディングをしたのですが、アルバムの中で一番シンプルにしようとした曲です。音を足してゆくのではなくて、逆に引き算をして必要最低限の音で表現しました。音と音の間にある空間を是非感じてもらいたいです。遠慮なく泣いて下さい…(笑)。
AZUKI:「Rhythm」。実は今年の夏にシングルとして発売の予定だったんですが、リリースできなかったので…やっと日の目を見られます。
古井:全曲とも大切に作っているので…選ぶのは難しいですね。
岡本:「Mysterious Eyes」。GARNET CROWの歴史がある曲なので。

●2001年はアルバムからのスタートでとても好調ですが、今年1年はどのように進めていきたいと思っていますか?また、こんなことをやりたいといったGARNET CROWとしての目標などがあれば教えて下さい。
中村:あくまでマイペースで質の高いものを作っていきたいです。
AZUKI:今年はシングルにこだわらず、いっぱい作って、夏にはアルバムが出せるくらいにしたいですね。
古井:色々考えておりますのでお楽しみに…。
岡本:より多くの人に聴いてもらいたいですね。

●レコーディングで印象に残っている事などがあれば教えて下さい。
古井:色々なMIX Takeを作ってそれを選び抜き、今のTakeに決めていったので、実は1曲につき何タイプものバージョンが存在するんです。エンジニアの方々の協力なしではできなかったと思います。感謝しています。

●GARNET CROWとしてチャレンジしたなと思う楽曲はどれですか?
中村:「Holding you,and swinging」です。GARNET CROWが少しブラック・ミュージック系なものをやると、こんな感じかな、ていう本当にチャレンジしてみた曲ですね。
AZUKI:私も同じ、「Holding you,and swinging」。

●リスナーには、この作品がどのように伝われば嬉しいですか?
中村:GARNET CROWの持つ、ポップなんだけれど、どこかに憂いやはかなさ、温かさを含んだGARNET CROW独特の“におい”が伝わればいいな。
AZUKI:何度も聴ける大切な1枚にしてもらえたら嬉しいですね。
古井:思い出に残る1枚に……。
岡本:21世紀型ネオ・ネオアコ。

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Music Freak MAGAZINE vol.73(2000年12月)
2001年音楽の旅

(1)2000年のマイ・セレクト・アルバムTOP5
(2)21世紀に持っていきたい1枚(or1曲)とその理由
(3)その昔、21世紀とはどんなイメージでしたか?
(4)2001年の目標、やりたい事

中村由利
(1)
1.the cranberries『everybody else is doing it, so why can`t we?』
 独特な雰囲気が好きです。時や場所を問わず、いつでも聴いています。
2.Alanis Morissette『Supposed Former Infatuation Jankie』
 繰り返しよく聴いています。かっこいいです。
3.E.B.G『AMPLIFIED HERT』
 歌い方とか参考にしています。
4.Bjork『POST』
 サウンドがかっこいいです。
5.port of notes『more tham paradise』
 とても落ちつきます。大人な雰囲気が好きです。
(2)GARNET CROWのインディーズ・アルバムとデビュー曲。いろんな意味で思い出があるので。GARNET CROWが活動するきっかけになった作品たちなので、初心を忘れない為にも、もっていきます。
(3)明るく希望の光に満ちあふれているイメージ。気軽に月とかに遊びに行ける時代になっていると思ってました。
(4)海外旅行に行きたいです。今年以上に多くの方にGARNET CROWの音楽を聴いて欲しいです。

AZUKI七
(1)
1.PETER GABRIEL『Secret World Live(Video)』
 おっちゃん、カッコ良すぎて飽きません。
2.STONES『GIMME SHELTER(Video)』
 ミックがあまりにもかわいい。
3.SUZANNE VEGA『Solitude Standing』
 なんとなく…。
4.Kula Shaker『K』
 解散……ということで、おしみつつ。
5.Sonic Youth『Washing Machine』
 おちつくので。
(2)手ぶらで。
(3)21エモンな感じ!
(4)長期旅行。

古井弘人
(1)
1.bbmak『sooner or later』
 発売的には99年末なのですが、聴きやすい仕上がりになってますね。さわやかなアコースティック・ギターが、天気の良い朝の車で聴くのに最高ですね。
2.SING LIKE TALKING『THE REMIX SING OF LIKE TALKING』
 いろいろいな方のリミックスが楽しめる一枚。個人的に夜のイメージが強いです。
3.M2M『Shades of Purple』
 キュートな声に、サビの広がりがBGMに最高!!(どことなくウィルソン・フィリップスを感じた)
4.Fast ball『The Harsh Light Of Day』
 声とメロの流れがとてもここち良い。ホンキートンクピアノを使用した曲は、なぜか気分を軽くしてくれる。
B 5.baby face『a collection of his greatest hits』
 やはりベビーフェイスは天才。いつ聴いても良いですね。

岡本仁志
(1)
1.MUSE『SHOWBIZ・BR>  初めて聴いたときは思わずニヤリ。んー好きです。
2.NINEDAYS『The madding crowd』
 爽やか、美メロ、やはりツボです。
3.CATATONIA『equally and blessed』
 声、あーいい。
4.MILES『MILES』
 なんかいい感じ。ふわふわ。通して聴けるアルバム。
5.REEF『GATEWAY』
 小細工無しロック。参りました。
(2)一つに絞れたら音楽をやめます。全部持って行ききますよ。
(3)車が空を飛び、宇宙人と共存している。
(4)運動。体鍛えないと。

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Music Freak MAGAZINE vol.72(2000年11月)
New Maxi Single 「flying」 11月29日リリース!

 今年3月、シングル「Mysterious Eyes」「君の家に着くまでずっと走ってゆく」の2枚同時リリースをもってメジャー・デビューしたGARNET CROW。その2ケ月後には「二人のロケット」を発表、精力的な音楽活動を行ってきた彼らが、9月に入り3ケ月連続シングル・リリースという行動に出た。「千以上の言葉を並べても...」「夏の幻」に引き続く作品となるのが、11月29日にリリースされるニュー・マキシ・シングル「flying」。3ケ月連続シングル・リリースを締めくくる作品だ。今作を含めると、GARNET CROWは8ケ月の間に6枚のシングルを発表するというハイペースな制作活動を展開している。クリエイター集団として認識されている彼らだが、短期間でこれだけ多くの作品を世に送り出したことは驚きだ。
 今回のシングル「flying」は、プレイステーション用ゲーム・ソフト「テイルズオブエターニア」の主題歌になっている。彼らにとってゲーム主題歌という、初めての分野に挑戦する形となった今作。ゲームの顔とも言える主題歌を手掛けることに対するプレッシャー、ゲームのイメージをいかに大切にするか…。今回の曲についての感想でAZUKI7が“楽しんで作らせていただきました”と述べていることからも、この曲の制作作業は、メンバーにとって新鮮な体験として映ったことがわかる。ゲームのイメージとGARNET CROWの音楽が融合して生まれた「flying」。それは今までにない、壮大なスケールを感じさせる楽曲となった。
 一聴して感じたのは、今までの作品の中でも特に力強さが伝わってくる曲だということ。イントロでの迫力あるサウンドに引きつけられ、重々しく響く音からは内側から沸き立つ強い意志のようなものが感じられる。その思いは中村の深みを増した歌声によってますます強くなり、サビの部分で披露される高音の美しい声で一気に開放される。曲から伝わってくる広大な空間は、GARNET CROWのサウンドの持ち味の1つである幾重にも重ねられた音によって効果的に演出され、効果的に演出され、「flying」というタイトル通り、大空をイメージさせるナンバーに仕上がった。この曲に対するこだわりについて岡本仁志は“躍動感”と答えているが、まさにその言葉がピッタリの作品と言えよう。
 「千以上の言葉を並べても...」「夏の幻」の2作は日常生活を切り取った描写で構成された詞だったのに対し、今作には“輪廻”“三途の川”といった神秘的な現象や想像上の世界を思わせるような言葉が登場している。しかし、ここで綴られている事柄は、決して想像上の出来事で終わってはいない。そこから更に個人の心の中=精神世界に触れた内容になっている。誰もが不安を持っていること、その不安を消し去りたいと思っていること、そしてそのことの繰り返しで毎日を過ごしていること…。安らぎの世界を求めて苦悩する主人公の姿は、多くの人にとって重なる部分があるのではないだろうか。GARNET CROWの作品は、様々な状況を綴った詞を通して、人々の心の奥に引っ掛かるキーワードのようなものを残してくれる。じわりと染み込んでいく儚さと、背中をポンと押してくれるような気軽さが同居したAZUKIの詞、それをメロディーに乗せ声に出して伝える中村、そしてサウンドを支える岡本のギター…、それらを踏まえた上で古井はメロディーの良さと歌の良さを最大限に出せるようなアレンジを施す。4人の見事なチーム・ワークによって生まれた今作について、古井は“自分をパワー・アップしたい時に聴いて下さい”という言葉を残している。“めざして”“飛び越えてゆけ”“飛び出すの”という歌詞と共に聴こえるしっかりとしたリズムとサウンドは、聴き手に今の場所から一歩前に進む勇気をもたらしてくれるだろう。また、中村は“とても聴き応えのある曲に仕上がったので、何回も聴いて是非一緒に歌って欲しい”とコメントしている。「flying」のサビで聴くことが出来る高く美しい歌声は、今までの曲の中でも特に力強く響き、中村のヴォーカリストとしての力量を改めて実感させられるものとなった。
 カップリングにも定評のあるGARNET CROWだが、今回もその期待を裏切らない作品が収録されている。「Cried a little」というタイトルのこの曲は、悲し気なピアノのイントロが印象的なミディアム・ナンバー。全体的に落ち着いたメロディ進行でありながら、そこにかかれた詞は、大切な人との別れに遭遇した主人公の心情が全面に出たものになっており、サビの部分では主人公の悲しみが叫びとなって伝わってくる。人に語りかけるような言葉遣いの詞が、曲と聴き手の距離をさらに縮めているところにも、注目して欲しい楽曲だ。
 GARNET CROWは、現在アルバムの制作に入っている。先月号のコメントにあったが、メンバーの意識はアルバムに注がれ、新しいGARNET CROWの世界、そしてアルバムでしかできないような曲を作り出そうとしている。今までとは違う刺激を受けながら、レコーディングを行っているGARNET CROW。彼らは果たしてアルバムで、どんな楽曲を披露してくれるのか。今から楽しみでならない。

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Music Freak MAGAZINE vol.71(2000年10月)
GNew Maxi Single 「夏の幻」10.25 Relese !!

 前作「千以上の言葉を並べても...」から1ケ月というハイ・ペースで、GARNET CROWのニュー・シングル「夏の幻」が10月25日にリリースされる。この曲は、アニメ「名探偵コナン」のエンディング・テーマとして既にオンエアされているので、聴いたことがある人も多いだろう。アコースティック・ギターの音色が郷愁感を誘い、跳ねた感じのリズムが心地よく広がる…。随所に盛り込まれた自然体のコーラスもGARNET CROWの世界を鮮やかに彩っており、サビの部分で一気にスケール・アップかる展開にも注目して欲しい作品だ。
 11月には次のシングルが発売予定と、多忙なスケジュールを過ごしているGARNET CROWのメンバーに、今回のシングルについて話を聞いてみた。

●今作「夏の幻」はいつ頃から制作されたのですか?
古井弘人(以下:古井):今年の頭ぐらいでしょうか。

●この曲を制作する上で心掛けたところ、こだわった点を教えて下さい。
中村由利(以下:中村):ノリよく、さわやかで爽快なイメージが出るよう心掛けました。色に例えると“澄んだ青色”のようなイメージです。
古井:オケは数タイプ作り、その中から今のバージョンに決まりました。

●楽曲を作る時、曲と詞のどちらが先に出来上がることが多いのでしょうか。ちなみに、「夏の幻」はどちらが先に出来上がったのか教えて下さい。
中村:曲からのことが多いです。
AZUKI七(以下:AZUKI):「夏の幻」は、確か同じ日。曲が出来てすぐもらって、その日に書いた気がします。

●前作「千以上の言葉を並べても...」の歌詞にあった“飛行機雲”という言葉が、今回の曲にも登場しています。これは前作と何かつながりがあるのでしょうか?
AZUKI:これは偶然なんです。最近気がついて“しまった! かぶってる…!”って思っちゃった。「千以上の言葉を並べても...」は1年くらい前に書いたものなんですよ。

●ズバリ「夏の幻」の聴き所をお願いします。
中村:サビのキャッチーなところと、Aメロ、Bメロ、サビと二転三転と、場面転換するところです。出だしからテンションが高くてノレますよ。
AZUKI:よりいっそう中村さんの声に惚れてしまいますね。随所にみられる響きの心地よさを堪能して下さい。“王道ポップ”をとってもおしゃれな感じに唄ってはります。
古井:曲全体を通して、また一味違うガーネット、そして中村の魅力を感じていただけたらと思います。

●「夏の幻」というタイトルにちなんで皆さんにお聞きします。印象に残っている“夏の思い出”などがあれば教えて下さい。
中村:夏は花火大会へ行くのが毎年楽しみです。今年は残念ながら行けませんでしたけど…。
AZUKI:今年は泳ぎに行けませんでした。今からプールに行くゾ。
岡本仁志(以下:岡本):高校の時のしんどい部活でしょうか。

●カップリングの「hi-speed スペシャル oneday」は、歌詞からもとてもポップなイメージを受けました。どんな曲なのか教えて下さい。
中村:とても明るく楽しい曲です。歌もとってもHAPPYな気分で歌えました。
AZUKI:ポップですよ。
古井:誰もが自然にのれるような、誰もが口ずさんでしまうような曲に仕上がりました。

●“hi-speed スペシャル oneday”という言葉はどういう意味(状態のこと)なのでしょう。言葉の由来などがあれば教えて下さい。
AZUKI:由来はないです。曲を聴いた時のフィーリングでつけました。

●今回の曲での制作秘話、エピソードなどがあれば教えて下さい。
中村:「夏の幻」は、詞やアレンジなどが固まるまでけっこう時間がかかりました。それだけ思い入れが強いです。「hi-speed スペシャル oneday」は、周りのスタッフの方にも評判がよく、急きょカップリングに決まっちゃいました。

●前作から1ケ月というハイ・ぺースで今作「夏の幻」を発表し、その後もシングルをリリースする予定と伺っています。多忙なスケジュールの中で、気分転換で何かしていることはありますか?
中村:ふっと物思いにふけってボーッとしたり、映画を見たり買い物したりします。何もしない時間がけっこう貴重だったりします。
古井:自転車でトレーニングをします。
岡本:風呂に入ることです。

●前回のコメントの中に“アルバム”という言葉が出ていましたが、GARNET CROWとしての、アルバムに対する意識は高まっているのでしょうか。今後の展開についてのコメントをお願いします。
中村:アルバムに向けて、もう作業を開始しています。新しいGARNET CROWの世界を表現できたらと思っています。
AZUKI:アルバムを早く仕上げたいなぁ…。アルバムでしか出来ないような曲をいっぱい作りたいです。
古井:高まってます。現在、ハイ・ペースで進行中です。どんどん行きます。
岡本:未知な部分が多くて、自分自身すごく楽しみです。

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Music Freak MAGAZINE vol.66(2000年5月)
GARNET CROW ニュー・マキシ・シングル「二人のロケット」 5月17日 Release!

時代が奏でる、“よろこびのうた”
 ある高名な作曲家の言葉、その1“日本人ってぇのは、ゲタ履いてアイスクリーム食べてるようなもんだ。
 和洋折衷の究極の世界。考えてみれば、当たり前。僕らの日常には、そんな世界観が何事もなく、存在している。何の疑問もない。これまた別の高名な作曲家のひと言。“悲しいときに、悲しい曲を書くなんて卑怯千万。悲しいときこそ、楽しくなる曲を書いてこそ、作曲家冥利につきるなり”つまり、彼はこう言いたいのだ。悲しさは、共有すべき感情ではない、と。GARNET CROWが放つ、第2弾シングル「二人のロケット」には、そんな一見異なる世界観が同居しているように感じられるのだ。例えば、80年代を飾った数々のヒット曲。どこまでも突き詰められた“虚飾”の世界。突き詰められているからこそ、提示されている側も心地良く、その世界に身をゆだねることが出来る。それこそが、真の意味でのスタンダード感っていうやつではないだろうか。じゃあ、もう一つの彼らの世界──歌詞の方はどうなんだろう。
 誤解を恐れずに書く。“ドラマティックな人生”……なんて嘘臭い響きなんだろう。人にはそれぞれ事情があるし、淡々と過ぎていく日常──それもまた、ドラマだ。見慣れた街の風景。いつもの駅。ほんのひと匙の喜びと悲しみ、そして消えていく日々の泡。ワンルームで作り上げられる。小宇宙。自分だけのオリジナルなストーリー。デビュー前から、京都α-stationのチャート上位にランクイン、デビュー・シングルも好調なGARNET CROW。そんな彼らが綴る歌詞世界こそ、そんなありふれた日常から生み出されたものなんだっていうことを、つくづく感じさせてくれる。誰もが毎日“キラキラ”を探して生きているワケで、そんな永遠のモラトリアムなライフ・スタイルって実はみんな同じでしょ? そんな日常にうってつけな、ライト・メロウ感。そして程よく耳に心地よくグルーヴは繰り返されていく。人は、あくまで生きていくために日常を過ごしていく訳で、ささやかな希望と絶望の狭間で様々な感情が生まれ、それこそが“よろこびのうた”だったりする。そんな事実に気がつかないまでも、無意識の内に誰もが、ささやかなよろこびに満ち溢れた“うた”を求めている。だからこそ、いつの時代も“スタンダード・ナンバー”は生まれ、残っていくんじゃないだろうか。早くもリリースされる、彼らの2ndシングル「二人のロケット」という楽曲は、そういう存在だったりするわけです。すごくPeaceで、Happy。それもまた、オッケーじゃないか。

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Music Freak MAGAZINE vol.64(2000年3月)
日本のロック・シーンの“首都”は、今も昔もやっぱり京都!

京都のFM局の番組内チャート“BURNIN MIXCHART”で1位を獲得した話題のネオ・アコバンド
GARNET CROW 3月29日メジャー・デビュー決定

「Mystewrious Eyes」「君の家に着くまでずっと走ってゆく」シングル2枚同時リリース!

 思えば70年代初頭、日本にロック・シーンが根付き始めた頃から、京都は情報の発信基地だった。風月堂に集まるヒッピー達、京都大学西部講堂で毎晩のように開かれるフェスティバル。そんなシーンの中から生まれ、後年のRCサクセションに強く影響を与えた村八分、日本ブルース界の草分け的存在ウエスト・ロード・ブロード・バンド・・・・・。間違いなく、日本のロック史において、彼らは1つの形を提示したし、足跡も残した。そう、そんなサブカルチャー的視点から言えば、間違いなく京都は日本の“首都”だったのだ。そして、一昨年あたりから、再びそんな独特の風土に強く影響を受けたアーティストが、全国のライヴ・ハウス・シーンを席捲し始めている。実際、一部の雑誌では“京都系”なる括りで特集されていたり、それらのアーティストが東京でライヴをやると、その半分以上がいわゆる“青田買い”目的の業界関係者で一杯だったりして、明らかに最先端の情報にアンテナを張ってる人間に、確実に届いているんだ。センチメンタル・シティ・ロマンスをバックに、あたかも近藤房之助が歌ったているかのごとく。というキャッチが新鮮な“CHAIS(チェインズ)”、現代版はっぴいえんどの呼び声も名高い“キセル”。和製XTC“ママスタジヲ”等々、東京は下北沢系のバンドが主流と思われがちな、インディーズ・シーンに置いて、彼らは独自のスタンスで新風を巻き起こしているのだ。そう、時代の最先端の空気は再び京都を中心に吹き込もうとしている。
 そんな京都インディーズ・シーンにおいて、新たに注目を集めているバンドがGARNET CROWである。昨年12月に発売された1stAL(インディーズ)が、京都のFM局、アルファステーションの番組内チャート“BURNIN MIXCHART”で1位を獲得する等、既に話題性はバツグン。エヴリシング・バッド・ザ・ガール等、80年代のネオ・アコースティックと呼ばれた音楽に強く影響を受けたそのサウンドは、ちょっぴり懐かしい香りがたまらなく新鮮で、まさに“癒し”の音楽。
 ここで、GARNET CROWのサウンドのカギを握っている、メンバー古井弘人の言葉を引用させて頂く。

「僕はちょっと懐かしい感じのする音楽が好きなんです。それこそキャロル・キングとか、ああいうスタンダードなものとか。アレンジする際も楽器の持っている音色を大事にして、今までも色んなアレンジをしてきましたね。ネオアコは自分はそんなにディープな感じで聴いてた訳ではないんですけど、初期のエヴリシング・バッド・ザ・ガールとかはすごく好きですね。今回のアルバムでもそのテイストっていうのはかなり意識しましたし。アズティックカメラでもそうなんですけども、なんでネオアコが好きかって言えば、そういうちょつと懐しいにおいがする音楽だからだと思うんです。ポスト・パンクとか色々当時は言われてましたけど、あんまり僕はそういうのがピンとみなかった(笑)。要は自分にとっていい曲かどうかが大事じやないですか。そういう感じで聴いてたんで。中村が作ってくるメロディーとかに対しても同じですよ。そういうスタンスは変わらない。いい曲だと思えるから一緒にやっていける訳で。だから、そういう永遠のスタンダードとでも言いましょうか(笑)。いい曲やってるバンドだな、って思って頂ければすごく嬉しいですね」

 そんな彼の言葉が表してるように、ポップスの黄金律がたくさん詰まったその音楽性は、まさに永遠のスタンダードというキーワードがピッタリ。全ナンバーの作曲を手掛ける中村由利、そしてアレンジャーとしてZARDや小松未歩、runania montevideo等の数多くの作品をメジャー・フィールドに送り込んだ古井弘人、ZARDの船上ライヴでの記憶が新しい岡本仁、作詞家としてWANDSやWAGに作品を提供しているAZUKI七、というプロフェッショナルな4人だからこそ作り上げられることが出来るポップ・マテリアル。言い換えれば、そう・・・・・水面にきらめく初夏の陽射しを連想させてくれる凛々さ、とでも言えばいいのだろうか。そんな、抱きしめたら壊れてしまいそうな“繊細さ”が、3月29日に同時発売される2枚のシングル、「Mystewrious Eyes」「君の家に着くまでずっと走ってゆく」には詰め込まれており、理屈抜きで僕達を楽しませてくれる。
 20世紀も今年でいよいよ終わりだが、来るべき新世紀に向けて、新たなスタンダードを間違いなく築き上げてくれるアーティスト、それが彼らなんだ、ということを実感させてくれる。ホント、期待して損はない。

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